トレーニング指導は私の仕事の中核をなすもの。同業者の方でプログラム作成に慣れているなぁ・・・と私が判断する基準の一つが「トレーニング変数」としてポジショニング(姿勢)の変化を自然と取り入れているかです。

初級者ほど重量や量、セット数で変数を動かそうとしがちですが、「ポジション」というフレームワークを持つと、運動強度のバリエーションや幅はぐっと広がります。

ポジションの使いこなしからも指導歴や指導者のレベルって垣間見えるもの。今回はその中でも「両膝立ち」と「片膝立ち」を中心に、私が考えていることを書いていきます。

 

両膝立ちと片膝立ちの使い分け

両膝立ちの問題点

英語でTall Kneelingと表現される両膝立ち。私はトレーニング変数の中の強度の要素として、ポジションを捉えています。仰臥位、腹臥位、四位(よつんばい)、片膝立ち、スタンディング、片足立ち…

以前は、この流れの中で四位と片膝立ちの間に両膝立ちを入れるパターンがほとんどでした。

しかし2015年4月に受けたCFSC(Certified Functional Strength Coach)マスターコーチの講習会。マイクボイル主催の施設、MBSCから講師として来日した、ケビンララビン氏の一日講習の中で、この両膝立ちについての話題になったのです。

2014年前後より、マイクボイル氏は両膝立ちパターンを使うことが極端に減ったとのこと。
胸椎の過伸展が出やすくなることが大きな理由。そしてプログレッションの過程で姿勢パターンとして難易度を規定するのが難しいというのが補助的な理由でした。

この話を聞いたとき、今まで自分がそれほど深く両膝立ちについて定義付していなかった事に気が付きました。

 

両膝立ち(Tall Kneeling)への考え方

両膝を活用する際のデメリットを考えてみましょう。

・両膝立ちから外的な負荷をかけると骨盤は前傾位に寄りやすい

→・負荷が上がれば上がるほど、その外力に対して骨盤は更に前傾位へ

→・胸椎の伸展がより強まる

・腰椎の負担が高まる!

特に、プル(ロウイングなどの引く動き)種目の場合はこの傾向が強くなるのも明らかでしょう。

もちろん両膝立ちのポジションで生きる種目も存在します。
水平方向のプッシュ(特にMB種目)では両膝立ちは有効。この肢位でしか出来ない種目(GHRなど)もあり、そこでももちろん活用しています。

片膝立ち(Half kneeling)への考え方

片膝立ちの持つメリット

最もありがたい片膝立ちのメリット。
それは胸椎の過伸展を予防しやすいという点です。

プル系種目では、基本的には両膝立ちは使わずに、片膝立ちを適用。
その際も最も大切なキューイングは脊柱のニュートラルポジションを保持させること。

「頭のてっぺんから釣り糸で引っ張られるように」

「背中を反らさずに2cm背を高くしよう!」

こんなキューイングが効果的でしょう。

 

片膝立ちの中でも細かく強度の変化をつけられる

両膝にはない片膝立ちのメリット。
それは片膝立ちの中でも、さらに細かく強度の変化をアレンジできることです。

どうやって変化をつけるか、想像できますか?

・・・答えをいうと超シンプル。

片膝立ちの足幅を変えるだけです!

上の画像ではふざけて×印にしていますが、この姿勢はワイドスタンスの片膝立ちとして使用可能。
片膝立ちでは難易度が高い場合、足幅を広げること=支持基底面を広げることになり簡単になるからです。

通常の片膝立ちよりも難しくしたい場合、立ち上がることを考える前に、インラインというポジションを考えてみましょう。

これは片膝立ちの前足と後ろ足を一直線上にのせる、ということ。支持基底面が狭くなり、バランスという観点から難易度はぐっと上がります。

片膝立ちの中での難易度変化
簡単:ワイドスタンス片膝立ち

通常:片膝立ち

難易度高:インライン片膝立ち

同じ片膝立ちの中でも、3つの細かな足幅設定により、さらに難易度を細分化できる。このことを覚えておくのは有効ですよ!

 

片膝立ち種目の指導の際の注意点

意外と盲点なのが、足の組み替えを忘れてしまうこと。
セット毎に左右どちらも前後になるように指示
してください。

足の位置の偏りがアンバランスを生む可能性がありますからね。

今後、種目や道具、そして新知見の論文データなどによって、考え方が変わることもあるはず。
しかし大前提として、言われていることや自分の中の常識を、常に疑いの目を持って再考できる柔軟性を大切にしていきましょう。

こちらも合わせてお読みください→KISSの法則はチームスポーツをみるトレーナーが知るべき考え方

 

頑迷さ、素通り、どちらも良くない

頑迷なところがある私。

常に「変化を恐れず常識を疑う」意識を持っておかないと、変化を受け入れることができません。
40を過ぎて、年齢的にもしなやかさを保つのが難しくなっているのかもしれません。

若いトレーナーの中には、新しい情報をすっと疑いなく取り入れる人もいます。自分の考えというフィルターを通さずに「新しいことはいいことだ」というフレームワークになっているタイプですね。

どちらも危険なことであり避けるべきことです。

微妙なバランスを保ちつつ、自分自身のフィルターを通して、しっかりと咀嚼をしたものを提供する。こういった意識が大切なんでしょうね。

 

まとめ

・トレーニング変数の要素として「ポジション」はとても有効且つ必須

・両膝立ちでは骨盤前傾位が助長され胸椎伸展も過度になりやすい

・片膝立ち・両膝立ちの使い分けを自分の頭で整理しておくのは大切!

 

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YUJI HIROTA

アスリートスポーツの現場をメインに活動するトレーニング・コンディショニングの専門家。「コンディショニングコーチ」ですがスポーツトレーナーといった方がわかりやすいのかも。実は鍼灸師でもあります。









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