トレーニング変数を常に動かすこと。
S&Cとして私が強くこだわってい
ることの一つです。
2019年4月より本格的に大学スポ
ーツチームにも携わるようになり
ました。
プロスポーツや社会人スポーツに
比べて、どうしても自主性や知識
という点では差があるのを感じます。
トレーニングプログラムそのもの
で、変数を変化させるのはもちろ
んですが、シンプルに難しいのが
個々に適切な重量をもたせること。
1ヶ月以上、小さな工夫を試行錯誤
した内容と現状よりよいのではない
かと思っている方法を紹介します。
ストレングストレーニングを効果的なものにする重量設定
最もシンプルなトレーニング変数
の1つ、重量。
1RMに対する80%RMでおよそ
10回ほど反復可能な回数、と
いった指標ですが、個々の選手
に目的に沿った適切な重量を扱
わせるって、難しいですよね。
いろいろな具体的アプローチを
考えていきましょう。
大量に支配的に、というアプローチ
限られた時間の中で、求められて
いる成果を出すためには、いくつ
か選択肢があります。
一定期間では効果を出すことが
可能であり、指導者側が安心す
る確率が高い方法の一つに、
「とにかく大量に支配的に行う」
というものがあります。
ただこの方法を行うのであれば、
私よりも適任者は多くいるでしょ
うし、自分の哲学に反するので
すぐに選択肢からは消えました。
大学生も4年という期間があり
ますから、このアプローチでは
1年程度で頭打ちになるのも、
目に見えていますし、怪我の
リスクは爆発的に上がりますか
らね。
具体的に考えたアプローチたち
次に実際に試そうとしたアプロ
ーチを紹介していきます。
筋力テスト実施し高重量種目の数値が近い同士をグループ化
社会人チームにて実施している方法
で、最もポピュラーなものの1つ。
しかし大学チームでは100人以上と
いう人数のため、朝練1時間x4組、
夜から1時間x3組といったグループ
にてセッションを行うため、
運営上難しく、諦めました。
こちらの都合でA選手とC選手を同じ
組にする、といったことができない
からです。
受講している授業時間やイベント
により、選手間で頻繁に時間帯の
交換もあり、こちらが確実に把握
しているのは全セッションの中で
必ず選手は一度参加することのみ。
これではグループ化は難しい
です。
80%RMなどの意味を説明し本人たちにチャレンジさせる
最初の2週間はこの方法も試しま
した。
前任者とフォーム指導のポイントが
違っていて、自分が大切だと思う
フォーム獲得のための時間が必要
でした。
どうせなら、その期間を利用して、
「自分たちで必要な重量を理解す
るための教育」をしてみようと
考えたのです。
一軍メンバーや上級生であれば、
ある程度通用するかな、と思った
のですが、これも現実的には難し
かったです。
意識の低さが問題のケースもある
のですが、選手にとっては何しろ
頻繁な重量変更が面倒なんですね。
軽いなぁ、楽だなぁと感じても、
そこで重さを変更せずにパッパと
やってしまいたいんです。
3人組などでは、他の2人よりも
明らかに筋力がなく、その重量で
は上がらないにもかかわらず、
パートナーに気を遣って、強引
に反動を使いながらそのままの
重さでやろうとする選手も多かっ
たです。
チームで平均的に扱ってほしい重量をに表記する
まだ始めたばかりですが、手応え
としてはこれが一番効果あります。
6回5セットのバックスクワット、
フォワード陣ならば120kgが
目安だよ、といった感じです。
「えー、ちょっと無理じゃない?」
ぐらいに感じる選手が多いものの、
何となく、BASEとして載せられて
いる数値を持たなくちゃ、とまず
感じるようです。
それまでと比べて、明らかに挑戦
するようになった選手たちを目の
当たりにしたことにより、
・種目によっては全く重量イメージ
が湧かない
・能動的に「どうすれば鍛えられる
か」という意識は低い
この2つははっきりと理解できました。
模索したやり方によって指導ポイントも変わる
各種目の推奨重量を記入する方法。
担当する大学チームでは、この
やり方が効果的であることがわかっ
たことにより、指導ポイントも修正
しました。
具体的には、今までよりも口すっ
ぱいくらい、
「ゆっくりと降ろして!」
「反動使わずにコントロール!」
といったテンポに関する指示を
多く行うこととしたのです。
とにかく言われた数とセットを
こなす、というマインドの選手が
圧倒的に多いことがわかったから
です。
自分なりのスタイルってそれぞれ
ありますが、関わる現場の温度間
や文化に応じて、やり方の試行錯誤
を繰り返すことが鍵です。
ある程度の方向性がわかれば、
それに伴って、指導のポイントや
優先事項も自ずと見えてくるか
らです。
教育に即効性を求めない
「意識を高く持て!」
「自分でもっと考えろ!」
大切なことだし、そういった
ダイレクトなメッセージを
伝えることも重要です。
でも、これは指導ではない
ですよね。
どう意識を持てば高まって、
何を考えたらいいのか。
これではわかりません。
何か変化があり、自分がその
変化に気がつく。
きっかけがないと、選手は自主
性を育んでいくことはないと
思います。
その「きっかけ作り」に全力で
取り組むようにしています。
単年契約で、限られた期間を
仕事として請け負うスタイル
ですが、私は教育・リテラシー
といった部門に関しては、
即効性は求めたくありません。
甘やかしてはいけませんが、
優しさや「待つ」という忍耐
を大切にしたいです。
本人の中に気づきがあり、自発
的な変化が生まれない限り、
成長はないですから。
学生とはいえ、大学生の世代
には「内省」や「自覚」といっ
た意識が芽生えることを信じ、
彼らに接していきたいと思って
います。
まとめ
・代表的なトレーニング変数で
ある「重量」を適切に持たせる
のは難しい
・いろいろな方法を知っておこう
・試行錯誤してその現場で最も
効果的と思われる方法を探そう
・自分のポリシーに従って指導を
していこう
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YUJI HIROTA
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