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ウォーキング、トレッドミル、バイク、どれが一番いいの?トレーナーが教える有酸素情報!

場所も選ばず道具も不要。よし、運動を始めよう!となったときに真っ先に浮かぶのはウォーキングのような有酸素運動。

個人差も大きい有酸素運動ですが、やはりコツというか勘どころはあるもの。

今までに紹介してきた有酸素運動に関わる情報をぎゅっとまとめて、今回はご紹介していきます。

ウォーキング編

ウォーキングを始める目安

一般的な方であれば、よく知られたガイドラインとしては、一日6000歩以上歩くことが推奨されています。

全く運動に馴染みのない人はまずはスマホアプリなどの万歩計を利用して、1日6000歩歩くようにしましょう。

普段よりやや大股で10分歩けば1000歩ぐらい、というのが目安。一駅多く歩く、自転車を使わずに近所のスーパーに行く、といったちょっとした工夫でクリアできるはず。

洗濯をしたりトイレに立ったり、というのも含めての歩数なので「今の生活プラス20分の歩く機会」で楽々クリアできます。

面白い研究としては、8000歩/日以上になると、健康増進との直接的な関係性は見られなくなるというものも。65歳以上の高齢者に関しては、歩けば歩くだけいい、というわけでもないでしょう。

またウォーキングを行う時間帯も大事なポイント。起床してすぐ、というのは血液の粘性が高い(ドロドロっとしているということ)うえ、筋肉や関節もまだ動く準備ができていません。

特に冬の朝は自然と血圧も高くなりやすいので「健康のため!」と日がまだ出ていないうちから歩いたりするのは、完ぺきに逆効果。

体が動く準備ができて、少し眠気も出てきやすいお昼後に軽くウォーキング、というのが年配の方にはベストです。

骨粗しょう症や生活習慣病を防ぐ歩行数

「骨粗しょう症予防のための歩行数」となると範囲はもう少し広くなります。

骨の破壊が進行しているときには、壊された骨の残骸の一部が尿中に排泄され、この残骸が尿中デオキシピリジノリン(DPD)です。

このDPDの値を測定することで検証を進めてきたということ。

そこからの結論として、下限6,000歩/日~上限12,000歩/日、というのが最近の研究結果より明らかになっています。

ある研究の中では骨に対する、体重と歩行数の相乗効果が約12,000歩/日で一定になるのではないか、と結論付けていました。

過ぎたるは及ばざるがごとし

いずれにせよ、高齢者の方が健康維持や増進のために必要な歩行数は、6000歩以上を目途に。

最初は無理をせずに8000歩程度までに抑え、骨粗しょう症予防を考えたアクティブシニアは上限12,000歩ぐらいまでを意識したらいい、という事になりそう。

前述したように普通のウォーキングの速度(4㎞程度)で10分歩けばおよそ1000歩になるんだよ、という具体的なアドバイスをしてあげると親切。

シンプルに指導をすることで、骨粗しょう症や生活習慣病の予防に役立つはず。

ぜひ参考にしてみてください!

トレッドミル編

トレッドミルのデメリット

私自身は、姿勢制御や運動感覚と目の関係性というのが徐々に明らかになっている今、極力トレッドミル(俗にいうランニングマシン)を使わないようにしています。

脳は進ませるための指令を出しているのに、目から入ってくる情報ではその場で上下に揺れていると捉えてしまう。

本来は足の裏の真ん中でやや骨盤前傾位にすることが推進力が出ているのですが、どうしても踵接地になりやすい。

こういった理由から、30分以上利用していると、走り方そのもののバランスも崩れてしまうんです。

トレッドミルのメリット

トレッドミルのメリットは天候や時間関係なく、ランニングを実行できること。全身運動であるジョグやランニングを一定のペースを保ってできるのは大きいですよね。

フィットネスジャンキーさんのブログにて「なるほどな~」と参考になったのがの傾斜を1~2%に設定するというテクニック。

屋外と違い風による空気抵抗の負荷がないので、野外でのランニングの負荷を再現するため、1~2%の傾斜をつける。これによって同等の負荷設定を実現できる、という考え方は理に敵っているでしょう。

どうしても目線が近くなりがちでフォームが不自然になるのがトレッドミルの問題点。目線は前、できるだけ少し遠くをみるようにして腕が自然に振れるフォームを保つのも大切なポイントですね。

 

エアロバイク編

ながら運動ができる唯一のパターン

股関節を動かしたり、動きの中での体幹の安定性を作り出すには、やはりウォーキングやトレッドミルのほうが有利。

しかしエアロバイクには、本を読みながら、雑誌や新聞、スマホなどを見ながら行えるという、マルチタスクが可能な唯一の有酸素運動というメリットがあります。

有酸素運動すべてにいえることですが、体を動かしているときって、ポンっとアイディアが出やすいですよね。バイクであればすぐにスマホやメモにアイディアを書きだすことができます。

10年以上前の古いタイプですが、我が家には立派なエアロバイクがあります。プログラムを考えたり、原稿を書いている合間で息詰まると、音楽を聴いたりしながらバイクを漕いで気分転換しています。

ちなみに、一流の経営者の方には運動のため、というよりも一種の「アイディア出し」のきっかけとしてトレッドミル愛好家も多いそう。

確かに過去、トレッドミルのペットボトル収納にボールペンとノートを置いていたり、走りながらスマホに何か記入している人(危ないですが)を見たことがあります。

アイディアが生まれていたのかもしれません。…ただこの場合も本当ならバイクのほうが安全ですよね。

筋トレと有酸素運動、どっちが最初にやった方がオトク?

