2019年10月11日土曜日。
日本列島を巨大な台風が襲い多くの
人が被害に遭われました。
目を疑うような浸水被害の現場を
動画で観ると胸が痛みます。
今回の出来事で痛感したのが誰し
もが持つ「バイアス」の厄介さ。
何でも仕事に結びつけて考えるの
は悪い癖ですが、トレーニング
指導の際にも気をつけたいこの
バイアスについて考えていきます。
「バイアスがある」ということを自覚せよ
正常性バイアス
今回の台風も未曾有の大型台風であ
ることは、1週間近く前から発表さ
れていたわけです。
それでも、心のどこかで
「また言われているほど大したこ
とはないだろう」という思いが
あった方も多いはず。
今回の台風規模を知るにつれ、
「絶対に正常性バイアスには流
されないぞ」と心に決めました。
(面倒だからは考慮しない)
・氾濫・そして最悪の決壊の可能性を否定しない
(2階にいれば大丈夫は通用しない)[/box]
午前2時50分、荒川の決壊の可
能性を示唆する2件のWebニュー
スをTwitterで目の当たりにし、
すぐに家族を起こしました。
台風のピークが関東を過ぎたばか
りのタイミング。
外出するリスクが大きいのはわ
かっていましたが、
「この情報で大部分の人はどう
するだろう?」と考えたとき、
ほとんどの人が、
「大丈夫(であってほしい)」と
家に残る選択肢をするだろうと思
いました。
だからこそ「ここは南の高台へ
念の為移動するんだ!」と決めま
した。
結局30分ほど様子を見て、荒川
の水位がピーク時より2割ほど下
がった情報を見てから自宅に戻り
ました。
この判断が正しいか間違っている
かという結果論ではなく、
「バイアスに支配されない」と
意識することが大事。
私自身としてはそう考えています。
トレーニング現場と「透明性の錯覚」
トレーニング現場においても無数
のバイアスが存在します。
その中で最も気をつけたいのが
「透明性の錯覚」と呼ばれる
もの。
ごく簡単に一言で伝えるならば、
「自分の考えや感情が、実際以
上に他者に伝わっていると思っ
てしまうこと」です。
最近ツイートして多くの人から
反応をいただけた内容が下記の
ものです。
「OK?じゃあ俺が説明したことをオウム返しでいいから言ってみて!今度は俺に説明してみて!」
→学生スポーツに携わるコーチやトレーナー業は必ずこの癖をつけよう。
いかに伝わっていないかに愕然とするはず。
言ったから伝わってる、というのは大間違いだし傲慢。#スポーツ現場#トレーナー
— ひろたゆうじ@アスリート指導500人超えスポーツ現場トレーナー (@yuji163) October 13, 2019
なぜこんな癖づけをしているか、
というと自分自身が「透明性の
錯覚」にどっぷりとハマってし
まわないようにするため。
中途半端に選手を信じたり、
「何回言ってるんだよ!」と怒っ
たりする。
これではまるで、高校生のカップル
みたいですよね?
どうせ最初から話の半分も聞いてい
ないだろう(…失礼な表現ですが)
と半ば諦めて、とにかく大切なのは、
バカの一つ覚えのように繰り返す
こと!
それで初めて伝わるし、浸透率が高
ければ高いほど最終的に「文化に
昇華」するのだと思っています。
自分が主観的であるという自覚を忘れるな
某九州の高校サッカー指導者のグラ
ウンドでの暴力映像が拡散していま
す。
言語道断だし、厳しく処されるべ
き。
そのうえで、なぜこういった指導者
が興奮して怒っているのか?を推察
すると。
たぶん「何でお前はわかっていな
いんだ!」という勝手な裏切られ
感なのではないかと思うのです。
私が今まで見てきた「理不尽で暴力
的な指導者」の特徴の1つがある種
「選手が理解してくれていると甘
えて」おり、「依存に近い愛情を
持っている」と感じるからです。
「なぜお前をこんなに愛している
俺の言うことが聞けないんだ!!」
と妻にDVを働く夫と同じような
マインドなのだと思います。
支離滅裂であり、そこに本質的な
愛情も教育もないのは間違いあり
ません。
しかし、変に「うちの選手は大丈
夫」、「俺のクライアントは理解
してくれている」という勘違いし
た自信とは違う過信を持つ可能性。
これはどの指導者やコーチにもあ
りうることですよね?
そう考えるととても怖いこと。
こういった勘違いに陥らないため
に必要なのは、俯瞰して自分を
評価する癖をつけることです。
1日に1回はそう呟く。それぐらい
の意識でいるべきです。
まとめ
・人は知らずしらずバイアスを持っている
・自分は正しいと思い込まない
・選手やクライアントには「しつこくて怒られるかな…」ぐらい繰り返そう
・自分は主観的であることを自覚しよう
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YUJI HIROTA
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