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子供のスポーツにはまず運動体験の量!運動スキルばかり追って親のエゴにならないために知っておくべきこと

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我が家の次女。中学生になり女子
サッカーのクラブチームに加入し
ました。

1年ほど前の入会前。

チームから軽い助走から片足で跳
びあがり、高さの頂点でボール
キャッチをする練習をせよ、と
いう課題が出ました。

走る、切り返すといった動作は得
意なものの垂直方向への動きは苦
手な次女は、片足ジャンプが上手
くできませんでした。

それに加えて高く上げたボールを
頭上でキャッチすることも、そも
そもボールの真下に入ることが、
当時はうまくできていない状態。

こりゃあ確かに指導したくなるよ
な、という不格好なものでした。

このとき、娘とのコミュニケー
ションタイムとして、楽しみつつ
運動指導をした際、改めて感じた
のが、

「さまざまな運動体験を多くさ
せることの貯金が運動スキルへ
と転化させるのだ」

ということ。

ジュニアスポーツに関わる指導者
やお子さんを持つ保護者の方の
参考になれば、と思う考え方を
シェアしていきます。

 

運動体験を多くさせることが王道

言葉の定義づけって重要。ここ数年
学ばせていただいている小俣よしの
ぶさんのセミナーなどを聞いている
と、そのことを痛感します。

[box class=”blue_box” title=”「運動スキル」の定義”]身体活動のためのコツなどを含む熟達した能力[/box]

それに対して運動体験。

[box class=”yellow_box” title=”「運動体験」の定義”]何かを主体的、自主的に関わり、感覚などをとおして意識として感じられること[/box]

きちっと定義づけをすると明確な
違いがあるんですよね。

自らの意識の赴くままに、体と感覚
を通して想像力や創造性を駆使して、
できる/できない、楽しい/つらい、
簡単/きつい、速い/遅いなどを経験
すること。

これこそが運動体験なんです。

意図的に作られていない物事を
「感情」や「五感」を交えて、工夫
しながら経験していく部分が一番の
鍵となる。

今、改めてそんな風に考えています。

 

自主性・主体性がポイント

こういった定義づけが曖昧なまま
だと、ついつい指導者や保護者は
子供に対して「運動スキル」ば
かりを教えることになりがち。

悪気はないんですよね。

子供のために、「大人の頭で
考えて」協力してあげようと
考えると、運動スキルばかりを
教えることになるわけです。

でも。

自分の体と感覚を通して、想像
力をかきたてられつつ、血肉と
なる運動体験という、いわば
土台の経験を広げること。

これなしに、いきなりコツとい
う教えることが本来不可能な
高度に熟達した能力である
運動スキルを教えるのは、明ら
かに無理がありますよね?

少なくとも9-10歳ぐらいまでの
間は、スポーツの中心にあるの
は、ワクワクとした好奇心で自
ら動きたくて仕方のないゲーム
性や遊びであるべきです。

その「仕組みづくり」こそ大人
や専門家が責任を持って提供し
ていくべきものではないか。

個人的にはそう考えています。

 

ナッジ理論を応用すべし

私が考える理想的な状況とは、
「子どもたちが自主的、主体
的に遊んでいると感じている
環境を、大人たちがさりげな
く意図的に構成する」という
仕組みづくり。

行動経済学の分野で有名な
理論、「ナッジ(Nudge)」
をご存知ですか?

これ、本来は注意や合図のため
に「肘でつつく」という意味。

あくまで選択の余地を残しなが
らも、消費者を特定の選択肢に
誘導させるという手法です。

これ、よく例えで出されるのが
コンビニや駅のホームにある、
足跡のマークです。

「ここにお並びください!」と
は一切書いていないものの、
何となく、促されるように
模範的な行動をとってしまい
ますよね。

この理論を応用することは、
それほど難しくないはず。

ものをつかんで移動する、など発
育に伴って体験してもらいたい動
作を、

「少し小高い丘の上から握りや
すそうな綱が垂れていて、看板
には『天気がいいと富士山が
見えるよ!』と書いてある環
境を与える」

ことで喚起する、という感じで
しょうか。

子どもたちのワクワクを削がず
に、たくさんの運動体験を自然
と得られる環境づくり。

そんな活動も、どんどんしていき
たいと思っています。

[box class=”green_box” ]*ナッジ理論のわかりやすい説明を知りたい方は、この本がオススメです。[/box]

 

我が家の次女のケースでは

この定義づけでいうと、冒頭に
紹介した我が家の次女に与えら
れた課題も意図的に作られた
プログラムとなります。

指導者の方からすれば、「空中
にあるボールの位置を正しく把
握し、タイミングよくジャンプ
することでヘディングなどのせ
り合いのイメージを高めさせた
い」という意図があるはずです
から。

専門家の端くれとして、この動き
ができたからといってサッカーの
スキルに転換する可能性は低いだ
ろうなぁとは感じました。

それでも「こういった要素を高め
るためには、まずこんな動きを習
得してほしい」という明確な意図
が指導サイドから出ていること自
体が素晴らしいこと。

「ちゃんと飛べ!」じゃ指導して
いるとは言えませんから、こう
いった指示はありがたいわけです。

さらに今回はこの課題に対して
「なかなか上手く出来ないから
できるようになりたい!」と次女
自主的に依頼をしてきたという
こともポイント。

完璧に自由な環境下でトライして
いるものではないものの、自主的
・主体的に取り組んでいれば向上
する可能性はあるはず。

そう考えて、当時、娘と二人で1
時間ほど自主練習をしました。

疑似でもいろいろな動きや感覚を体験させたい

コツは「感覚」であり教えられる
ものではない。

だからこそ本人の感覚が出てくる
ような分習法を工夫しつつ教えて
みました。

「これ、言われた通りの動きじゃ
ないけど…?」とちょっと不安げ
な娘に対して、

「大丈夫!こんな感じがだんだん
つながっていくから!」
という雑な答えでやり過ごし終了。

それでも彼女なりのイメージを楽
しみつつもつかめたようなので、
充分有意義な時間だったと感じま
した。

1回のセッションでガラリと変わる
ようなマジックは与えられないで
すが、娘とのコミュニケーション
の時間としても、とても楽しくて
貴重な時間でした。

 

ジュニア世代の運動指導が一番難しい

運動指導ってきちんと取り組むと
本当に難しい。

ジュニア世代に対する指導であれ
ばなおさらです。

だからこそしっかりとした知識を
持って、責任と自覚を持って教え
ないといけませんよね。

良かれと思って行って逆効果に
なってしまう事例が、まだまだ
世の中にはあふれていますから。

遊び心を忘れずに、楽しみながら
今後も子供と向き合っていきたい
と思います。

コチラの記事もご覧ください
子供の運動指導に大切なこと。結局重要なのは親の意識を変えること

 

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YUJI HIROTA

アスリートスポーツの現場をメインに活動するトレーニング・コンディショニングの専門家。「コンディショニングコーチ」ですがスポーツトレーナーといった方がわかりやすいのかも。実は鍼灸師でもあります。
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