最近、メインで見ているのはラグビ
ー選手たち。
彼らを見ていると、多くの選手が上
半身のトレーニングを行う際に、肩
の可動域が出ないのが気になります。
オーバーヘッド動作では常にシュラ
ッグ(首を縮んだ状態)をしてしま
ったり、ものすごく腰を反っていた
り。
ガチッ!!と首周りが固まっている
んですよね。
結果として、胸鎖乳突筋や斜角筋の短
縮を引き起こします。
胸郭出口症候群のような神経症状を訴
える選手も結構な数いるのです。
特にスクラムを組んだり、コンタクト
の機会が多いフォワードによく見られ
る傾向。
![](https://i0.wp.com/yuji163.com/wp-content/uploads/2018/12/IBOX_0295.jpg?resize=300%2C200&ssl=1)
肩の可動域は狭くなっており、腰に
かかる負担も大きくなるのは、ラグ
ビーあるあるですね。
「これだけ代償動作が出ているから、
肩のコレクティブエクササイズをプ
ラスしないとなぁ…」
そう考えるのは至極当然。
でも、肩の可動域を邪魔している一
番の原因は、首の動きが制限してい
るから、ということもあります。
こんな状態の選手たちに、いったい
どんなふうに指導をしているのか、
具体的にいくつか紹介しましょう。
実際の指導で行っていること
1.シンプルな呼吸エクササイズ指導
最も簡単な首の調節はしっかりと
深呼吸ができるように促すことで
す。
仰向けになり、両膝を立てた状態
で口から息を吐ききらせる。
深呼吸がうまくできない選手は、
この時点で、腰を反らせて酸素を
取り込もうとしがち。
![](https://i0.wp.com/yuji163.com/wp-content/uploads/2018/12/IMG_0389.jpg?resize=242%2C181&ssl=1)
床と腰の間に隙間ができないよう
に、自分の手を入れて、そこを軽く
抑えつけるように、指導するのも効
果的でしょう。
そこから5秒かけて鼻から息を吸い込
ませて、10秒かけて口から「細く」
息を吐き出す。
正しい呼吸によって横隔膜の動きが出
てくるはずです。そうすると胸郭の動
きが引き出されます。
それほど首を意識しなくとも可動域が
広がり、結果的に肩の動きにも変化が
起きます。
特に肩の内転・内旋動作はわかりやす
く広がるはず。
ビフォーアフターでぜひ一度比べてみ
てください。
今回紹介した方法で、なかなかうまく
できないような重症なケースでは、
膝を軽く曲げ、壁に両足の裏をつけた
状態で、左手で風船をもたせ、首を
「長く」した状態で口から風船をふ
くらませたり、というのもオススメ。
PRIで学んだことの応用ですが、腹圧
を正しく入れるのに効果的です。
![](https://i0.wp.com/yuji163.com/wp-content/uploads/2018/12/fusen3_fukuramu_big.png?resize=231%2C231&ssl=1)
2.コレクティブドリルを実践する
コレクティブドリルを用いて、頸部
回旋の可動域を出していくものを行
わせるケースもあります。
よく使うものが、肩を下制、内転
させた状態で、首を回旋させるもの。
![](https://i0.wp.com/yuji163.com/wp-content/uploads/2018/12/Shoulder-packing.jpg?resize=177%2C300&ssl=1)
フラットベンチに座った状態で、
後ろ手でやや重めのダンベルを
持つ。
自然と肩甲骨下制を促した状態
で、肩甲骨の内転をキープ。
「パッキング」と言われるテク
ニックですが、この姿勢を保持し
た状態で、首を右or左へ最大限回
させます。
この際、息を止めないように要注
意。
息を優しく吐きながら、目一杯回
して、行ききったらそこで深呼
吸を4~5回繰り返します。
左右ともにこれを行った後、2回
目は首を最大限回旋させた後、
更に腰を最大限回していきます。
この際も肩甲骨の内転がほどけな
いように要注意。
ちょっとわかりづらいですが、画
像をご参照ください。
3.肩周りのパートナーストレッチを行う
これは最終手段に近いですし、必
ずストレッチの後には、選手本人
で自ら動かすような自動運動をさ
せる必要があります。
2000年前後からの長年の習性か
ら、つい手技を使った関与をし
がちである悪い癖が出ないよう、
私自身は自戒している部分です。
2010年以降広まった、機能的な
動きづくりの基本として、まず
は自身のモーターコンロトール
を利用したアプローチに目を向
けること。
これが大切です。
![](https://i0.wp.com/yuji163.com/wp-content/uploads/2018/02/IMG_5805.jpg?resize=225%2C300&ssl=1)
呼吸や首のアプローチでわかること
1や2はとてもシンプルな方法では
ありますが、「身体部位の相互依
存」というのを実感として理解で
きる変化です。
肩の動きが出ないから、肩にアプ
ローチする、という方法が悪いわ
けではありませんが、大きな原因
として肩が問題ではないと判断し
た場合。
可動性-安定性の関係から、まず
は近い関節である首や胸椎、腰椎
などに着目する、というのは実践
的な考え方でしょう。
ラガーマンに見られる典型的な肩
の動きが出ない選手に対して、こ
ういったアプローチを試すだけで
なく、「なぜこんな動きがイン
プットされているのか」という
ことに目を向けましょう。
ラットプルダウンやチンニングなど
のプル動作では、力むあまりに顎が
突き出た姿勢になっているかもしれ
ません。
![](https://i0.wp.com/yuji163.com/wp-content/uploads/2018/12/gym-room-1181816_640.jpg?resize=300%2C207&ssl=1)
首を少し引き込んだ位置を教え、
頭と首の位置を正したりしましょう。
ランドマインプレスなど肩の外転
を伴う「突き出し動作」を行う際
に、胸椎の動きがうまく出ず首
が縮んでいる状態になっているか
もしれません。
グラウンドでのスプリント、あま
りにもアームスイングの引く動作
が非効率的で首の上下動が大きく
なっている場合もあります。
![](https://i0.wp.com/yuji163.com/wp-content/uploads/2018/12/running-297154_640.png?resize=257%2C201&ssl=1)
影響を与えている動作や姿勢が1つ
だけであることは、私の経験上ほ
とんどありません。
複合的に要素があるはず、という
視点を持ち、できるだけたくさん
の仮説を持つようにすべき。
常に自戒しつつ、業務を行ってい
きましょう!
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YUJI HIROTA
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