私が一人ひとりに個別プログラムを作らない理由




チームスポーツを担当することが多
い私。

セミナーや個別相談で多く聞かれる
質問の一つが、
「一人ひとり課題や特徴が違うので
個別プログラムを組んだほうがいい
でしょうか?」
というもの。

結論をいうと、私はそれぞれに個
別プログラムを組むことはしませ
ん。

例えば、現在関わっているラグ
ビーでインシーズン前になると
フォワードとバックスで別の
プログラムを準備したり、野球
であれば、投手と野手のプログ
ラムは当然違います。

ただ一人ひとりに考慮した
プログラムを一つずつ作って
はいません。

実際にこう答えると、
「やはり個々の特徴に合わせて
プログラムを作るほうがいいの
では?
実際、私は莫大な時間はかかり
ますが一人ひとりに適正な…」

といった感じで、質問とも詰問
とも自慢とも(失礼!)とれる
ような返事をいただくことが
あるのですが、私なりのトライ
&エラーを通しての結論なん
です。

私が個別プログラムを作らない3つの理由

私がなぜ一人ひとりに個別
プログラムを作らないのか。

主に3つの理由を挙げて説明
していきましょう。

1.現実的でない

プログラムを作成する時間
は、ただでさえ莫大にかか
ります。

一人ひとりに違うプログラム
を作成しようとすると、少
なくとも3~4倍の時間がかか
るでしょう。

目的に対する短期目標として
の、4~6週間のストレングス
プログラムを、高い質できち
んと作ること。

有限の時間をここに注ぎ込む
ほうが、最終的に良い結果を
生む。

経験的にも、この部分を実感
しているからというのが1つ
目の理由です。

 

2.一人ひとり変えることが個別性ではない

今まで実際に一人ひとりの
スクリーニングデータやポジ
ションを考えて、個別プログ
ラム作成を試みたこともあり
ました。

莫大な時間を費やして、スト
ンと腹落ちした実感。

それが、
「一人ひとりに違う種目や
それらしい要素を加えるこ
とが個別性ではない」
ということ。

それぞれオリジナルのプログ
ラムを作るぞ!と張り切る
と、気がつけば「全て違う
プログラムを作る」という
手段が目的化してしまう傾向
があります。

チームスポーツを担当する
際、まず全体の最大公約数的
な課題解決が優先されるべき
ですよね。

結局は枝葉の部分をちょっ
と変える程度の変化となり、
それらのプログラムは本質的
な部分で大差ないのです。

自信のなさの表れ

当時の自分を振り返ってみる
と、個別化したプログラム
を!と必死だったときって
自分に自信がない時期だった
んですよね。

それぞれにオリジナルのコン
テンツを与えたほうが、選手
の受けもよく喜ばれる。

自分もなんだか特別なことを
教えているような気がして、
ごまかせる。

そんな心境だったと思います。

選手サイドとしても、未熟な
選手や自我が強い選手ほど、
「自分オリジナルのプログ
ラム」を欲しがるもの。

こういったタイプの選手たち
が、短期的には喜ぶものの、
当時の私のような、ある種
の「逃げの姿勢」では、長
続きしないでしょう。

 

3.質の維持と調整が困難

大きな理由の3番めは調整が難
しく、質の維持ができない点
です。

多くの種目が関わり質の維持が困難

一人ひとりに個別プログラム
を作成する。

自己満足じゃないかな~、と
は思うものの、
「これが俺のポリシーだ!」
という専門家の方もいるで
しょう。

哲学や方法論なので、もちろ
ん否定しません。

ただ、何とか一人ずつオリジ
ナルのプログラムを作成した
ところで、それでお終い!で
はもちろんないですよね。

むしろ、ここからがトレーニ
ング担当の腕の見せどころ。

目的に対する短期的な目標を
達成するため、一つの種目、
セット数や回数、テンポや
注意すべき点を指導で落とし
こんでいかないといけませ
ん。

 

心の声
…あれ?…俺、なんでAにはこの種目を、このタイミングで入れたんだっけ?
リアルな声
おい、B!全然俺が言ってたこと、無視してやってるぞ!そのやり方だとケガするって!!

