トップリーグ2017-18シーズン。1か月のウインドマンス明け、サントリー、神戸製鋼という強豪相手に連敗。通算で5連敗となってしまいました。
次は東芝との戦い。この日程はシーズン前からわかっていたことなので、この3チームと当たるまでにきちんと勝ち切れなかったのが痛かったわけです。
過去を考えても変えられません。今出せる力を発揮してベストを尽くすこと。先ず目の前の残り2試合に集中していきます。
…さて、旧サイトで書いたブログ記事をリライトする作業を続けていますが、今回はその中からHIIT(高強度インターバルトレーニング)について。2016年に書いた有酸素運動としての効果と棲み分けについて紹介していきます。
HIITに対する有酸素運動の考え方
目を通せていなかった論文記事の中に、有酸素性運動について言及した記事がありました。やはり今はHIIT(High Intensity Interval Training)やっとけば間違いないでしょ、といった風潮があるんだなぁ…と感じました。
どうしてもLSDと呼ばれるようなスロージョグなどの有酸素運動を軽視しがちなんですよね。
今実際に弘田が携わっているラグビーの現場で、チーム全体として20分以上のLSDのような有酸素運動を行わせているか、といえばNO。
しかしプレシーズン、インシーズンを通して、有酸素運動を全く行わせていないか、というとこれもNO。
試合翌日や一週間ごとに試合が続くインシーズンの休み明けなどは、バイクを中心とした有酸素運動は実施させています。オフシーズンには2週間に3回の頻度でLSDを交ぜたプログラムを選手には提供していますしね。
ラグビーはATP-PC系システムから乳酸システム、有酸素系システムまであらゆる要素が必要となるスポーツです。
無酸素系能力から有酸素系能力まで短時間の運動で向上させることができるHIITは、総量として時間コントロールもとても重要なラグビーのコンディショニングを考えるうえで、やはり中核を為すもの。
一方、有酸素運動はある程度の時間をそのプログラムだけに費やすことになるので、チーム全体で行うには不向き。またフォワード陣、特にPROPなどの高重量の選手に関しては、LSDなどのランニングは意外と下肢への負担が大きくなるのも難しいところです。
それでも、私は有酸素運動を一定以上行うというのは不可欠である、というスタンス。心臓が起こす適応の違いをしっかりと区別しておかなくてはいけない、と思っているからなんです。
お医者さんやS&C専門家、ATにとってはある程度常識だと思いますが、HIITのようなトレーニング形式に対して心臓が起こす適応は求心性心肥大といわれるもの。
筋肉が収縮し血管がその圧を受けて流れにくくなるために、血圧を高め血流を確保するために心室の壁が厚くなるようなタイプですよね。
俗にいうスポーツ心臓なんていわれる適応も、この心筋肥大によるものといわれています。
それに対して、LSDのような有酸素運動は適応として遠心性心肥大を誘発します。低強度で継続的に行われる運動では、多くの酸素供給が必要となる為、心室の容積そのものが大きくなるわけです。
そういった適応の中で、筋への血液供給の増大(特に毛細血管の増加)やミトコンドリアの増加などが起こってきます。
手段として高強度インターバルばかりを行って向上を図った身体は、完全に疲労しエネルギーが枯渇するまで、長時間高い心拍数で動き続ける能力を高めてくれる、というタイプの持久力ばかりを養成することになるのだと考えているんです。
有酸素運動による適応が起きた心臓血管系システムでは、いろいろな局面における動きの中で、比較的心拍数が低いまま維持が可能で、長時間プレーを継続できる、という持久力を助けてくれるはず。
ラグビーは試合展開やポジションによって、どちらの要素も必要なスポーツです。インシーズンの試合間隔は中5/6日で試合が続くため、試合間でのリカバリー能力も必須となってきます。
この観点からも有酸素系能力は大切だと考えています。頻度は少ないものの、チーム練習前やトレーニング強度を弱く設定した日などに、計画的に取り入れていくのには理由があるんですよね。
高強度メソッドと低強度メソッド、という観点を整理するのって難しいです。自分なりの咀嚼を行い実践的なフレームワークを構築していきたいです。
実際の運用で「こう考えてるよ!」といったアイディアがある方はぜひメッセージください!
まとめ
・時間効率やスペースを考えた際、HIITは有効なアプローチ
・有酸素系能力も高めてくれるが、だからといって有酸素運動もやはり必要
・求心性心肥大と遠心性心肥大を整理して理解しておくのが大切
・さらに俯瞰した試合間の回復期を速めるにも有酸素運動を用いた有酸素系能力は重要
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YUJI HIROTA
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