仕事の謝罪こそ難しい…スポーツトレーナーが経験しがちな理不尽、どう対応する?




仕事をしていると謝罪の場面って必ず経験するもの。

この謝り方が、特に昨今の世間では本当に難しい。…つくづくそう感じます。

スポーツトレーナーとして現場に携わって17年目。私自身、未だに悩みは尽きない謝罪に関して、思うところをシェアしていきます。

 

謝罪の流儀

ビジネスパーソンにとっては常識なのでしょうが、謝罪する場合には鉄板ルールがあります。まずはここをしっかりと理解しておくことが大事ですよね。

1.言い訳せずに謝る

私が千葉ロッテマリーンズというプロ野球チームに在籍していた際、監督はボビーバレンタインでした。
納得したものは決断をし権限を与えてくれる、ボスらしいボス。

とても充実した時間を過ごせましたが、身が凍えるほどの恐ろしい思いをしたことも数回あります。
それは指摘された問題に対して、私が言い訳をしたときに起こったもの。

その時はもちろん「言い訳をしよう!」と思っているわけではありませんが、結果的に自分可愛さから必死に理由を正当化していたんですね。

こういった態度ってすぐに相手に伝わりますよね。むしろ怒りに火を点け、問題点やミスそのものよりも心証は悪くなってしまうもの。

自分に非があり謝らなくてはいけないときは、とにかく言い訳をせずに徹底して謝る。これが鍵です。

 

2.早く謝る

言い訳をしないこと同様、大事なのがスピード感。とにかく誠意をもって早く謝罪すること必要です。

ずいぶん前のことのように感じますが、世界的なエアバックやシートベルトメーカーであったタカタの欠陥エアバッグに端を発した問題。

結果的に経営破たんに追い込まれたタカタの記事を読みました。

タカタ破綻、炎上総会の一部始終 

世界的なメーカーにまで成長していた企業のあっという間の凋落。

因果関係は特定できないものの、世界で17名が死亡。そのうちアメリカでは11名が亡くなっている大きな問題のため、重大な過失があったのは間違いありません。

しかし結果的に経営破たんまで進んでしまった一番の原因は、初動の遅さと謝罪の姿勢、そして説明責任を果たしていなかったからではないでしょうか。

スポーツ界を見渡しても、志学館レスリング部や日大アメフト部の問題なども、説明責任に対して後手後手に回ったことで、より厳しい状況になったことは間違いありませんよね。

謝るべきタイミングを一度逃すと次の機会を捉えるのは難しいです。少しの遅れが「相手に謝らせられた」印象を与えてしまうもの。

起こしてしまったことの大きさもありますが、大抵の問題は「迷惑をかけた相手側に感情的なしこりを残してしまうこと」こそ最大の損失。

感情的な遺恨はその後なかなか消えることができないですし、そういった感情を引き起こした相手から再び信用(クレジット)を得ることは不可能に近いです。

完璧な対応でなくても、誠心誠意、早く対応する。このスピード感が必要ですね。

 

3.対面で謝辞を伝える

3つめのポイントが「対面で謝る」ということです。
謝罪だけに限らず、ITの発達によりFace to faceの機会が減っている今。

実際に会うということは人間関係において、今後より重要になってくると思っています。

スポーツ業界でもありがちなポイントであり、過去にブログ内でも書いているので、こちらも参考にしてみてください。→トレーナーにありがちな安直な紹介やお願いに気をつけよう

 

 

スポーツ現場で起こる理不尽への対応

記事の序盤では「謝る際におさえておくべきポイント」をお伝えしました。これは仕事をしている人であれば、常識といえば常識。

それではスポーツ現場でのトレーナー業でよく起こる「理不尽な叱責」に対する謝罪ってどう考えますか?

