私が社会人として働き始めたのは25歳を過ぎてから。ようやく16年というキャリアを終えたばかりです。そんな中、トレーナー業界という大幅に収入アップが見込みづらい分野のアスリートスポーツの現場に携わる不安定な雇用環境を選びました。
確定事項として一つ決めているのは、「健康に留意し72歳までは普通に働く」ということです。
70歳過ぎでも働く覚悟とその理由
「仕事をやめるわけにはいかない」時代はすぐそこに
60歳どころか65歳であっても仕事を辞めてからの人生が20年以上という時代になっていきます。人間の長寿化はますます進んでいき、労働力のある若い世代は減っていく。
もともと年金をシステム化した際に前提としていた条件は既に崩壊しています。65歳を目途に仕事を完全にやめ、貯金と年金をベースにして生活していくのがより困難になっていくのは明らかです。
「仕事をしてもいい」状況になっているのがベストですが現実的な見立てではありません。企業に守られた豊潤な厚生年金システムを持っていない私。
最低限の対応は講じていますが、現実的なプランを立てていくと順調に過ごしても72歳まではフルタイムで働く必要があるというのが現実的な試算。2008年に通信講座で学んだファイナンシャルプランナーの知識が役立っています。健康に留意してその年まで働き続けるつもりです。
「働かなくてはいけない」前提条件だとして、その年頃に「働ける」状況にあるかは大きな問題です。人工知能(以下AI)が発達することで現在成り立っている仕事の多くが、人工知能にとって代わられるとされていますよね。
大型トラックやタクシー運転手、ビルの管理人や商店レジ打ち係などは現在シルバー人材が多く採用されている仕事ですが、これらはAIがほぼ100%行ってくれる時代がすぐそこまできているわけです。
…どうしていくべきか?
やはり「自分でなくてはできない」仕事を確立することだと考えています。密なヒューマンコミュニケーションや個別化を推し進めるという能力に関しては、AIはまだまだ発展途上。先日読了した本の中にも、今後もAIで代行するのが難しい仕事の中に「トレーナー」というのがあって、これは嬉しい見立てでした。
「やり続けたい・やり続けられる」仕事をするべき
自分自身をしっかりとブランディングし商品力をあげる。自分という商品に付加価値をつけて、他の商品との差別化を図る。
差別化の要素として価格競争の罠にはまらず、コモディティ化を防ぐ。マーケティングの基本的な理論は、トレーナー業に関わる我々にも応用可能ですよね。
現在の現場中心で実践というインプットを得るタイプの仕事から、徐々に治療やコンディショニング指導、教育というスタイルでそれまでの経験や実践力をアウトプットしていく比率へと移行させていく。そういった戦略が大切になります。
治療という行為を堂々と行えて、自分のコンディショニングの専門性を生かすことが出来て且つ開業権も得られる。3年間という時間を費やして鍼灸師免許を取得した大きな理由の一つが「働き続けていくための戦略」を考えてのことでした。
鍼灸を用いた東洋的アプローチに全く興味がなければ、いくら合理的な選択肢だったとしてもこの手段を選ばなかったでしょう。今後長いスパンで仕事を行っていく、というのを1つのゴールと考えたとき、「やっていきたい、やり続けたい」と思えたからこそ鍼灸師の勉強を学び国家資格を取得する、となったわけです。
私は「~ねばならない」で続けることは苦痛だし、人生の中で多くの時間を費やす仕事では特に勿体ないと考えています。途中の道のりが困難であったり、多くの努力や労力を費やさなくてはいけないとしても、「やり続けられる」仕事を意欲的にできるように、早い段階から仕込んでおく。
長期的な戦略といったものが重要です。
そして矛盾するようですが、長期的に働いていくための戦略としてもおざなりにしてはいけない要素。それが「過労状態に追い込まれないこと」です。
過労を抱えない働き方を
疲れや忙しさを美徳としない重要性
以前、英文読解の練習として取り組んでいる記事で面白かったものがありました。
それが「Being tired isn’t a badge of honor」
分かりやすい英語でシンプルなメッセージ。「クタクタになるまで働き続けることは名誉でも何でもないんだぜ!」って内容でした。
私には自営業マインドが染みついていて、どんなにタイトなスケジュールであっても、いただいたオファーで受けられるものは全て受けてきました。
最優先業務は所属チームでのストレングス&コンディショニングの管轄であり、チームや選手の為に何ができるか、という部分なのは当然。しかしOFF日があっても、自己研鑽の役に立ちそうなセミナーやイベントがあれば足を運び、このブログを中心に、SNSなどでの情報発信も定期的に行っています。
こんな生活を送っていると、スケジュールはタイトになりがち。
しかし「忙しいよ~。全然睡眠時間が足りないよ~。」と忙しい自慢をするがごとく、疲れていることが当たり前になったり、そんな生活を良しとしてしまうマインドになってきたら要注意だと思っています。
現場でのトレーナー業って、基本的に時間拘束の長い仕事です。自己管理を徹底しないと、ちょっと知人と飲んだり、趣味に没頭したりするだけで、睡眠時間を確保することは難しくなります。そしてその生活習慣が常態化すると、いつも疲労が溜まった状態に。
体力仕事であるのと同時に、クライアントの動きを評価したり、精神状態を把握したり、チームプログラムを修正したり。ストレングス&コンディショニングの仕事には、コミュニケーション能力やクリエイティブな思考が必要です。
可能な限り、脳や体がフルに動ける状況を作っておくべきです。削れるものは削り、何よりも睡眠時間を確保。考え得るバランスのいい食事を心がけ、隙間時間でも自らのトレーニングをやり過ぎずに実施。
つまらない気もしますが、こういった生活習慣を徹底していくこと。それが結果的にクオリティの高い、息の長いいい仕事をしていく秘訣のはず。
自分がやりたくて周囲に求められる仕事を健康な心と体で。これならば70歳を過ぎても行っていけるでしょう。「ここぞ!」という場面で一時的にオーバーワークをすることは必要でしょうが、マラソンレースのような長期的視点で仕事に取り組んでいきたいですね。
まとめ
・現実的に70歳過ぎまでは働かないといけない時代になっていく
・自分が働ける環境にするためにも、専門性を持った「やりたい仕事」を創っていくべき
・戦略が大切だが特に「過労」状態を続けないのも鍵となる
・クタクタになるまで日々働くのは美徳ではない→マラソンレースのような気持ちで働こう
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YUJI HIROTA
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