*これは2017年9月15日に旧ブログ「夢は正夢」に書いた記事を移転したものです。

GPSって本当に便利なツール。長らく練習時間や走行距離の概算、そして選手やコーチの主観的な判断のなかで構成されてきたであろうプログラム。GPSという客観的指標ができたことでこの部分の精度は各段に上がりました。

私が所属する社会人ラグビーチームも、入団した2014年8月がGPS導入したタイミング。その年の6月からチームに合流していた私は、たまたまGPSの使い始めから関わる事ができたんですよね。

今後も具体的にどんな指標があるのか、どう活用していくのかといった情報をブログ内でも更新していくつもりです。今回はGPSで起こる現象、「スパイク」についてご紹介しますね。

 

疑問だったことがスッキリ

GPSに関して、疑問に思っていたことが先日解消されました。どんな疑問か、というと時折とんでもないトップスピードが記録されるのが、どうにも解せなかったんです。

9.9とか10.8とか…これ、m/sですから1秒間で何m進んでいるか、ということ。これに60(秒)x60(分)をかけて1000(m→㎞)で割れば、我々に馴染みのある時速何㎞、という変換ができます。

10.8ということはおよそ時速39㎞。100mを9.98秒で走った桐生祥秀選手の最高速度が秒速11.67だったということを考えると、全くの不可能ではありませんがラグビー内での数字と考えると現実離れしています。

GPS導入初期のころは、ふざけた選手がビブスごとビューっと投げて「これでトップスピード更新だ!」と中学生みたいなことをしていましたが…

それとは別に起こるこういった現象はスパイク(速度の跳ね上がり)といわれるもの。

時々発生する、このスパイク。 GPSのデータは場所や密集している人数によってどうしても誤差が生まれるんだそう。

確かにスマホでのGPS機能を使う際にも、数十秒動かない状態が続いてから急に現在地の位置がビューっと動くことありますよね?こういったGPSが検出するデータと実際の位置とのズレが生じた際の「補正の動き」。

この動きも移動時間として抽出してしまい、結果として秒速10m/sを越えるようなトップスピードが記録されてしまうそう。

Catapult社のスポーツサイエンティストの方と話す機会があった際、たまたまこの話題となり「なるほどね~」と合点がいったのでした。

お客さんがたくさん入ってくれるうえ、周辺に高いビルが多くある秩父宮ラグビー場などはデータが上手く取れないことがあり、このスパイク現象も出やすいそうです。

チーム全体のトップスピード平均が知りたいときなどは、面倒ですが各GPS内に不自然なスパイクが起きていないかをざっとチェック。明らかに不自然な速度の跳ね上がりが検出されたら、その部分をカットすると実際に近いデータがとれるでしょう。

数値化の良さと危険性

数値化って最も効果のある可視化ですよね。監督や技術コーチと話をする際にも大きな説得力を生んでくれます。その一方で「思考停止」に陥りやすいものでもあるんです。

最近もGPSデータを基にしたEXCELのトレーニングの概算量を出すシートを使って、翌日のトレーニング量に関して議論していました。メインでGPSを担当してくれているS&Cコーチが、目の前のシートで出てきた数値を基にして提言してくれたのですが、どう考えても弘田の「感覚的」に違和感がある。

5分ほどかけて計算をしてみると、EXCELシートに移した際にずれが生じていました。予想される総走行距離やHigh speed runningの距離の60%しか出せていなかったんです。

目の前に数字が出てくると、さも正しそうに見えます。そして一度その先入観が生まれると、人間の脳は自分の経験や感覚よりも数字を優先しがち。

人のそういった特性を常に意識して、その数字の持つ意味を自分の頭で考える癖をもつこと。そんな意識は常に必要。改めてそう感じたエピソードでした。甘え過ぎずに最先端の機器を上手に活用していきたいですね。

それではまた、お会いしましょう。弘田雄士でした。

 

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YUJI HIROTA

アスリートスポーツの現場をメインに活動するトレーニング・コンディショニングの専門家。「コンディショニングコーチ」ですがスポーツトレーナーといった方がわかりやすいのかも。実は鍼灸師でもあります。









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