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とにかく実際の現場指導を見学しよう

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短いブログになりますが、今回は「とにかく現場指導を直に見学する機会を作ろう!」というテーマで書いていきます。

私のようなトレーニング指導をメインとしたトレーナー業であれば、特にウォーミングアップが参考になるよといったお話です。

百聞は一見にしかず

百聞は一見にしかずということわざがありますが、現場見学をさせていただくと、実感としてその意味がわかるはずです。

・現場での立ち振る舞い
・言葉の使い方
・実際の指導の雰囲気

自分が知識として知っていたことも、「なるほどなぁ…こんな風にアウトプットしているんだなぁ…」と短い時間で理解できる。こんな機会は、実はそうそうないもの。

ストレングス&コンディショニングだけでなく、トレーニング指導を行うトレーナーであれば、特にウォーミングアップは参考になります。実際に目で確認をしてポイントをどこに置いているのか、自分なりに分析してみるのはすごくオススメです。

ウォーミングアップの一般的な目的は、ケガの予防。やはり筋肉系のトラブルが多いので肉離れ等を避けたいところですよね。そして最終的にはお尻の筋肉を効かせられるように教育をしたい。

ジャンプや切り返し短距離でのダッシュなどの爆発的な動きに対して、自分の体をコントロールしながら実施できるように、選手を指導していきたいものです。

やはりトレーニング指導に関しては、他の人が指導しているのを「まっさらな気持ち」で見るのが勉強になると思います。

この「まっさら」というのが大事なポイント。どうしても偏見やプライドを含めた、自分のものさしというのが、見学の際には邪魔をしてしまうことが多いからです。とにかく先入観を一切挟まずに、素直な気持ちで見学をするのが1番いいです。

私の場合、前述したようなポイントが基本ですが、アップで気をつけていることは「とにかく詰め込みすぎないこと」です。

アップであったとしても、ウエイトトレーニングと考え方はそれほど変わりません。どの時期までにフィールドレベルでチームとしてどういった動きができるようにしたいかというところから、逆算していくことが最優先です。

もちろん筋温、筋肉の温度をあげるとかダッシュしうる状態に、というのは一般的な目標は達成します。そのうえで、逆算思考から導く種目や動作が、全体の3割を超えないようにしながら教育しつつ仕上げていくという感覚です。

新しいことばかりを詰め込んでしまうと、そもそもの精度が下がりますし、きちんとした理解につながりませんからね。

 

野球の場合、伝統的にウォーミングアップの時間が一番長くまとめて取らせてもらえる、という事情があります。半ばトレーニングというか運動指導にも近いような形になっているのですが、30分〜40分使って指導していきます。

ラグビーの場合は15分を超えると「長すぎる!」と怒られちゃうので、Short & Sharpに仕切っていくのが普通です。

ウォーミングアップを見てなんとなく今後の流れというか、ストーリーを感じられるトレーニング指導者は、間違いなくセンスのある専門家です。

トレーニング系のトレーナーの優秀かそうでないかを見極めるのは、アップの内容やテンポ、そのストーリー性をみているとわかるものなんです。

現場見学のハードルの高さを肝に銘じよ

いいことずくめのように感じるスポーツ現場見学。しかし実はハードルはとても高いものでもあります。受け手側の専門家や所属チームの事情です。

1.受け手側の専門家の事情

見学される側の立場からすると、ただ自分の指導を見られる、というのはプレッシャーしかなく、わかりやすいメリットがあるわけではありません。

中には何年も費やして試行錯誤した結果として、作り上げた流れや方法も持っているかもしれません。そのまま「丸パクリ」されるだけ、というのは、ちょっと切ないし許しがたい。そんな気持ちになるであろうことは、容易に想像できます。

それでも大多数の指導者は「自分もそうやって先人の方たちから学んできたし、自分自身のフィードバックにもなるから、できるだけ受け入れてあげたいな」と考えて、協力しようとするものなのですが、今度は別の問題が。

所属するチームの守秘義務問題です。

2.チーム側の事情

ウォーミングアップのみ見学ということは少なく、全練習を見学し、ジムやトレーナールームなどの施設見学も同時にさせてもらいたいというケースの方が多いもの。

しかし公式戦が近づくと、セットプレーやサインの確認など、チーム関係者以外には洩らせない練習が多く入ってくるので、チーム側からは快い返事がもらえないケースが多いのです。

ここ数年は新型コロナウイルス感染拡大の影響もあります。チームスタッフであっても、毎回の検温やIDチェックが課されて、必要最小限の人数で実施するよう厳しく管理をせざるを得ません。

見学を希望する側は、こういった事情を察した上で、

・相手への敬意を忘れない
・見学時期を考慮する(公式戦中や直前は避ける)
・先方の希望する時間や日程を最優先する

当たり前ですが、上記のような配慮とそれなりの緊張感は携えたうえで、見学をお願いしましょう。

私のケースでも、先生に依頼されて学生たち数名が見学にやってきた際、あまりにも学生たちの態度が悪く「お前らはもう帰れ。学生だからとか能力以前に、アスリートスポーツに対する敬意とか意識が足りないんだよ。時間のムダだ」と、先生の許可も得ずに直接学生を帰した経験があります。

社会人として大人気ない対応でしたが、40代半ばになった今であっても、状況が同じ場合は全く同じ行動に出ると思います。

選手たちが真剣に練習を行うグラウンドやジムは戦場です。その雰囲気を感じ取れない人は、その場にいるべきではありませんよね。

少し脱線しましたが、練習見学を希望する場合、たくさんのハードルがあり、多くの人が尽力してくださっているだろうこと。この想像力は携えた上で、感謝をして現場見学をしてもらえれば…と思います。

私自身も経験がありますが、スポーツジムの施設見学などとは引き受ける側の意識やハードルが全く違うのは、ぜひ理解しておきましょう。

まとめ

チャンスにさえ恵まれれば、スポーツ現場を見学できることは、2時間の有料セミナーに出たり、5,000円クラスの専門書を読むよりも、効果が大きい経験です。

焦りも気づきもたくさん与えてもらえます。

現場で活躍する諸先輩方も、「できるだけ受け入れてあげたい」と考えてる人がほとんど。礼を逸することなく、手土産と敬意を携えて、ぜひお願いをしてみるといいのではないでしょうか。

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YUJI HIROTA

アスリートスポーツの現場をメインに活動するトレーニング・コンディショニングの専門家。「コンディショニングコーチ」ですがスポーツトレーナーといった方がわかりやすいのかも。実は鍼灸師でもあります。
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