仕事を離れてリラックス。スポーツ観戦をすることも多いです。しかしVTRで怪しいジャッジメントなどを見てしまうと「なんだよ!完全に入っているじゃないか~。ひどいよ、審判!!」などと独り叫んでしまうもの。
…しかしある日、試合終了後に風呂に浸っているとふと「審判側の気持ちを考えたらつらいのかもなぁ…」という考えが浮かんできました。そんな日のリライト記事です。
審判の待遇を考える
Jリーグの現状を調べてみると
日本国内にのJリーグで笛を吹ける審判はプロフェッショナルレフリーと言われる、一級審判員の中でも十数人に一人の狭き門。その一級審判員には四級からスタートし地道に実績を積み、試験をパスしていかないと上り詰められません。
2015年時点で日本におけるプロフェッショナルレフリー(以下PR)は僅か14名。単年契約で年俸は1000~2000万円程度ということ。
これだけ聞いたらいいな~という話になるでしょうが、何の保障もない世界で90分間以上選手とほぼ同様のワークレートが要求され、且つ公正で正確なジャッジメントが要求される過酷な業務。
1級審判員まで上り詰めるのも大変なことなのに、報酬は、J1の主審で約12万円、副審で約6万円、J2の主審で約6万円、J2の副審で約3万円、JFLの主審で約2万円、JFLの副審で約1万円と決まっています。体力的なことや試合数を考えても、コンスタントに審判業務が回ってきても食べていくのは大変でしょう。
1試合で12万円なんてどこが大変なんだよ!と思うかも知れません。しかし笛を吹くということは地方での試合にも選手同様移動し、1日仕事になるはずですからそれほど数がこなせるとは思えません。
プロ野球の審判にせよ、ラグビートップリーグの審判にせよ、待遇や環境はなかなかタフなのが現状だなぁ…と感じました。
審判の1ジャッジメントが勝敗を決する
その辺りの環境を鑑みるとしても、審判のジャッジメント一つが勝敗を決することも多いスポーツの世界。審判には高い精度と誇り、自信をもってその業務を全うしてもらいたいもの。
選手やコーチ、我々スタッフもチームの勝利という目的に向かって日々悩み汗をかいているわけですから、審判の業務は非常に重たいわけです。手を抜いたり慢心をされている審判の方はいないと信じていますが、日々向上していくように邁進してもらわないと困りますよね。
審判になりたい人を増やす環境づくり
W杯などのビッグゲームで痛感することですが、審判のジャッジメントでゲームの結果やファンの満足感も大きく変わってしまうのがスポーツ。
プロ野球の名審判といわれていた方が「試合中全く審判の存在を感じさせないのが最高の審判だ」という主旨のことをおっしゃっていて、なるほどなぁと思った記憶があります。
精度の高いジャッジがスポーツ界のレベルを引き上げていくのは間違いありません。だから審判の仕事は大切なんです。だからこそ、「将来○○のスポーツで審判になりたい!」とその道を目指す人が多くなるような環境づくりを作っていくことが、各スポーツ団体にとっては重要だと感じます。
プロ野球選手になるのと同じぐらいの確率を勝ち抜き、PRになって最高年俸が2000万円程度。将来の保障はないに等しく(そのレベルまでいけば指導員という道はあるでしょうが)、単年契約で上り詰めた人でもこの環境です。
スポットライトを浴びることはなくミスをしたときだけ、全くの素人からも罵声を浴びる仕事。なかなか志願者は増えないのではないでしょうか。
それならばAIを活用すればいいじゃないか。そういった意見も少なくありませんよね。
しかし生きた人間が真剣にプレーをする人間たちの1プレー1プレーを熱を持ってジャッジする。娯楽であったスポーツが競技スポーツへと進んでいく過程で、その重要性が増していった審判の存在。
原点のころからそこに存在していた生身の人間。そこに思いを馳せたとき、審判が選手同様、全力でジャッジメントを行うという試合を私はずっと見ていきたいんですね。
審判の質が上がる事でそのスポーツの競技レベルも間違いなく進歩するはず。かばうわけではないですが、自分も不安定な単年契約の仕事をしている身。審判を取り巻く環境がよくなればいいなぁ、と感じています。
まとめ
・仕事としての審判の環境を調べてみるとハードなものであることに気づく
・1つの判断が勝敗や一人の選手人生に影響を与えることもあり、とても責任ある仕事
・華やかなスポットライトを浴びることなく、信じられないような罵声を受ける大変な仕事
・AIでなく人が担う審判というポジションをこれからも見ていきたい
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YUJI HIROTA
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