順位決定戦は残り2試合。自動降格を避けられて入れ替え戦に進めば合計3試合。

これが終わると約10か月に渡る1シーズンが終わります。すでにオフシーズンのトレーニングについてはプログラムを作成し始めているところ。

シーズンスポーツを担うストレングス&コンディショニング担当者としては、オフシーズン、プレシーズン、そこからのインシーズン。それぞれの時期において、強調するポイントは当然変わってきますよね。

今日は、旧サイトにてアップしたプレシーズン時期にフォーカスしているポイントについて加筆してお伝えしていきます。

 

プレシーズンでは結果に一喜一憂せずシンプルに

プレシーズンは結果云々は主に技術コーチに任せて、フィットネスがしっかりと機能しているのか、動きの癖はないか、この段階でストレングス負けしていないか、といった確認作業を実際のパフォーマンスの中で見ています。

パフォーマンスが良くても悪くても、気持ちが休まる事はなし。スポーツ現場でストレングス&コンディショニング(以下S&C)を担当しているコーチは、皆同じような心境なんでしょうね。

①ストレングスとフィットネスを強化し進捗状況を評価する

すごくシンプルな点です。1シーズンの中でも最も強化を重視する時期でもあり、選手にとってはハードワークを課されるタイミングですから。

強化と評価は二つで一つ、ということは以前からブログでも話していることなのですが、2017-18シーズンも春にチーム合流した時点で、ストレングステスト、フィットネステスト、コンディショニングチェックを行いました。

ストレングステストは4種目、フィットネステストを1つ、コンディショニングチェックは体脂肪厚チェックを入れると6つ。

選手は週に2回のRPE(主観的疲労度)のクラウド入力と尿検査、毎日ジムへきてからのコンディショニングチェック、体重測定、担当選手となった場合には1週間のGPS装着、とすべきことがたくさんあります。

大変だし申し訳ないなぁと思いつつ、基準になったり必要なものだけを厳選しているつもり。これらのデータをしっかりと日々把握しどう生かすかが大切。

選手たちに、「…なるほどね。これぐらい把握してくれているのね、じゃあしっかりとっていかないと。」と思ってもらえるかどうか、が重要になってきます。

そんなこともあり、クラウド上に集めるようになった、疲労度やストレス、下肢の張りなどを中心に、業務中は1時間毎に記入状況と数値に目を通すようにしています。

 

 

10週間の枠組みで、ストレングストレーニングとランニング系フィットネスのテスト結果を分析したうえで、今後のトレーニング計画の微調整や強度を再設定していくわけです。

S&C側としても、チーム全体の問題点を最優先し、柔軟に対応しなくてはいけない部分もあります。しかし年単位で設定しているテスト日を飛ばしたり、ずらしたり、というのは、その後のプログラミングの修正や方向性に大きく影響を与えてしまいます。そのためにも、ここは譲らないようにすべきところ。

結局はチームの為、選手の為の貴重なフィードバックになるんだよ、ということと、これだけ事前から準備してこの日に向けて調整をしている、こういう理由がある、というのをしっかりと説明。根回しは怠らないようにしています。

 

②選手、コーチ、スタッフとの信頼関係を構築する

2つ目に大事なポイントがここ。

チームスポーツを担当させていただくとき、当然全てを自分が管轄するわけではありません。また自分が管轄する役割においても、必ず他の部署であったり監督やコーチの理解が必要になるわけです。

メディカルスタッフであろうが、技術コーチであろうが、運営部の方であろうが、選手であろうが、根本的に最も重要なことは、S&C担当のヘッドコンディショニングコーチとして私を信頼できるかどうか、になります。

ここは勘違いしやすいポイントだと思うので、もう一度強調しておきます。最重要なことは、専門家として、人として自分を信頼してもらえるかどうか、ということなんです。

 

この業界には職人気質の人が多くいます。

自分もその一人だと思っていますが、知識の深掘りや現段階での科学的根拠からの妥当性、徒手抵抗や手技といった個人スキル。こういったものにこだわり、日々精進し向上していくことは、基本的なことでありとっても大切。

