プッシュとプルの比率とその種目選択の重要性




アスリートスポーツ、特にチームス
ポーツを指導して18年目になる
S&C専門家の弘田雄士です。

トレーニングプログラム作成の際に
十分な配慮が必要なことの一つが、
「プッシュ動作とプル動作の比率と
その選択」です。

『押してだめなら引いてみろ』など
と昔からいいますが、ことトレーニ
ングプログラムに関しては、引くこ
とを中心に考えるべき。

押すと引くのバランス、構成要素と
なる種目選択に関しての私の考え
を書いていきます。

プル動作を多めに構成するのが鍵

結論から先に書きます。

私の場合、チームプログラムを作成
する際は、特異的なケースを除き
プル(引く)動作のほうがやや多く
なるように構成します。

一般のクライアントはほぼ100%、
鍛えているアスリートでも多くの
競技においては前面を使ったプッ
シュ
系動作の方が優位に使って
いるから
です。

現在、最も多く指導しているラグ
ビーは典型的で8割方の選手が、
首が前方突出し肩甲骨外転位の
円背姿勢です。

強く安定した立位姿勢を保つため
に、より後面の強化を図る必要が
あります。

時期にもよりますが、プル動作
を3種目、プッシュ動作を2種目
のバランスでプログラムに組み込
むようにしています。

引く/押す系種目の比率に関する
研究論文などのエビデンスが存在
すれば参考にしたいのですが、
私の知る限りエビデンスはありま
せん。

リサーチ方法も難しいでしょう
しね…

今までの経験と感覚から取り入れ
ている比率なので、
「エビデンスないものは×!」
という方は、シンプルに1:1の
比率で組み込んでいく、という
やり方でいいでしょう。

種目選択にも充分な考慮を

プル動作とプッシュ動作。その
比率だけでなく、出力方向にも
充分な考慮が必要です。

先程のラグビー選手の例では、
体脂肪が少なくトレーニング中級
者以上の選手だと軍隊姿勢といわ
れるような肩甲骨がぐっと内転
しているような菱形筋優位のタイ
プもいます。

このタイプに対して「肩関節への
負担が少ないから」という理由で

・DB1アームロウ
・ケーブルローロウ
・ベントオーバーロウ

のような、水平方向へのプル動作
ばかりを採用したら…。

軍隊姿勢を更に強めてしまい、
腰痛リスクなど増加してしまう
でしょう。

一方で野球の投手のケースでは、
利き手側の肩が下垂しているケー
スって典型的。

この傾向にある投手に対しては、
むしろ水平プル種目が有効です。

前後の筋バランスを整える意味で
も積極的に採用しましょう。

その代わり、垂直方向のプル種目
には慎重になるべきです。

肩甲平面(スキャプラープレーン)
上で軽量だからといって、ルーティ
ン化したようにラットプルダウン
を多く採用するのは、利き手側の
肩甲骨の位置をさらに下げてしまう
可能性が高いからです。

プッシュ系に関しても、正しい位置
から上方回旋を伴う、ランドマイン
プレスのような種目を腹圧を高めた
状態で行わせるような工夫が必要
す。

現実的な対応として

上記は一例ですが、プル/プッシュ
の比率だけでなく、選択種目の出
力方向も考えていく必要があると
いうことを理解していただけたと
思います。

選手全体へのチームプログラムの場
合、なかなか個別対応まで細分化し
て作成
するのは難しく、現実的では
ありませ
ん。

私は「考慮すべき選手リスト」を作
り「この3選手はベントオーバーロ
ウの代わりにアシストバンドつけた
プルアップ(懸垂)に変更」といっ
た指示を出して対応しています。

パーソナルプログラムのようなきめ
細かさとは違いますが、この配慮
だけでも
高確率でトレーニングに
よる障害発生
リスクを抑えられる
と考えています。

 

握力に対する配慮が必要なケースも

投手の例では、グリッピングする
という把持機能への配慮が必要な
ケースもあります。

参考過去ブログ記事はデッドリフ
トにまつわる3つのポイント!

野球のような繊細な技術スポーツ
に関しては、リストストラップ
パワーグリップを使い分けさせ
て、手に対して過度な負荷がかか
らないように指導することも重要
です。

上手に活用しましょう。

一方でデッドリフトなど高重量を
扱う種目にも関わらず、ラグビー
のスクラム最前列を担うフロント
ローと呼ばれるポジションの選手
には、基本リストストラップは
禁止。

競技特性として味方や相手のユニ
フォームを強くグリッピングしな
がら力発揮することが求められる
からです。

この辺りは頭を使うことをさぼら
ずに、「狙った目的に対する手段」
として適切かどうかを考える癖を
つけなくてはいけませんよね。

まとめ

・プッシュ/プル動作の比率は
「ややプル系が多め」がオススメ

・動作比率だけでなく種目選択も
重要

・どの期間でも「なにを目的とした
手段としてどう構成するか」を常に
考慮した現場指導をしましょう

 

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YUJI HIROTA

アスリートスポーツの現場をメインに活動するトレーニング・コンディショニングの専門家。「コンディショニングコーチ」ですがスポーツトレーナーといった方がわかりやすいのかも。実は鍼灸師でもあります。









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