5人や10人ではなく、20~
30人に対して、それぞれ
個別のプログラムを作ると、
トレーニング指導が困難を
きわめます。

結果的に質を担保できなく
なるわけです。

自分自身も、多くの数の
プログラムを同時進行で
抱えてしまうと、どうして
もそれぞれのプログラムの
意図やつながりが希薄にな
ことも想像できますね。

最難関は全身的過負荷の調整

最も難しいのが、オーバー
ロードと言われる全身的過
負荷の調整です。

一人ひとりの課題に合わせ
た個別プログラムというこ
とは、筋力や体力のレベル
に合わせて、単体のプログ
ラムの総量も違うはず。

タイトル シンプルな 枠 だよ 種目数、セット数、レップ数、重量、筋収縮形態のタイプ、動作面、TUTと言われる筋張力の発揮時間。

30の個別プログラムを作成
したとして、マクロサイクル
である3~6週間毎にこれら
を一つずつ調整していく、
と考えると…

現実的には難しい、という
こと、想像できるのでは
ないでしょうか。

現実的にどう対応すべきか

それでは、チームスポーツ
では、ポジションやレベル
に大別したプログラムだけ
で対応するの?

そう聞かれたら、答えはNO
です。

過去の受傷歴や、個々の
課題によって、個別に対応
すべき選手はでてきます。

それでも、基本的なアプロ
ーチって大きく変わらない
ですよね?

前述したように、チーム
スポーツを担当する際、
基本となるのは、最大公約
数的な課題の克服です。

違いを出すのであれば、
メイン種目を行う前に実施
させるコレクティブドリル
か、メイン種目を実施した
あとのアクセサリー種目と
呼ばれる補強種目だと考え
ています。

例えば、メイン種目は
フロントスクワットとベン
トオーバーロウ。

コレクティブドリルとして、
腰椎分離症のある選手は、
シングルレッグプランクを
追加する。

お尻の使い方が不得手な
選手には、アクセサリー
種目として、KBゴブレット
スクワットを入れる。

こういった調整で充分で
しょう。

調整第一で強化よりも維持を
主眼とした選手では、メイン種目
内での総量を、一般のものよりも
8割に減らす、などで対応します。

4セットx8回で4種目行っている
のであれば、3セットx8回で
統一。

セットx回数x種目数=128に
対して、後半では96。1セット
少ない分、高重量を持たせられ
るので、およそ80%程度の総量
にすることができます。

シンプルながら、こういった
対応で同じプログラムを基本と
しつつ、個別対応ができるわけ
です。

まとめ

パーソナルトレーニングの場合
では、そのクライアントの筋肉
の発達の仕方の違いを考慮した
り、動作面の比率で水平面を
多くする、などより細かく設定
する方がいいでしょう。

しかし多人数を対象とするチー
ム指導では、細かくプログラム
作成するのではなく、大きな画
を描き、シンプルに個別対応す
るのが現実的。

種目そのものは極力シンプルに。

その分、指導の際の効かせる感
覚や、つかんでほしい運動感覚
などに注力したほうが結果はい
い。

今までの経験から、そう考えて
います。

The following two tabs change content below.

YUJI HIROTA

アスリートスポーツの現場をメインに活動するトレーニング・コンディショニングの専門家。「コンディショニングコーチ」ですがスポーツトレーナーといった方がわかりやすいのかも。実は鍼灸師でもあります。









記事が気にいったら以下のSNSのシェアもお願いします

メールマガジン登録フォーム

トレーナーのキャリアについて今一度深掘りしたい…そんなトレーナーの助けになるメルマガを始めました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

ABOUTこの記事をかいた人

アスリートスポーツの現場をメインに活動するトレーニング・コンディショニングの専門家。「コンディショニングコーチ」ですがスポーツトレーナーといった方がわかりやすいのかも。実は鍼灸師でもあります。