フリーランスの独占禁止法保護で改めて考える契約のこと




2018年2月16日金曜日の日経新聞。3面には「フリーランス独禁法保護」という大きな記事が載りました。

私のように一個人として企業と直接契約を結ぶフリーランスにとっては大きな話題。こういったニュースをいかに早く正確に理解できるか。働くうえで大切なリテラシー(読み書き能力)でしょう。

過剰な専属契約や競合他社への転職制限の抑止力に

今回、公正取引委員会で保護の必要があるとされたのは、雇用契約を結ばない独立した個人事業主として「業務委託契約」などの形で企業から仕事を請け負っている人たち。

正に私のようにトレーナー業としてチームと単年契約を結ぶ人たちが対象です。

私の場合、幸いにして契約上の大きな問題に直面した機会はまだありません。しかし一個人と企業との契約では、どうしても個人が不利な取引条件を迫られることが多いもの。

日経新聞の記事の中では、公取委が事前に約550人のライターやデザイナーに行ったアンケート結果を発表。企業側から契約書面が交付されないケースが約34%、追加作業の費用を負担してもらえない例が約37%あったとのことでした。

日本において不利な条件を泣く泣く引き受けている人の数は、想像以上に多いということでしょう。

こういった現状を踏まえて、公取委はフリーランスを独占禁止法によって保護する指針を発表したのです。

具体的には、有名タレントと所属事務所の間で見られるトラブルなどに多い印象の「過剰な専属契約を課す」ケース。競合他社への転職制限を必要以上に強いるケースや、同業他社間で「引き抜き防止協定」を結ぶケースなどは、今後独占禁止法違反になる恐れがあります。

私のような働き方で、社会人ラグビーチーム同士や野球チーム同士で「今後10年以上のキャリアのあるコンディショニング専門家はお互いのチームから雇わないようにしよう」などという協定が結ばれたら… ちょっと考えただけでもぞっとしてしまいます。

そういった面からも、今回の運用指針発表はとても心強いニュースとなりました。

フリーランスとして知っておくべき契約条項

今回のニュースに関連してつくづく思うことは、自営業スタイルで働くトレーナー業はもっともっと契約条項や契約書の詳細を勉強する必要があるなぁということ。

私自身、今まで10通以上の「業務委託契約書」締結の機会がありました。その一つ一つに一生懸命目は通すものの、例の「甲は乙に対して…」の難解な文面に、理解できないものが多いのもまた事実。

ベンチャー企業のコンサルタントをされているビジネスマンの方曰く、「契約書は本来『仕掛けるもの』。自分や会社を守るための知識が必要だ」とおっしゃっていました。

これが本当だと恐ろしい限りですが、騙すような意図が先方にないとしても、フリーランス側は慎重かつ高い緊張感を持って契約条件を交渉しなくてはいけません。

なぜなら窓口となる先方の交渉者は間違いなく「社員」の方だからです。

仕方がない部分ですが、会社員として企業から雇用されている人には、追加作業に関する追加手当や保障部分、交通費の詳細などはリアルな問題ではありません。

ご自身の労働環境ではすでに整備されており「守られた」立場であるので、深く考えたことはないしその必要もないからです。

契約書内で不明な点や不安があったら、その場で丁寧な口調で質問や確認を行うべき。曖昧な解答やごまかされている印象があれば、書面に落とし込んでもらうか、その場で場所と日時を記入したメモをとったり、音声を残しておきましょう。

重箱の隅をつつくような質問や神経質すぎる挙動は、契約締結直前としてはマイナスにしか働きませんから避けるべき。

あくまで紳士的に、自然にですが、押さえるべきところをきちんと把握し押させておく。自分を守るための常識として持っておくべき意識です。

 

トレーナー業専用のコンサルタントサービスを

自分の生活に直結するとても大きな知識。それにも関わらず、大学や専門学校、スポーツ現場でこの知識を身につけるのは不可能です。

そもそもお金の教育をこれほどまでにしない経済大国は珍しいはず。ましてや契約条件や交渉に関する情報はこれだけ「情報があふれている」時代にも拘わらず、きわめて少ないですよね。

派手な実績ではないものの、単年契約を重ねて17年目を迎えた私。同業種の知人や懇親会などで質問されることの半数以上が、「契約の実際」や「交渉のリアル」、「キャリアデザイン」といったもの。

なるほど、自分が思う本流ではないものの、スポーツ現場最前線で生き残ってきた自分だからこそ求められるものって、こういうこともあるんだな。今、そんな風に実感しています。

 

4月以降になりますが、トレーナー業に関わる人専門のコンサルタントサービスをスタートする予定で準備を重ねています。関東に戻り、時間的な余裕を作っていこうと考えて動いてきた理由の1つがこれなんです。

関わらせていただける人数は限られていますが、本気で「今後の働き方」を考えていきたい専門家の力になりたい。そう考えています。

トレーナー業に必要なビジネス感覚やマーケット思考、自分の強みを生かした戦略など、イントロダクションとなるセミナーも月に1回程度のペースで行っていく予定です。

こちらのサイトに順次スケジュールをアップしていきますので、興味がある方はぜひ一度ご参加ください。

 

まとめ

・公取委によるフリーランス保護のための独禁法適応はありがたい指針

・自分に関わる政治や経済の情報にアンテナを立てなくてはいけない

・契約書一つとってもリテラシーのあるなしが大きく影響する

・トレーナー業全般に弱いビジネスやマーケティングのリテラシー。自分の経験生かし今後この啓もう活動も行っていきます。

 

 

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YUJI HIROTA

アスリートスポーツの現場をメインに活動するトレーニング・コンディショニングの専門家。「コンディショニングコーチ」ですがスポーツトレーナーといった方がわかりやすいのかも。実は鍼灸師でもあります。









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