EPOC効果を活用するなら筋トレ→有酸素運動

これもよく尋ねられる質問です。有酸素運動をしてからの筋トレ、もしくは筋トレしてからの有酸素運動。どっちがより効果的なのか。

トレーニング専門家としての一般的な回答は、筋トレしてから有酸素運動の順番となります。キーワードはEPOCです。

EPOC (Excess Post-Exercise Oxygen Consumption)とは日本語訳すると「運動後過剰酸素消費量」のこと。

欧米では筋トレ・ダイエットにより効果があるといわれ多くの人が取り入れているアプローチ。運動後過剰酸素消費料は「Afterburn(燃焼後)」とも言われています。

人間の身体は、激しい運動をすることで酸欠状態になった身体へ再び酸素を取り戻す働きをしますが、一度酸欠状態になった場合は、運動する前よりも運動後の方が酸素を消費する量が増えます。

この体内で行われる酸素を取り戻しているリカバリーの間は、運動前よりもカロリーの燃焼率が高いという研究が多く発表されているのです。

ジムでの激しい筋トレ後。シャワーを浴びてだいぶ時間が経っているのに、何もしていなくても額から汗が止まらなかったり、身体の火照りを感じたりした経験ありませんか?

それこそ、俗にいうEPOCの状態なんですね。

体内がEPOC状態の場合、新陳代謝率があがり13時間後に13%、16時間後では4%に下がった実験結果などもあり、一般的にEPOCの回復時間が一日程度続くとされています。

有酸素運動は運動中に燃焼するカロリーとしては効率的。ただ実際に体内で燃焼されているエネルギーは炭水化物、特に糖質がメインとなるので、減量目的ならば無酸素運動の方が効果的な側面もあります。

筋トレのような無酸素運動は、短時間で脂肪の燃焼を可能にするエクササイズという側面もあるんですね。

そのうえで筋トレ後に体内に引き起こすEPOC状態で安静にしていても脂肪が燃焼しやすい中、ゆっくりとした有酸素運動を行うことで、カロリー消費もより高まり効率的になるでしょう。

体重コントロールや体脂肪減少を目的に二つのタイプの運動を併用するならば、筋トレ→有酸素運動がおススメです。

気分転換には有酸素運動は最高の方法

…なんだ、カロリー消費はするけど糖質メインで減るのが有酸素運動なら、糖質制限とか食事でコントロールした方がいいじゃん。

そう考えた方、確かに一理あります。単純に体重を落とし、体脂肪を落としたいだけなら食事療法のほうが数倍効果的です。

しかし有酸素運動には「ストレス解消に効果的」という素晴らしい副作用があります。

 

NHKの「キラーストレス」という番組を観ましたが、その中でも脳科学的な見地から運動の効果を紹介していました。

継続的な有酸素運動が延髄の神経細胞体の突起数を減少させ、その結果、自律神経を刺激する受容器が過敏に反応することを防ぐことができる。

ストレスの軽減やうつ症状の予防に役に立つんだよ、という説明がされていました。

私はかれこれ30年以上、LSDといわれるスロージョグを継続しています。これもストレスを前向きに解消する一番いい方法だからなのかもしれません。

15分ぐらいを過ぎてからの汗が噴き出す感じと、ふっと頭に浮かぶ色々なアイディアや思い出と「頭の中で遊んでいる」状態がたまらなく好き。

近視眼的な視点にならずに、自分の続けられる楽しめるものを選んで有酸素運動する。これが一番現実的かもしれません。

まとめ

・ウォーキングは一日6000~12000歩の範囲がおススメ。しすぎないこと!

・トレッドミルだけだと動く感覚がずれてくるデメリットも。するときは1~2%傾斜つけるのが◎

・時間を効率的に使いたいならエアロバイクで「ながら運動」もいいのでは。アイディア浮かびやすい。

・筋トレも一緒にするならば、筋トレが先、有酸素運動が後だとEPOCの効果を得られる。

・理論や研究はあるけれど、基本は続けられるものを。状況に応じて使い分けられるといい!

 

 

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YUJI HIROTA

アスリートスポーツの現場をメインに活動するトレーニング・コンディショニングの専門家。「コンディショニングコーチ」ですがスポーツトレーナーといった方がわかりやすいのかも。実は鍼灸師でもあります。
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