私がインターンの経験を求めていたのが今から20年前。残念ながら劇的な変化というのは見られない現状。今回はインターンシップ(研修制度)に関して考えていきます。

腹が立ったセミナーでの出来事

ちょっと遠回りしたエピソードから本日は書かせてください。

週末に大阪にて楽しみにしていたセミナーを受講してきました。2時間という短い時間でのセミナーながら、内容は今最も興味のあるジュニアスポーツについての新しい知見を盛り込んだもの。

セミナー会場は30人ほどでスペースは満杯。後部席には生後4か月の赤ちゃんと一緒に受講するお母さん(トレーナーの方のように見えましたが)までいらっしゃるなど、この講義に興味がある人が多いことを示していました。

受講前に気になったのが、最初から雰囲気の「緩い」学生らしいメンバーが最前列に数名見受けられたこと。

まるで専門学校の授業前の休み時間のような雰囲気に「何となく嫌な予感がするなぁ…」と思っていたのですが予感は的中。

セミナーが始まって30分程度で最前列の4人のうち、2人が船を漕ぎ始め1人は机に完全に突っ伏して眠り始めたのです。

内容が本質的なのに、集まった受講者の3分の1程度はhow toを求めたお気軽な学生ばかりに見えました。ちらちらと見える現役学生のだらしない姿にこちらの集中力もそがれてしまい、とても残念だったなぁ…

主催者側は素晴らしい内容を学生に受講しやすく、と考えていたのだと思います。とても良心的なセミナーの値段でした。

それゆえ「ちょっと聞いてみようかな」と軽い気持ちで参加できた学生が多数いたのかもしれませんが、それでも貴重な時間もお金も使っているはずですよね。

専門学校の履修しなくてはいけない講義の延長線上のような態度。貴重なお金も時間もただ垂れ流しているわけです。

満足できる「将来の投資」になる素晴らしい内容が、浪費になっている絶望感。本当に腹が立ちました…

 

唐突な感想かも知れませんが、今後自分で主催するセミナーの機会もあるはず。その際にはきちんとした料金設定に絶対しようと改めて誓いました。

気楽に受けられるような金額設定では、結局トレーナー業希望者の質はあがらないし、やる気がある学生の足を引っ張るだけですから…。

そのうえで連続して受講する学生、それまでのコミュニティで面識があり情熱のある学生などは個別に対応する(ちょっとしたお手伝いをしてもらい無料でもいいぐらいですよね)というのがベターかな、と感じました。

 

学生時代で既に振り分けられていることを自覚すべき

今回の出来事で改めて感じたこと。それが「学生時代に既に自分たちは振り分けられている」という危機感をもつことの大切さです。

私が今、トレーナー業界の中で関わっている優秀な人たち。彼ら、彼女らは間違いなく学生時代から意識の高かった人材だったでしょう。

センスも才能もありますが、基本トレーナー業って積み重ねて継続できなければ、そのセンス・才能すらありなしの判断がつきにくい仕事。

「この集団の中でダントツの意識と自覚がなければ仕事になどできるわけがない」ぐらいの感覚が学生時代からある人物。

特に単年契約のスポーツ現場では、基本そんな人しか5年、10年と生き残れない世界です。

自分はエキストラでお金を払ってセミナー受講してるんだよ~、という自己満足意識では大学や専門学校が用意してくれた「何となくスポーツや運動に関わる仕事」に従事してお終い。

1~2年後に「俺が本当にやりたかった仕事ってこんなんじゃない」、「何でこの業界はこんなに境遇は悪いんだろう」と不平不満がたまっていくだけです。

逆にだからこそ本気の学生には、インターンという形でスポーツ現場の雰囲気を味わえる環境を整えてほしいもの。この時点で「選抜」になりますよね?

