【S&C系トレーナー十ヶ条】デモのために練習をしよう!

先日、リツイートにてとても興味深いツイートを目にしました。

論文十ケ条というもので、ある研究室の壁に貼ってあるものだということ。

自分の内省を促すような十ケ条のような標語って大事だな。

そう思い自分なりのS&C専門家向けのものを考案。

ツイートしたところ、反響をいただいたのでもう少し掘り下げて説明してみようと思います。

S&C系トレーナーにとっての現場十ヶ条

[box class=”green_box” title=”S&C系トレーナーにとっての十ヶ条”]

1.現場でのデモと説明はS&Cの人格を表す

2.理屈だけ教えてデモをしないS&Cはテクニシャンである

3.理屈も教えずデモもしないS&Cは「苦しいことやらせ屋」である

4.S&C現場に立つことで成長する。また成長の糧にしなければならない

5.デモはS&Cの飯のタネである

6.デモは次世代のS&Cに影響を与えなければならない

7.S&Cは自分のデモに責任を問われる

8.加齢によりデモができないというのは、いいわけにならずやる気がないといっているのと同じである

9.選手以上のデモができない者は、そのデモは眉唾ものといわれても仕方がない

10.デモにおいて最も重要なのは説得力であり、それが試されるのが準備である

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1.現場でのデモと説明はS&Cの人格を表す

S&C系トレーナーにとって、最も大切なことは正しいデモンストレーションとわかりやすい説明です。

デモの際、

・全選手からわかりやすい角度で実践する

・通常時よりも大きな声で伝える

・可能な限り少ない言葉で説明する

こういった配慮も大切になります。

微に入り細に入り説明してしまう専門家を見ると、「ああ、不安なんだろうなぁ」、
「正解思考っぽいなぁ」などと勘ぐってしまいます。

誠実に、かつ大胆に。

現場指導のデモを見れば、その専門家の人格は見えてきます。

2.理屈だけ教えてデモをしないS&Cはテクニシャンである

実技が苦手な専門家もけっこういるもの。

ことさら自分で見せることばかりになるのはバランスが悪いですが、言葉や資料でどれだけ立派に説明できても、動きを見せられなければ「ただのテクニシャン」と見られても仕方がありません。

アナリストではなく、実践者でないと選手にとっては不満が残ってしまいます。

3.理屈も教えずデモもしないS&Cは「苦しいことやらせ屋」である

ただハードなこと、追い込めるものをするのであれば専門家である必要はありません。

「400M走、タイム切り!20本!!」
「1000回素振りしないと帰るな!」

こんな指示なら昭和世代のパワハラ指導者でも、気持ちよく言えるでしょう。

苦しいことやらせ屋を撲滅するのが王道のS&C専門家であるはず。

増やしてどうするのか、という話ですよね。

4.S&C現場に立つことで成長する。また成長の糧にしなければならない

インターンでも見学でも、とにかく現場に足を運び、そこで見て聞いて感じる。

トレーニング指導を生業レベルにしていきたいのであれば、現場に立つことが必須です。

自分を成長させてくれる要素がゴロゴロ転がっています。

現場に出ましょう。

5.デモはS&Cの飯のタネである

実技力はS&C系専門家が絶対に備えるべき強みです。

ドラクエで
・力のない戦士
・素早さのない格闘家
・回復呪文持たない僧侶

は選ぶメリットがないはず。

デモの力を徹底的に磨いてこそ「食べていける専門家」への道の基本となるはずです。

6.デモは次世代のS&Cに影響を与えなければならない

うわー、この人みたいなデモがしたいなぁ…

こんな代償動作、俺もやってるかもしれない。上手いなぁ。

自分よりも若い世代の同業職の人にこんなインパクトを与えられるようなデモのレベルにしたいもの。

もちろん全種目で「凄い!」レベルは難しくても、高い質と再現性のあるデモを見せられてこそ、次世代のメンバーにいい影響を与えられる説得力となります。

7.S&Cは自分のデモに責任を問われる

よく言うことですが、あなたの管轄するチームで、あなた以上に上手に実技ができるようになる選手はほとんどいません。

あなたの実技力→チームの実技力

です。

万が一、とても癖のある故障のリスクのあるデモしかみせられないとすると、真面目な選手ほど怪我のリスクが高まることになるんです。

…怖いですよね。

自分のデモは担当する選手やクライアントに対して大きな責任を持つ。

肝に銘じましょう。

8.加齢によりデモができないというのは、いいわけにならずやる気がないといっているのと同じである

40代半ばに向かう私。正直タイムリミットは近づいているなと思っています。

しかし。

自分が年をとってきたからできないは言い訳でしかありません。

「50M6秒フラットで走ったもんだよ」とうそぶく中年オヤジの言うことなんて誰も信じませんよね。

可能な限り自己節制をし、研鑽を積み動ける期間を延ばしていく。

努力を継続するのは当たり前と考えましょう。…苦しいけど。

9.選手以上のデモができない者は、そのデモは眉唾ものといわれても仕方がない

トレーニング指導系トレーナーに対する選手たちの最初の視線って「反抗的」で「あら捜し」しがち。

「…膝、プルプルしてんじゃん!」

口には出さないけれど、へっぴり腰でサササーと誤魔化すようにちょっとだけ行うデモンストレーションを見て、選手たちは瞬時に心のなかでツッコミを入れ始めます。

付け焼き刃の動きはすぐにバレちゃうんです。

きちんとしたデモを見せるしかありません!

「…すげぇ。俺より絶対うまい」
ぐらいのインパクトを与えられないと、そこからの業務に支障が出かねませんから。

10.デモにおいて最も重要なのは説得力であり、それが試されるのが準備である

出鼻をくじく美しいデモ。

選手たちに有無を言わせないデモを見せるためにはどうしたらいいのか。

この答えはシンプルです。

「選手たちがスポーツ種目を練習するように、我々はトレーニング種目を練習する」こと。

野球のピッチャーはブルペンで投球練習をします。

サッカー選手は基礎のトラップを反復し、定期的にシュート練習をします。

同じように、我々は「トレーニング種目を正しくでもできるよう日々、練習する」んです。

選手たちやクライアントには、パフォーマンスアップや怪我予防のための手段として、トレーニング指導をします。

しかし我々はトレーニング指導を正しくできることを目的とした練習として取り組むわけです。

トレーニングをきちんと見せるための練習をしましょう。

まとめ

いかがでしょうか。

耳に痛い箇所もあったかもしれませんが、本質的なこと、優先すべきことはまず動くことだし、できるように練習すること。

知識や理論も並列で大事ですが、ある程度は走りながらでも学んでいけるもの。

どちらかというと頭でっかちな専門家が多い印象の日本だからこそ、敬遠せずに実技に取り組んでいきたいですよね。

私自身、サボり心に鞭打って身体の感覚と対話しつつ練習を続けていきます。

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YUJI HIROTA

アスリートスポーツの現場をメインに活動するトレーニング・コンディショニングの専門家。「コンディショニングコーチ」ですがスポーツトレーナーといった方がわかりやすいのかも。実は鍼灸師でもあります。
YUJI HIROTA

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