…このストレスに日々心を痛めているトレーナーも多いはず。

選手のため、チームのため、と思って専門知識を磨き、経験を積み、自分の時間の多くを費やすトレーナー業。しかし現場での立場としては、往々に「理不尽で高圧的な扱い」をされがちです。

謝る、謝らないは別として、一種の「予防接種」として我々が知っておくべきこと。私が考える、そんなポイントをシェアしていきましょう。

 

指導者の大半は理不尽と認識する

大前提として8割方の指導者やコーチは理不尽さを備えています。日本において、悲しいですがこれは紛れもない事実。

現実としてまず胸に刻んでおきましょう。

 

1.リーダーの重圧は想像を絶するもの

監督やヘッドコーチという一番上のリーダーは、「結果を出す」ことにコミットしなくてはいけません。

その重圧は、私が担当するストレングス&コンディショニング(強化)部門や怪我人のリハビリや処置をするアスレティックトレーナー業の比ではないわけです。

リーダーも、理想論や各専門家の意見は重々わかっています。

しかしチームの状態が芳しくないとき、公式戦の最中などになれば、眠れない日々を過ごし、チームの浮沈にかかわることが、頭から離れることはひと時もないでしょう。

そんな精神状態のリーダーが、突拍子もない思いつきに感じられることを言い出したり、突然感情的にスタッフに当たってくることがあっても、不思議ではないんです。

2.絶対的地位に長くいる人の感覚はズレてきやすい

全ての権力を有している人がそうではありませんが、一般的に絶対的に権力を有しているリーダーの感覚は、我々の感覚とはズレていることが往々にあります。

よほど自分を律することができる人物であったり、組織が意図的に権限を分散するシステムがない限り、長期的に権力を持った人は間違いなく横柄になっていきます。

表面化した志学館レスリング部や日本大学アメフト部の一連の問題。矢面に立つこととなったリーダーや指導者たちは、
「何で俺(うちの大学)ばかりがこんな厳しい世間の声に晒されなきゃいけないんだ?」

そんな風に感じているような印象があります。

強権的で自分の思った通りに事が動かせる環境が当たり前になってしまったら、何が「スタンダード」なのかの感覚はズレてきて当たり前です。

 

少し極端な表現をしましたが、上記に挙げた2つの理由を中心に、多かれ少なかれリーダーは理不尽な部分を持っています。

こちら側に非がある場合は、きちんと反省しすぐに対応しなくては行けません。

しかし明らかに「寝耳に水」のような状況の時は、
「ああ、今回は自分のところに『とばっちり』が来たな…」

そのぐらいの気持ちで引き受ける楽観性もいるということですよね。

 

異議と反論の難しさを知る

リーダーは理不尽なもの。そこはまぁ理解できた。
…でも実際にどう対応したらいいの?

そんな状況に悩んでいるトレーナー業の人も多いはず。その気持ちは痛いほどわかります。

明らかな「言いがかり」的な状況では、異議を唱える必要はありますよね。

例えば、「あれだけ頼んでおいたのに、全然ウエイトトレーニングをしてないじゃないか!」みたいな類です。

「実績表をみていただければわかりますが、2週間で5回のペースで選手はウエイトを実施しています。内容や質に関して問題がある可能性はありますので、次回の筋力テストの結果をフィードバックしご報告いたします。」

至極まっとうな異議を唱えること。これは必要です。

しかし、
「は?何でいきなりウエイトトレーニングのこと、批判してるんですか?やらせてますよ!」
感情的に反応すると、もはや同じ土壌に乗ったも同じ。

もともとの立ち位置はリーダーが上ですから、同じ土俵に乗れば批判対象は自分に集中。組織やチームでは、周りのスタッフに助けを求めても無駄です。

皆、それぞれの立場があり守るべき生活がありますから当然。

難しいことですが、感情的にならずに、反論しないで異議を唱えられればいいですよね。

 

悪くないときに謝るか謝らないか問題

実際の現場で、納得できない要求や苦情に対して、謝るのか謝らないのか。
これって本当に難しい決断です。

何のひねるもなく答えるのであれば。

自分の立場やチームの状態を鑑みて、正直身に覚えはないけれど謝罪する。
謝るときの3つのポイントをこの状況でも遂行できるなら、これは最も賢い選択でしょう。

 

悪くないなら謝らないという選択肢も

この対応ができる人、本当に尊敬します。真の意味で大人でないとできない対応。

自分が考えていたアラフォーの社会人は、さらりと謝罪ができているイメージでした。
しかし実際は、全くもって、壊滅的かつ悲劇的にこれができないんです…。

私は、明らかに自分に非がないと信じられた場合は、絶対に謝りません。

あくまでも一個人の考え方ですので、怒らず、そして私を心配せずに(笑)、ちょっと理由を聞いてください。

 

理由1.不本意な妥協によって気持ちが萎える

理由としては、全く納得していない状況で、きちんと3つのルールに則った謝罪ができないから。
安直な妥協として、場を荒立てないために謝ると、とたんに気持ちが萎えてしまうのです。

