下品になりたくないものの、ついつい目に飛び込みやすいちょっとHな雑学。
難しい理論を伴うものよりも、笑っちゃうくらい素直に頭に入ってきたりするもの。
今回はそんなちょっとHなコンディショニング科学を紹介していきますね。
今までに何度も、若手選手から
「試合前日にSEXするのは良くないんですか?」
という素朴な質問をされたことがあります。
中堅選手は嬉しそうに騒ぎ立て、インターナショナルプレイヤーの中には、
「逆だろ!テストステロンが活性化されるんだから、むしろした方がいいんだ!」
と真剣に説得する選手まで現れる始末。
実際のところ、この問題、どう考えるといいのでしょう?
スポーツイベント前のセックスに関するあらゆる研究をまとめた近年の論文では、試合の前日にセックスしても、害になりそうにないと結論づけられました。
様々な論文を踏まえて、私が極めて真面目に答えるのが、
「性的興奮はOK、でも男性は射精しない方がいい」
という内容。
上記の中堅選手が考えたように、男性ホルモンの代表選手であるテストステロンは性的興奮で高まります。
試合前のセックスはテストステロンの多く分泌するという面で、パフォーマンスに非常にいい影響を与えてくれる可能性もあるのです。
しかし男性はひとたび射精をすると、プロラクチンとオキシトシンというホルモンが出ます。
オキシトシンは人間関係を高め、信頼関係を深めるホルモンなのですが、問題はプロラクチンの分泌。
プロラクチンは脳下垂体を刺激する成長ホルモン。
コルチゾール(ストレスを感じた時に分泌され筋肉を分解する作用を持つホルモン)の活動も高めてしまう働きがあるのです。
射精によってトレーニングで蓄えた大切な筋肉が分解されやすい状態になってしまうんですね。
また精液には亜鉛やアルギニンが多く含まれているため、これらの栄養素も失ってしまう可能性があります。
私が現在メインで担当しているラグビーは、激しいコンタクトスポーツの代表格であり、コルチゾールの分泌が高まるのは絶対避けたいところ。
公式戦の前に性的興奮によってテストステロンの分泌を高めるのはいいことづくめですから、可能であれば「接して漏らさず」を守ってもらえればOKということになります。
「養生訓」の中にある貝原益軒先生の教えがこんなところに生かされるわけですね。
…個人的にはなかなかハードルが高くて、正直自分が実行できるか自信がありません。
しかし、こういった割り切りが出来るタイプには、
「疲れを残さない短めのSEXを楽しんで、射精をしないで終わる」
というパターンがおススメです。
性欲のコントロールや利用も食欲や睡眠同様、人間の根源的な欲求。上手く付き合ったり教育しなくてはいけない要素です。
性欲を利用する有効な方法としては、「緊張対策」というのもあるんですよ!
上がり症のプレイヤーは集中することも大切ですが、試合前にHなことを考えたり、画像や映像を利用することによって、テストステロンの分泌が増加され気持ちを高める、という方法も有効。
闘争心の高まった状態でゲームに臨むことができるのはメリット。
ただ王道の緊張対策としては、HALEO社の「UP!」のようなカフェインなどを多く含む
覚醒作用のあるサプリメントを使用することを、オススメします。
もちろん一切ドーピングに引っかかることもなく合法且つ安全なもの。
一度試してみるのも手です。
男性チームに関わり続けてきたこともあり、男性アスリートをイメージして進めていますが、当然女子選手に関しても同じ問題はあるでしょう。
女性アスリートに関するSEXやマスターベーションとパフォーマンスに関する記事は、ほとんどありません。数少ない論文では、おおむねパフォーマンスとの影響は見られないと結論付けられているようです。
TENGA社の大規模なアンケートによると、
射精によって急激な変化を伴う男性。それと比較すると、リラックス効果を得られるマスターベーションを活用するという方法は、女性アスリートにとっては充分に効果的な方法かもしれませんね。
アスリートレベルになるほど、SEXや自慰行為による影響が気になるもの。なかなか正直に周りに相談することも難しい、デリケートな問題ですよね。
実際にアスリートたちは、どのように考えているのでしょうか。
私が関わってきたプロ野球選手。
特に先発投手はほぼ100%が試合登板数日前から「禁欲」状態でした。
変則的な投球スタイルで有名になった投手は、登板3日前からお酒を飲まずにセックスもしない、という確固たるルーティンがありました。
その選手に尋ねると、科学的なデータというよりも自身の感覚でこういった状態が最も投げやすいのだ、ということ。なるほどなぁと感心したものです。
ほぼ毎日プレーする野手は、そこまで神経質になっていては長いシーズン持たないでしょう。
しかし野手の中にも、「何となく腰が軽い気がする」というネガティブな感想を持つ
選手が多かった印象です。
減量中には性欲が減退しやすい傾向にあります。
意図的に1~2か月禁欲生活を送ったことのある、男性アスリート数名に尋ねると、
「目覚めのスッキリ感が高まり、疲労回復能力は高い気がした。
ときどき衝動的に感情が強まることがあったけど、思考や集中力は普段よりも深まっていた気がする」
こんな感想が多く聞かれました。
2018年8月。
ジャカルタ・アジア大会に参加中だったバスケットボール男子日本代表4選手が不適切な行為により、日本選手団員の認定を取り消されました。
公式戦直後、日本代表のジャージを着たまま繁華街に食事に行き、そのまま売春行為に及んだという内容。
ごく普通のテンションでこのニュースを聞いたとき、
「何を考えているんだ?常軌を逸している!」
そう感じた人が多かったはず。
…私自身も正直そう感じました。
もちろん行った軽率な行為を擁護することはできません。
しかし、国際大会や公式戦に対する重圧というのは、私達が日常で体験するようなものとは、レベルが違います。
このことも知っておいてほしいと思うのです。
敗戦した場合のショックは大きく、心身ともに大きなダメージを負うもの。
このケースの場合、性的欲求の観点から周囲が心配する必要はありません。
一番怖いのが、好結果が出たり、勝つことが難しいと思われた相手に大金星をあげた、などの勝ったときです。
交感神経が優位となり、研ぎ澄まされた緊張感の中で過ごしていた選手。そこから一気に開放され、好結果によりテンションもアップ。
ドーパミンなどの快楽ホルモンも分泌されます。
副交感神経が優位になることで、急にお腹が空いたり、眠気が襲ってきたり。
当然3大欲求の1つ、性欲も高まってくる選手が多いわけです。
アスリートの緊張感とその反動からくる性衝動。
この摂理は、2016年のリオオリンピック開催時に配布されたコンドームの数を考えると、何となく理解できると思います。
国際オリンピック委員会が、必要量として選手村にて配布したコンドームのその数、45万個!
