2017現在トレーナー業が最も興味を持っているPRI。マイオキネマティック・リストレーション受講の感想!

*これは旧サイトに2016年5月にアップしたものを再編集したものです。

2016年5月のこと。週末に名古屋に宿泊し二日間かけて、PRI(Postural Restoration Institute)主催のマイオキネマティック・リストレーション(通称:マイキン)を受講してきました。

2012年にこのPRIの存在を初めて知り、2015年より遂に日本での受講が可能に。今最も受講したかったこのセミナー、2年越しで学ぶことができたんです。

 

PRIはマニアックだけど現場目線のコンセプトの印象

一言でいえば、これほどまでにマニアックに、それでいてしっかりとしたフレームワークで構築されているのに驚きました。臨床や現場で用いるアプローチやトレーニングにまでよくぞ落とし込んだなぁという印象。

二日間あったとはいえ、資料は日本語版のテキストと資料集だけで120ページ超。後半部は原文の英語がそのまま載せてあるという贅沢さ。

今回の講習の大前提にある連鎖は、腰椎骨盤大腿部にある『Anterior Interior Chain(AIC)』と呼ばれる、呼吸と体幹、胸郭、脊柱、そして下肢の回旋に大きな影響を与える、多関節筋連鎖。

そしてPRIの特徴的な考え方である臓器の配置から身体はそもそもAsymmetry(非対称)であるという前提。

そのことにより、9割以上の人がL-AIC(レフト・アンテリア・インテリア・チェイン)パターンに陥るのだ、という極端とも思える考えにまた驚きました。

 

自分自身が抱いていた疑問とつながって

自分自身、今まで数え切れないほど多くのクライアントの立位姿勢をみてきました。立位姿勢が教えてくれている情報は多く、今でも強力なツールとして使用しています。

その中で常々疑問に思っていたことは、どうして左右の骨盤は前額面状でほぼ100%違う傾きを伴うのかという点。

簡易的ですが仙骨部に手掌を置き、仙骨角を考慮に入れたうえで腰椎下部~骨盤の位置関係をチェック。上前腸骨棘(ASIS)と上後腸骨棘(PSIS)の前後の傾きを左右共に確認していきます。

このASIS-PSISの前後の傾き、そして前額面でチェックする左右ASISの高さはほぼ100%違うんです。

左右差なく高さの違いがないように見える場合も、座位で腹圧をいれてもらうと急に肩の高さに左右差が出てきたり、というケースも多くありました。

PRIが提唱している『98%以上がL-AICである』という前提があるとすれば、今までの経験からも腑に落ちるところも多くなるほどなぁと感じたのでした。

私自身の反省としては、こういった左右差やある種の偏りは深く思考することなく「良くないものだ」と考えていた点。

拘縮や弛緩、左右差や前後差があることが原因であることが多く「ある程度左右均等がバランスを調える」ことが必要だ、という固定概念があったんでしょう。

今でも拘縮などの問題があるパターンもあるものの、健常者の15~20%程度と考えられています。それよりもモーターコントロールによる問題のほうが大きいだろうというのが世界的な共通見解になってきていますよね。

PRIのマイキンを受講したことで、非対称が前提であれば、ある程度の動かし方に差があるのは当然だという観点に気がつくことができました。

 

 

惜しみなく提供された資料がすごい

エクササイズやストレッチの資料も本当に莫大に、惜しみなく提供されました。
大内転筋の中のイシオコンダイラーアダクターをメインで収縮させる、という初めての経験もできました。

解剖学的な正しいポジションが非常によく考えられた種目ばかりで、それを体験するだけでもこの講習に参加する価値があると思います。

 

 

講師陣のレベル高し

講師の石井健太郎さんも若いのに、めちゃくちゃ切れ者でしっかりと日本語でもわかりやすく説明して下さり、ただただ感心。

ずっとアメリカで活躍されている方が、日本語でも同じように伝えるというのはすごい高度な技術です。そして翻訳部分もとてもわかりやすかった。

世界で働く日本人トレーナーやコーチは、私が知らない方もたくさんいて一流の人たちばかり。

もっともっと精進して自分のスタンダードをもっともっと高くしたいなぁと感じる、いい機会になりました。

そして進行を助けてくれた、PRTでもある大貫崇さんにもたくさんサポートを受けました。2016年まで近鉄ライナーズに所属していた高忠伸選手とは高校時代のクラスメイト、という事実を知り世間って狭いなぁと笑ったものでした。

このときが顔を合わせたのが初めてでしたが、大貫君とはその後もセミナーを受講させてもらったり、一緒に食事をしたりできるように。

今後も縁があれば一緒に仕事をしたい、と思える仲間を見つけられたのも収穫でしたね。

依然として咀嚼するのは難しいマイオキネマティックリストレーションの内容。じっくりと自分のものになるまでコツコツと時間をかけていきます。

今回のマイキンは基礎コース3部作の最初のもの。残り2つのコースを日本受講するか、それともHome Studyコースを頑張って英語でとるか。

悩ましいところです…

 

まとめ

・PRIはクオリティ高く奥深いので皆が気になっている理由がよくわかった

・構造上の左右非対称という着眼点からの理論的な飛躍が素晴らしいし魅力的

・とにかく基礎コースの後2つを受講して咀嚼したい

・お金も日程も人気講座の予約ゲットもなかなかハードルが高いけど…

 

The following two tabs change content below.

YUJI HIROTA

アスリートスポーツの現場をメインに活動するトレーニング・コンディショニングの専門家。「コンディショニングコーチ」ですがスポーツトレーナーといった方がわかりやすいのかも。実は鍼灸師でもあります。
YUJI HIROTA

アスリートスポーツの現場をメインに活動するトレーニング・コンディショニングの専門家。「コンディショニングコーチ」ですがスポーツトレーナーといった方がわかりやすいのかも。実は鍼灸師でもあります。

Share
Published by
YUJI HIROTA