さすがに、いくばくかでも自分に非がある場合は、こんな頑なな態度にはなりませんが…。

 

理由2.謝らないのでなく謝れない

三つ子の魂百まで。小さいころから、選択の余地がなく何かを強いられると絶対に従えない気質で、衝突が絶えない人生を送ってきました。

私を古くから知る幼なじみの友人たちは、苦笑いしながらうなずくでしょう。

納得しないと、謝らないのではなく謝れないのです!…ただの子どもですよね。

 

理不尽に対して謝らない働き方をするのであれば

…いや、さすがに極端でしょ?皆、謝りたくないけれど、自分や家族を守るために謝っている。
大人なんだから謝るべき!

間違いないと思います。

ただ、どれだけ大人の対応として「悪くないのに謝る」という行為をやりきれる人がいらっしゃったとしても。

「好きを仕事にしよう!」と決めて選んだ仕事をしている人にとっては、こういった妥協の繰り返しって、生き生きと前向きに働いていく活力をものすごく削られると思うんです。

ただの言い訳の部分もあります。しかし、私にとっては「自分のポジティブな原動力」が目減りしていくこと。

これは、長期的に働いていくうえでは、最も怖いことの1つなんです。

腹を括っておく準備が大切

私の場合、単年契約で雇用されている以上、常にある意味弱い立場にいます。

妥協をしたり、ある種媚びたりして働いていても、組織や会社の都合によって、最も契約を切りやすい環境下にいるわけです。

正社員として働いているわけではない、この不安定な立場。逆に捉えて腹を括ってしまえばいい。
そんな風に発想の転換をしてから、一気に気持ちが楽になりました。

表面的な開き直りではなく、いつ契約がなくなっても次に声をかけてもらえる商品価値と人間関係を構築していくこと。

地道であり必ずしも結果につながるわけではないですが、不器用な自分が「弘田雄士という商品の強み」を損なわずに、価値のあるサービスを提供していくには、この方針でいいのではないか。

慰め半分ですが、今はそんな風に納得しています。

私の姿勢は極端すぎますが、自分の働き方やキャリアの創り方って千差万別でいいんです。それこそが、不安定要素の大きいフリーランスや単年契約で働く人たちだけが選べる自由ですから。

自分なりの働き方、戦い方を構築するにも、ある種のリテラシーやコツが必要。そのヒントがつかめると思うので、興味がある方は月1回開催しているセミナーもぜひチェックしてみてください。

 

相手に関わらず自分が悪いときには謝る習慣を

納得しないことは謝らないぞ!

今後の衝突や軋轢が心配ですが、私のような方針を掲げる共感者の方がいたら、おせっかいながらもう一言お伝えしたいこと。

それが「相手に関わらず、きちんと謝る自分である潔癖性を持つ」ことです。

人間誰しも火を認めて謝ることはしたくないはず。もし、自分の中に「悪いことしたら誠心誠意謝る!」という決めごとがなかったら、どんなことも謝らない「イタイ大人」がハイ一丁!出来上がりです。

自分が向き合っている選手。我が子。

立場上、謝らなくても何とかやり過ごせるかも。…でもそれを許した瞬間、あなたが嫌いな「理不尽なリーダー」にあなた自身がなってしまっているということ。

最悪です。

納得できない謝罪は断固NO! その結果は、けつをまくって(失礼!)自分でしっかりと責任を取る。謝るべきは誰であろうと誠心誠意、全力で。

我を通して生きるなら、この3点セットが必須ですよね。自省の意味を込めて、ここにしっかり宣言しておきます!

 

まとめ

・謝り方を知っておこう 1.言い訳なし 2.早く! 3.対面で

・理不尽な内容で謝罪の有無を迫られる場面は、スポーツ現場ではよくあること

・納得できなくてもきちんと謝れる人を心から尊敬する

・謝る/謝らないの行為そのものよりも、妥協することで気持ちが折れない働き方をしよう

・悪いことをきちんと謝る厳格さがないのは最悪

 

 

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YUJI HIROTA

アスリートスポーツの現場をメインに活動するトレーニング・コンディショニングの専門家。「コンディショニングコーチ」ですがスポーツトレーナーといった方がわかりやすいのかも。実は鍼灸師でもあります。









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