国の代表選手が選手村内で暴行未遂を起こし強制帰国を命じられるケースも、1大会内で1度は聞くニュース。
議論されることが少ないスポーツと性欲求ですが、きちんとデータを取りつつ研究を進めていくことも必要でしょう。
私のようなチームスタッフは、好結果のときほど、試合後の選手の様子を注意深く観察する必要があります。
いいムードに水を指したくない…という気持ちは皆ありますが、
「必ずいつもどおりアイシングやケアをすること~!飲みすぎないように!!」
といった通達は、監督やコーチ、トレーナー陣から必ず出るはず。
せっかくの結果に泥を塗ってしまっては仕方がない。そう考えて釘を差すわけですよね。
極度の緊張感からの反動は思った以上に大きいもの。
普段の様子からは想像もつかないハイテンションになる選手にも、これまで何十人も遭遇してきました。
通常の思考回路ができなくなる選手も想定して、チームスタッフは好結果のときほど、気を引き締めるべきです。
さて、話はガラッと変わって。
以前、ブログにて人間ドックならぬ「男性力ドッグ」というものがあるのを紹介しました。
通常の人間ドッグでは行わない、男性更年期専門家の問診や独自のチェック項目を加えたもの。
中でも驚いたのが両手のコピーを取り薬指と人差し指の長さを比較する、という項目。
担当医師が
「生まれつきテストステロンの値が高い人は、人差し指よりも薬指が長くなる。特に右手に顕著に出やすい」
と断言されていて驚きました。
「鼻が大きい選手は〇×△□も大きい」みたいな都市伝説的なものではなく(下品ですみません)、きちんと相関関係があるんです。
2017年9月にはスイスの学術誌に、出生前に胎内で浴びる男性ホルモンが多いほど女性の月経前症状が重くなる可能性があるという説が発表されました。
この指標としても使われるのが、性ホルモン量の推定に使われる右手の薬指と人さし指の長さの比率なんです!
右手の薬指が人さし指に比べて長いほど、諸症状が重くなる傾向がみられたという。従来の研究で、「男性ホルモンを出生前に多く浴びると、人さし指に比べて薬指が長くなる」という傾向が分かっており、今回の研究で、「出生前に男性ホルモンを多く浴びると月経前症状が重くなる」という可能性が示された。
2017年11月1日 朝日新聞DIGITALより
男女問わずに、男性ホルモン量を推し量るのに有効な指の長さ。
今すぐ右手の人差し指と薬指の長さをチェックしてみましょう!
2016年の1月に衝撃を受けた論文が、
「有酸素運動のし過ぎによって男性ホルモンの代表格であるテストステロンに分泌量が減る可能性がある」というもの。
月に出生前に胎内で浴びる男性ホルモンが多いほど女性の月経前症状が重くなる可能性があるという説が、日本でも行われているとのこと。
参考記事によると、45~55歳の市民ランナー44人(男性33人、女性11人)について、1カ月間の走行距離と血中テストステロン濃度との関係を調査。
…2014・2015年の秋から冬にかけて、間違いなく私も月200㎞を越えるランニングを継続しました。
自覚はまったくありませんでしたが、選手寮の一つに住んでいたこともあり、無意識に男性ホルモンの分泌を抑える行動に駆り立てられていた!?のかも知れません…。
いかがだったでしょうか。
性ホルモンに関わるトピックを、3つ挙げて紹介していきました。
・試合直前のセックスは射精をするのはお勧めしない。
・自身の性欲を上手く利用する方法もある
・右手の人差し指と中指の長さを比べる。薬指の方が長いと出生前に男性ホルモンを多く浴びた可能性があり、テストステロンの分泌量が高い可能性がある
・月200㎞以上の有酸素運動はテストステロンの分泌を低下させる可能性が高い。特に性的能力が落ちる中高年には注意が必要
3大欲求のうち、睡眠や食事については皆積極的に知識を入れているもの。
ついふざけがちですが、性欲についての知識を入れておくのも、重要なことですよね?
なかなかざっくばらんに聞きづらいテーマだからこそ、トレーナー業に関わる人間は知識として、しっかりと押さえておきましょう!
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