プロ野球の横浜DeNAベイスターズ
筒香選手。
若い選手ですが、高卒でプロ入り
した当時から落ち着いた雰囲気は、
周りの高卒ルーキーとは全く違って
いました。
彼がプロ入りした2010年オフ。
千葉ロッテを退団し、横浜DeNAに
FA移籍した橋本将選手のパーソナ
ルトレーナーとして、横須賀球場
に足を運んだ私。
目の前でティー打撃を行う筒香
選手のスイングとボールへの
バットの入れ方に目を奪われま
した。
「間違いなく数年後には横浜の主力選手になるよ。モノが違う」
首を振りながら、そう語る橋本
選手の言葉が印象的でした。
そんな筒香選手が、2019年1月の
イベントの中で、とても貴重な
提言をしてくれています。
ダルビッシュ有投手と同じく、
ことあるごとに球界への提言を
口にしている筒香選手。
野球界を良くしたい、これから
の野球人口に危機感がある、
というのがヒシヒシと伝わって
きます。
まずは大好きなスポーツを、心
の底から楽しんで、のびのびと。
そんな環境づくりを、いいかげん
日本も真剣に考えていかなくては
なりません。
この記事に対して、元プロ野球
選手であり、日本以外の4カ国
でプレーをした、小林亮寛氏
が素晴らしい提言をしてくれて
いました。
「好き!」いつまでもそう言える環境づくりを
損得や得意不得意で「好き」が決
まるわけではない。
スポーツって本来はそういうものの
はず。
しかし日本のスポーツ界では、つ
いすぐに技術や勝敗にこだわる
文化があります。
何でもかんでも競技としてスポーツ
を捉えてしまうわけです。
その弊害として、本来なら防げた
であろうオーバーユースによる故障
や、偏った指導者、父兄の圧力、
心ないチームメイトなどの要素など
が生まれやすくなっているのだと
感じます。
鉄道BIG4の興奮した様子をみて
大阪に単身赴任していた時のこと。
たまたまつけたテレビで、「笑
神様は突然に」のスペシャルが
放送されていました。
この中で鉄道BIG4と呼ばれている
コーナーがあったのですが、超
豪華列車である「トランスイー
ト四季島」のデビュー前の試運
転をみたり、中に入って施設を
紹介していました。
中川家の礼二さんを中心とした
この鉄道BIG4の狂喜乱舞ぶりに半ば
呆れつつも、彼らの様子はとても
微笑ましく感じました。
もはや仕事を忘れた表情で、ただ
目の前の電車への愛着を爆発させ
ていたからだと思います。
好きなものに無邪気に興奮できる。
そんな様子をみるとこちらまで幸せ
になるなぁ…
そんなことに気がついた出来事で
した。
幼い頃ビニールバットでの野球の原形
子供のときに、めちゃくちゃな
ルールで仲間とやっていた野球
もどきの試合。
あっという間に時間が経ってし
まって、全然疲れませんでした。
大好きだ!といくつになっても
いえるような環境づくりをスポー
ツでも、作っていかないと
悲しいですよね。
突然連絡をしてきた高校球児
2017年のゴールデンウィーク。
3-4年前にパーソナルトレーニ
ングを指導していた、現在高
校3年生の野球部員から突然ラ
インがありました。
一言、「今お話できますか」と
のことで、彼と久々に電話で話す
ことに。
最後の大会前にも関わらず、野
球へのモチベーションが下がって
しまった、とポツリポツリと小
さな声で語る彼。
肩の故障からのリハビリや、野
球の周囲にある人間関係にも疲れ
てしまったような様子が、私に
も伝わってきました。
簡単にかけられるような言葉は、
見つかりませんでしたが、
「とにかく野球を嫌いにならない
であげて」と伝えました。
最後に「頑張らなくていいから、
上手に自分の中で野球との距離感
を整理できたらいいね」
そう言って電話を切りました。
取り巻く環境因子や故障によってあ
んなに大好きだった野球が、トラ
ウマになっていく。
私自身もそういった高校球児でした
し、同じような経験を持つ選手を
たくさん見てきました。
今振り返ればその経験が、社会人
として役立っている部分もあるけれ
ど、それってやっぱり切ないです。
暑くなってきた5月のグラウンド
で、メンバーであろうがなかろう
が、彼が重たい気持ちではなく、
ボールを握りバットを振るその瞬間
には「楽しい」や「好き」を感じ
られていればいいなぁ…
祈るような気持ちで初夏を過ごし
た、そんな2017年でした。
「楽しさ」を伝えることを忘れるな
連絡をくれた高校球児にしても、
生まれつき野球が周りにあり、
自分が得意であったことも味方して
野球にのめり込んでいったのかもし
れません。
私がトレーニング指導していた際、
ピッチングや野球を語る彼は
「野球が好きでたまらない」と
いった様子でした。
どのスポーツでも、真剣にやろう、
上手くなろうと取り組めば、残酷
ですがどれだけ続けたいと思って
も、その競技から離れなくてはな
らない日がくるんですよね。
それ自体は仕方のないことですし
当たり前。
自分が納得するまで挑戦できれば、
そのプロセスが今後の人生の大きな
糧になるはずなのです。
その半面、疲弊し傷つき逃げるよ
うに、そのスポーツを離れてしま
う選手が一定数いることも事実。
その「元選手たち」がある種のト
ラウマを抱え、笑顔でずっと向き
合ってきた、そのスポーツを出来
ない。
そんな残酷なことは、絶対にあっ
てはいけません。
スポーツってもともと大人の娯楽
から始まったもの。
楽しければいいんです。
逆に楽しさが全くないのであれば、
それはもうスポーツじゃなく労働
に近い運動なのだと思います。
もっと肩の力を抜いてスポーツを
楽しめる文化。
そんなものが日本に根付いていく
ことを心から願っています。
競技スポーツの指導者であれ、
我々のようなスポーツに従事する
トレーナー業であれ、スポーツ
の楽しさを伝えることを忘れず、
選手やクライアントと接してい
きましょう。
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YUJI HIROTA
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