しかし、こういった要素に経験をプラスしていけば、自分は信用され信頼され認められるんだ!と何の疑いもなく信じていては危険です。

どれだけキャリアを積もうと、能力やスキルだけでは人は他人を信用しても信頼はしないからです。

人は相手を好ましい、もしくは好ましくなくても筋が通っていて一種の尊敬ができる部分がある、と感じて初めて「他者信頼」の状態になります。

信用ではなく信頼。

アドラー心理学でいうところの定義とはちょっと違いますが、「え、ちょっと今まで自分が現場でみてきたS&Cコーチがしていたこととは違うなぁ。こんな感じでよくなるんだろうか…。でも弘田さんがやることなんだから間違いないか。」という状態を作ること。

それが最重要なことだと私は認識しています。

だからこそ、プレシーズンの時期にチーム関係者と信頼関係が築けるように時間を割く、というのを重視しているんです。

ミーティングだけでなく業務中のちょっとした雑談や立居振る舞い、視線や格好。必要のない際にはパッと上がり、必要に応じて苦もなく残業を何日も続けたり早朝/休日出勤をして業務を遂行する。

必要だからやるのですが、これを常に他者からも見られていて、それが相手側の無意識の信頼へとシフトしていくものなのだ、と意識しながら行うわけです。

こういった信頼は一朝一夕で築けるものではありません。そしてシーズンを通して行うことでもあります。まとまった時間を取れるプレシーズンの時期には、特にこの要素を構築することを意識してコミュニケーションをとるようにする、という感覚です。

怖い表現ですが、この期間は誰に全幅の信頼を寄せることができるか、私自身も推し量る時期でもあります。

同じ船に乗って生死をかけて戦うのがチームメンバー。沈みそうになった船でも、最後まで逃げずに心中する覚悟が持てるメンバーでないと、それまでの成績や内容を上回る結果を出せるわけないですから…。

我が事の範囲が狭いスタッフが多いと、正直仕事をしていくのはしんどいですよね。

 

③新人選手のケアと新入団/途中合流選手の状態把握

3つ目もシンプルです。大学やクラブチームを経て、初めて社会人ラグビーチームに参加してきた新人選手。社員選手は特に研修に追われつつ、ラグビーでも初めてのことだらけです。

強化をしていくのは当然ですが、まず意識の部分を自覚させ教育をする期間となります。2年目以降の選手よりも意識的にコミュニケーションをとるようにしますし、より厳しく接する部分が多くなります。何事も最初が肝心になりますから…。

新入団選手の多くは外国人です。このパターンは本当に千差万別で未だに苦労しています。拙い英語を駆使してとにかく相手の性格や状態を把握する、ということに努めています。

途中合流選手はラグビー留学や昨年のトンプソンルークのように日本代表に選出されたり、というパターンの選手達。

ここは合流してすぐにストレングステストやフィットネステスト、コンディショニングチェックを行い、どういった状態で帰ってきたか、そして現在どんなメンタリティなのかを出来るだけ早く理解することが大切になりますね。

 

まとめ

ざっとプレシーズンにおけるS&C部門担当として、大切にしているポイントをまとめてみました。

こういった優先順位や考え方は教わるものではないので、偏っている部分もあるかもしれません。たくさん失敗をしいろいろな迷惑をかけつつ、現場で走りながら得てきた経験を通して、現在のこのスタイルにたどり着いています。

今後また機会を見てオフシーズン、インシーズン中に大切にしていることも更新していこうと思います。

 

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YUJI HIROTA

アスリートスポーツの現場をメインに活動するトレーニング・コンディショニングの専門家。「コンディショニングコーチ」ですがスポーツトレーナーといった方がわかりやすいのかも。実は鍼灸師でもあります。









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アスリートスポーツの現場をメインに活動するトレーニング・コンディショニングの専門家。「コンディショニングコーチ」ですがスポーツトレーナーといった方がわかりやすいのかも。実は鍼灸師でもあります。