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どこよりも早い!「競技力向上のためのウエイトトレーニングの考え方」の書評

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9月10日木曜日に出版予定の「競技力向上のためのウエイトトレーニングの考え方」。
河森直紀氏の2冊めの出版本です。

なぜこのタイミングで既に入手して読了しているのかというと、9月5日土曜日の段階で我が家に先行販売分として届いていたから。

午後からのフリータイムがあったこともあり、じっくりと3時間ほどかけて読み終えましたので、たぶんどこよりも早いこの新刊の書評を書いてみたいと思います。

何度も説明した「当たり前」をきちんと説明した本

河森氏の前著「ピーキングのためのテーパリング」に比べて、今回はある意味ストレスなく読み進めていくことができました。

一番の理由は
「スポーツ現場のS&C担当であるならば、何度も説明を余儀なくされた『誤解されている当たり前』を丁寧に説明した本」
だったからです。

・技術練習と強化トレーニングをごちゃまぜにすると、なぜ良くないのか
・「体力強化合宿」のような極端なアプローチの持つ弊害
・ウエイトトレーニング不要論も万能論も極端→どのように競技力向上を助けるのか

このような「現場あるある」をきちんと理論立てて説明してくれている。
だから、
「うんうん、そうだよな~」
「なるほど、こうやって説明したらコーチや選手もすんなり納得してくれるんだろうなぁ」
とスイスイと読み進めることができたのです。

私にとって特に勉強になったポイント

個人的にも特に勉強になったポイントが2つあります。それが、
・トレーニング効果の転移
・バリエーションの原則
の2点です。

トレーニング効果の転移

トレーニングを実施して筋力や柔軟性が向上したとしても、それがイコール競技力を向上させるわけではありません。

向上した要素に対して、もう1ステップが必要になる。このことを「トレーニング効果の転移」といいます。

たとえば野球選手の場合、背部の筋力群を中心とした筋力向上が著しく起こると、それまでのバッティング技術ではタイミングが合わなくなることがよくあります。

今までよりも、バットスピードそのものが速くなることによって、間のとり方やタイミングが「ズレて」くるわけです。

向上した要素に対して、新たに最適な技術を身につけていくこと(トレーニング効果の転移)というプロセスが必要なんですね。

生理的適応としてのこのステップは理解していましたが、河森さんは約10ページを費やして丁寧にこの項目を説明してくれていました。

今まで感覚的に伝えていたトレーニング効果の転移、そして大きな特徴である「時間的遅延」に対して、もっと自分自身が自覚的に取り組まないといけない。

大きな気づきを得ることができました。

バリエーションの原則

トレーニングで押さえておくべき基本ルールとして、最終章でトレーニング原理について詳しく書かれているこの本。

特に重要として「漸進的過負荷の原則」、「特異性の原則」と並んで紹介されていたのが「バリエーションの原則」でした。

…「バリエーションの原則」??

お恥ずかしながら、私この原則を初めて知りました…

トレーニング種目だけでなく、回数やセット数、休息時間や使用アイテムなど、様々なタイプの刺激変化を細かくつけていく方がトレーニング効果が高い。

特に2015年以降、ウエイトトレーニングプログラムの主な考え方として、バリエーションを加えることがトレンドになっています。

私も4週間同じ種目でのプログラムを処方する際も、
6回x4セット/10回x3セット/5回x5セット/3回x6セット
などのように、1週間毎に回数やセット数、それに伴う重量の変化をつけたりしています。

…でもそもそも「バリエーションの原則」っていう考え方も浸透しているんだ… いや、知らんかった…。

専門家としてちょっと赤面しつつも、めちゃくちゃ力を入れて154ページからの「バリエーションの原則」について読み込みました。

この章でも理論だけでなく、実際の現場で適応するための難しさなども細かく書かれており「そうなのよ~!」とちょっとオネエ口調で同調しつつ、楽しく学ぶことが出来ました。

この本が特におすすめな人たちは

読了してみて感じたのは、

特にオススメな人たちは

1.これからトレーニング専門家となることに興味を持っている学生
2.トレーニングを競技力向上に上手に活用していきたい技術コーチ
3.アスレティックトレーナーだけどトレーニングも管轄している現場トレーナー

にめちゃくちゃオススメな本だな、ということ。

治療やリハビリに比べて、トレーニングって「何となく」わかっているつもりでも、行うことはできちゃうもの。

だからこそ、自分で勝手に

「ウエイトトレーニングってこうだよね」、
「やっぱりある程度きつくないと効果って全然ないよね」

といった思い込みを持ちやすいし、そのイメージを変えるきっかけってないもの。

王道のトレーニングの考え方を学ぶことで、もっと細かな仕事のアプローチや時間をかけるべきところも見えてくるはず。

論文査読なども行っている博士号を持つ著者だけに、そもそもの本の構成自体が思慮深くわかりやすいまとめ方になっているので、非常に理解しやすい。

専門学校などのトレーニング概論の教科書としても使える本です。

まとめ

個人的に何回かお会いさせてもらっている方だけに、普段のように目の前で河森さんが淡々と、しかし熱い想いで語っている内容そのままに感じました。

いつ、どこで、誰といても、基本的に河森さんの考え方にはブレがなく一貫しています。

この一貫性こそが武器だよなぁ…自分ももっとこだわる部分は突き詰めないとなぁ…なんて頭をかきつつ、たくさん刺激がもらえた時間となりました。

手元においておき、また疑問など出たときにパラパラと、該当項目を読み込む。そんな本になりそうです。

↓先行販売ページからだと入荷待ちストレスなく郵送してもらえるそう。オススメです!

競技力向上のためのウエイトトレーニングの考え方

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YUJI HIROTA

アスリートスポーツの現場をメインに活動するトレーニング・コンディショニングの専門家。「コンディショニングコーチ」ですがスポーツトレーナーといった方がわかりやすいのかも。実は鍼灸師でもあります。
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