その学年やクラスで担当教員から「この学生なら将来トレーナー業界で食べていける覚悟や資質があるなぁ」と見込まれるのは、最低限求められるレベル。

この時点で選ばれている人間しか、その専門分野の中で選ばれ続けることはできない。ごく基本的な競争原理のはずです。

 

インターン先が限られているという現実

2009年当時所属していたプロ野球チームでは、千葉県内にある大学と契約を結び、学生トレーナーを2~3名ずつ研修生として、週末に二軍施設に受け入れる試みをしていました。

週末のみの参加だったのでどうしても「お客さん」になっちゃう面はあるものの、貴重な体験となりモチベーションが高まる効果はあるでしょう。妙に「憧れの現場に夢を見る」側面を強調しているようで複雑な面もありましたが…。

今シーズン、所属する社会人ラグビーチームにも、アスレティックトレーナー側でしたが大阪体育大学の学生が2名、1か月間・1週間という短期間でしたがインターン生としてやってきました。

技術的なものを盗むという時間はなかったですが、彼女たちにとってプロのトレーナーの手際のいいテーピングや応急処置、グラウンドでの立ち居振る舞いを目の当たりにできたことは間違いなく財産になるはず。

「うわ、こういったレベルで初めて仕事になるんだ。…やらなきゃいけないこと、山ほどあるぞ!!」
「本当にこんな厳しい環境下で仕事にしていくことって自分に向いているんだろうか」
という危機感や自己分析。

生の現場に立ち会わなければ、リアルな現実としてそんなことを感じられないもの。こういった環境は本当に大切です。

私がアメリカ留学を決めた理由

私がこの仕事を目指しだしたのは1997年から。大学2年生のころでした。そこから具体的にどんな勉強をしたらいいのか、どういった経験を積むべきか、一学生なりに必死に考えたものでした。

その際に大きなネックとなったのが、当時は国内に研修制度の土壌がほとんどなかったこと。

どれだけ専門的な知識を学んでも、それらをフィードバックしたり、自分なりに試行錯誤しアレンジしていく経験を積んでいなければ、現場で戦力として働くことは出来ません。

貴重な人件費を投資して採用するわけですから、当然S&Cコーチやトレーナーを雇用する企業は「要現場経験」といった採用条件を掲げます。

ところが、学生たちからすると「じゃあどこで経験を積めばいいのか」といった現実に直面していくわけです。

20年ほど前、2000年以前の当時は「海外留学→現地でのインターンとしての経験」というコースが私にとっては最も現実味を帯びており、その道へ進みました。

もっとスポーツ現場のインターン受け入れ先を

しかし現実問題として留学は、時間的にも経済的にも負担が大きい挑戦。親の援助や理解も必須であり、誰でもさせてもらえる事ではありません。

時代は移り変わり、ドームアスリートハウスやR-BODYといった国内を代表するような施設も生まれました。

私がディレクターとして関わっているタチリュウコンディショニングジムなども含めて、トレーニング施設が積極的にインターン生を採用するようになりました。

自らが学生時代に国内で苦労してきた人たちが、施設を運営する側に回る年代になってきたのが大きいのでしょう。これって素晴らしいことです。

しかしスポーツ現場での活動に興味がある学生にとって、現場の真っただ中ならではの充実感や緊張感を味わえる環境は依然少ないと言わざるを得ません。

大学チームや社会人、プロスポーツチームがシステムとして厳選されたインターン生を採用する流れがでてきたら、学生たちの意識ももっと高まるはずです。

各スポーツ現場の情報守秘義務など、問題はたくさんあるでしょう。しかしインターンシップ制度がシステム化されるようになったらいいなぁと強く願っています。

 

まとめ

・授業やセミナーへの参加態度をみればその学生の先は見えるもの

・適正な価格設定をする。情熱があり関係性の構築できた学生には個別に対応すればいい

・学生時代から競争原理は働いている

・本気の学生にこそ与えられるわかりやすいチャンスとしてインターン制度が国内でも確立されるべき

 

 

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YUJI HIROTA

アスリートスポーツの現場をメインに活動するトレーニング・コンディショニングの専門家。「コンディショニングコーチ」ですがスポーツトレーナーといった方がわかりやすいのかも。実は鍼灸師でもあります。









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