コーチング上達には声かけが重要!キューイングはトレーナーの大切な技術だ




キューイング、という呼び方、聞いたことありますか?

キューイングは、運動指導の際などに使う効果的な声かけのこと。英語ではCoaching cueのほうがよく使われているのかな…

キューイングを上手に使う事で、トレーニング指導の質は一気に高まります。

「ああ、経験があるトレーナーさん/S&Cコーチだなぁ…」そう感じるテクニックの一つが、このキューイングの的確さなんですよね。

 

キューイングについて

内的キューイングと外的キューイング

キューイングには2タイプあります。

内的キューイング(Internal cue)と外的キューイング(External cue)です。

内的キューイング
論理的で本質的な声掛けで行うもの。
・「股関節をしっかりと伸展させて臀筋を収縮させる感覚を出そう!」
・「体の重心を感じながら、腹横筋を意識して腹腔内圧を高めていきます。」など
外的キューイング
例えやイメージを使った声掛けは外的キューイング。
・「後ろにある壁をグーッと足の裏で押し付けるようなイメージで!」
・「お尻の穴を後ろの天井に見せるようなところまで~(失礼!)!」など

私自身、5年ほど前までは、感覚的に使ってきた2つのタイプのキューイング。
2015年からマスターコーチとして関わらせていただいたCFSC(Certified Funtional Strength Coach)を学ぶ中で、改めて深く考えるようになったんですね。

 

どちらのキューイングが効果的かは相手次第

論文ベースでいえば、外的キューイングがより効果的なんだよ~というものが多い(1のですが、実際の指導の際には相手次第。これが2018年の現段階での私の結論です。

内的キューイングに関して

熱心であったり理屈っぽい選手には内的キューイングって相性がいいです。専門用語などが入ることで、より理論的に正当性のあるものを行っている、という安心感にもつながっているのでしょう。

また一流と呼ばれるレベルのアスリートであれば、体性感覚がとても鋭いもの。体の使い方の微妙な違和感などに対して、内的キューイングを用いることで、すぐにピンときて修正できる選手も存在するのです。

↑日本を代表するサブマリン投手となった渡辺俊介投手は、正にそんなタイプの選手の一人でした。

 

外的キューイングに関して

一方で感覚的な選手に対しては、外的キューイングやスポーツオノマトペなどと呼ばれる擬態語(グングン、でなくグイーンって感じ、のような)を用いることが多いです。イメージしやすいって大事ですからね。

当然ですが、小さな子供やジュニアスポーツの選手などは、難しい言葉や自分の身体の内側に対する呼びかけってなかなか理解できないですよね。彼ら、彼女らにはやはり外的キューイングがメインとなります。

無意識でも使い分けを

私が自分では武器だと思っている技術向上につながる体の使い方。これは内的キューイングを用いて事前に説明し、本人が行っている最中ではポンっと外的キューイングで導くことが多いです。

説明したことに納得し自分で動き始めても、「あれ、どうだったっけ?」となる選手が大半。
そこですぐに「右ひじだけ左わきにぶつけてきて!あんまり考えるな!」みたいなキューを出しています。

大切なことは、「こちらが伝えやすい表現で選ばない」こと。ほぼ無意識レベルではありますが「相手に伝わりやすい表現や感覚で使い分けている」ことがポイントだと思っています。

 

相手をざっくりと3タイプに分けて判断

結局、キューイングの使い分けは手段の一つなので、現場で選手やクライアントと向かい合っているときに基準になるのは「相手に伝わるように伝える」ことだけ。

その判断基準というか、ベースとなる考え方というのはあるだろうなぁ、と自分自身を分析してみると…。どうやら相手を視覚派、聴覚派、感覚派のどのタイプかで判断しているようです。

・視覚派…とにかく目で見て確認したいタイプ。表面的に理解し「失敗しないように」やりたいタイプが多い
<対処法>
正しいデモを見せる、ありがちなエラー動作を見せる、が有効。外的キューイングから入るほうが◎

・聴覚派…理屈っぽい人が多い。伝え方に一番気を遣うタイプ。
<対処法>
内的キューイングから入る方が理解しやすい。そのうえで外的キューイングを織り交ぜて実技を見せる。

・感覚派…イメージ先行で飽きっぽい。あまり難しく考えないが、はまると最も時間がかかるタイプ。
<対処法>
運動中に体の意識させたい部位を触るのが効果的。比喩やオノマトペをとにかく多く浴びせる方がいい。はまると途端に動きが良くなることが多い。

 

チーム単位で指導する際には、感覚派にも見本となる実技は見せます。しかし、どうせしっかりと見てはくれないのでやらせてみて、相手を触ったり、どういう感覚で行うといいのか、というところにフォーカスして指導しています。

現場に出てしまえば、キューイングなんて格好いいものじゃなくて、山本五十六さんの言葉みたいな感覚に近いのでしょうね。

「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。」って感じです。

 

指導中・講義中こそ一番楽しい

気がつけば16年ほどスポーツ現場で仕事をしていますから、初見でだいたいタイプはわかります。これ、誰でもわかるものではないそうなので、数少ない自分の武器なのかもしれません。

セミナーをさせていただくときでも、話をしながら、動きをみながら、こんなことを考えています。

「ああ、ここに反応するのだからこの人は聴覚派なんだな、そうなると次の弘田の表現は全然わかってもらえず怪訝な表情をするんだろうなぁ…。」

「あ、やっぱりそうか。その点この横の学生は超感覚派だなぁ、実技の時には彼にデモをしてもらうと盛り上がるぞ。そうしよう!」

…こんなことを考えながら講義させてもらっています。これが楽しい。

何を話すかも大事だけど「どう伝わるか」はもっと大事。そう思っているので、私にとって自分が準備してきたものを予定通りやる、ということは最優先事項ではないんです。

もちろん決められたテーマがあり、その話を期待している人もいらっしゃるので、ポイントは押さえておかなくてはいけませんが…。

トレーニングの指導中やセミナーでの講義中。ライブのこの瞬間が一番楽しい。この時間を過ごしているときが「ああ、天職に出会わせてもらったんだなぁ」と幸せになるんですよね…

習慣化している相手のタイプをみる癖

実技指導の際だけでなく何かを伝える、という際には雰囲気や仕草、質問の内容。
そういった情報から選手やクライアント、受講者のタイプを鑑みる、ということが習慣化しているようです。

その見立てからある程度効果的だろうキューイングを使っている、という感覚。私はそんなものを大切に、キューイングを活用しているようです。

最後はやや話がズレましたが、キューイングに関して掘り下げていきました。皆さんの参考になれば嬉しいです!

 

まとめ

・「キャリアや腕があるな~」と思う同業者の方はキューイングのセンスがある

・内的キューイングと外的キューイング、何となくではなく自分なりに咀嚼しておくと精度あがる

・前提にあるのは「相手に伝わるように伝える」という本質

・ライブの中で相手を感じて、指導させてもらう時間が一番楽しいなぁ

<参考文献>
(1)https://journals.lww.com/nsca-scj/Fulltext/2016/02000/Coaching_Instructions_and_Cues_for_Enhancing.1.aspx

 

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YUJI HIROTA

アスリートスポーツの現場をメインに活動するトレーニング・コンディショニングの専門家。「コンディショニングコーチ」ですがスポーツトレーナーといった方がわかりやすいのかも。実は鍼灸師でもあります。









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アスリートスポーツの現場をメインに活動するトレーニング・コンディショニングの専門家。「コンディショニングコーチ」ですがスポーツトレーナーといった方がわかりやすいのかも。実は鍼灸師でもあります。