*この記事は2016年4月に旧サイトにてUPしたものを加筆・修正したものです。
弘田がコンテンツ統括ディレクターとして関わっているタチリュウコンディショニングジム。習志野本店は2017年11月を持って7周年を迎えます。時が経つのって本当に早いなぁ…
この施設で最初に行う評価法を、H.O.P.Eと名付け、History(過去の受傷歴などの問診)、Objective(客観的指標測定:体重や周囲径)、Posture(立位姿勢評価)、Evaluation(総合評価→プログラム作成)を行っていくスタイル。
立ち上げに関わった7年前、このシステムを作りました。
2013年に出版された私の初めての著書『姿勢チェックから始めるコンディショニング改善エクササイズ』。弘田が常勤から離れた2014年以降、数年間はこれをテキストの一つとして研修。ありがたいことです…
S.O.A.Pシステムにあやかって、H.O.P.Eという名前で、より立位姿勢評価を強調した評価の流れを考え、最初に指導したのは私。
しかしオープンから7年近くが経過し、今の施設はほとんど私の手を離れています。
基本的な姿勢評価以上に、FMS(Functional Movement Screen)のコンセプトをさらに細分化した洗練されたシステムが構築されていて、その成長ぶりには目を細めるばかり。
自分の子供が成長し手が離れ自立していくのってこんな感じなのかなぁ…
少し寂しいような嬉しい気持ちで、1か月に1度のペースで千葉県の習志野本店、大阪府泉佐野の熊取店に顔を出しています。
姿勢評価は「観察の基本」
時代が流れ、今後もよりよいHOW TOはどんどん出てくるでしょう。タチリュウジムで導入しているFMSからスタートしたAFMSやトップティアへのシステマティックな方法論などは、その典型。
一定のスキルを有したトレーナーであれば、効率的に精度が高くほぼ同じ見立てにたどり着けることができる施設。
これは実力において明確に他のサービスを提供する施設と差別化できます。
強い施設を作り、安定したサービスをクライアントに提供するには、日進月歩で進化する見地を取り入れ、どんどんアップデートしていく必要がありますよね。
そんな流れの中でも、立位姿勢のチェックはとても有益だと思っています。
これだけをメインにして情報収集することは困難ですが、姿勢評価ってある種「観察の基本」なんですよね。基本的概念さえつかめれば、情報を集めるツールとしてはそれほど難しいものではないですから…
姿勢評価を用いるのは、姿勢改善の為ではない
ただ勘違いしてはいけないのは、姿勢評価を用いたからといって必ずしも姿勢改善に着手する必要はないということ。
あくまでも立位姿勢からチェックをしていく、というのは、一つのとっかかりに過ぎません。
問診や可視化できる数値などを加味した上で、静的状態での筋緊張や骨盤の傾きなどを姿勢チェックから確認。前後、左右、上下のバランスをみていきますが、当然完全な左右対称や完璧なバランスなどはありません。
立位姿勢から更に推察を進め、片足立ちや必要があれば、変形トーマステストやアクティブSLRなど、より具体的なスクリーニングへと移行していく。
そのクライアントにとって「どんなアプローチをしていけば効率的に改善や強化につながるのか」を探していくのが目的です。
こういったことを伝えないと、「マニュアル型」の人間は何でもかんでも姿勢改善に着手しがち。
・姿勢改善したい!というニーズがある。
・怪我や痛みにつながる可能性がある。
・パフォーマンス向上を考えたうえでまず改善する要素と判断した。
こんな状況であれば、呼吸法を用いたアプローチやコレクティブドリル、場合によっては併設する鍼灸整骨院でのトリートメントと併用する必要もあります。
しかしトリートメントやコレクティブドリル中心では、当たり前ですが根本的な姿勢改善にすらつながりません。
成果を出しクライアントをよりよくしていくためには、トレーニングの原理原則にのっとって、適切な刺激を与える必要があるわけです。
この辺り、文章で読むと「そんなの当たり前でしょ?」という感覚の人が大半。それでも、だんだん「何のために」という目的って忘れがちになるのが人の性です。
無意識に「強化」をためらう文化
これって問題だなぁと感じるのが、無意識に強化することをためらう日本の文化。
特に施設内で働くインストラクターに近いトレーナー。実際にトレーニングを指導する彼らの中にも、無意識に「強化!」という指導に対する恐れや遠慮があるのを感じます。
何となく当たりの柔らかい、真新しい器具やドリルを使って抵抗なく運動してもらおう、という指導に流れていく部分があるのはむしろ怖い事。
どうすれば安全かつ効果的に強化を促すことができるか、まずはしっかりと基礎を学び自ら実践することが大事です。
聞けば当たり前のことをどれだけ徹底できるか
精度の高い評価を行い、クライアントのニーズを汲み取ったうえで必要なプログラムを組み、随時刺激を加える。
しっかりと強化を推し進め、クライアントを鼓舞し楽しませる工夫と、気遣いを忘れない。
聞けば当たり前のことですが、この基準をクリアしているトレーナーってそんなに多くないのが現状。
専門性と人間性とセンス。自分も含めて、こういったそれぞれの要素が高いレベルの「大きな三角形」を作れるトレーナーがどんどん増えていかないといけないですよね。
まとめ
姿勢評価イコール姿勢改善ではない、ということ。例えるなら「腰痛症状を訴えている患者さんの腰をみることに固執しちゃうこと」と似た思考について書いてみました。
頭は柔らかく、どれだけ俯瞰して物事を考えられるか。常に危機意識を持っておかないと、すぐ忘れがち。気をつけましょう!
*一応2013年に出版した弘田の著作本、リンク貼っておきます。興味がある人はぜひ。
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YUJI HIROTA
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