プロのトレーナー、糖質制限始めるってよ!論文に衝撃を受けて実際に4か月やってみた

ふざけたタイトルをつけましたが、40を過ぎて初めて糖質制限に4か月ほど挑戦してきました。

単身赴任生活も4年目に投入し、外食を中心とした食事の影響が気になっていたこともあり、自ら「生きた実験台」を行っていたんです。

結果的に69.5kgあった体重は66kgに。一時は65kg台前半まで、ストンと落ちてしまいましたが、今は3食中1食だけ糖質を減らした食事に戻して、このぐらい。

それほど苦しい思いをせずに、体重コントロールに結びつくことはわかった糖質制限。今回は私の体験記を基にした長編記事です。

4カ月間の糖質コントロール生活

LANCET誌の報告に衝撃を受けて

直接的なきっかけになったのは、約3か月前。
アメリカで知名度の高い、弘田も知っている医学サイト「LANCET」に1万7千人を越える研究の結論が載りました。

その内容が、
[box class=”yellow_box” title=”研究結果より”]①炭水化物摂取量の多さは全死亡リスク上昇と関連
②総脂質および脂質の種類別の摂取は全死亡リスクの低下と関連
③総脂質および脂質の種類は、心血管疾患(CVD)、心筋梗塞、CVD死と関連していない
④飽和脂肪酸は脳卒中と逆相関している [/box]

私が基礎的な栄養学を学んだのは20年前。アメリカ留学時代にも再度「スポーツ運動学」を受講しましたが、その際でも「脂質の摂り過ぎ」への警笛ばかりが多かったんです。

糖質(当時は徹底して「炭水化物」と表現されていましたが)は特にアスリートほど、しっかりと摂るべきだ!と繰り返されていました。

しかし今回の研究結果をみる限り、どうやら脂質が悪者だという視点は間違い。そして食事全体から糖質が60%を超えると死亡率は顕著に高まる、ということが明らかになりました。

「糖質制限」論争に幕?一流医学誌に衝撃論文 「炭水化物は危険、脂質は安全」の波紋

…一人で大阪で暮らしている弘田の食生活、糖質は全体の食事の50%を優に超えているはず。こりゃあまずいぞ。そんな危機感も手伝って始めてみました、人生初の「糖質制限」ライフ。

その感想は、というと…

これがすごく良かったんです!

少なくとも私には無理なく反動なく、気になっていた脂肪部分がすっきりさせることができたんです。

何だか怪しげな広告みたいですが、多くの人が気になっているであろう糖質制限。アラフォー単身赴任(当時)のトレーナー、糖質制限始めたってよ!ということで体験記スタートです。

 

糖質「コントロール」の日々

前々から「糖質制限」っていうアプローチには興味があったんです。

結果にコミットするライザップ、週に2回60分の筋力トレーニングがメインで痩せるわけはないので、8割は食事からのアプローチなのは明らか。この施設の場合は糖質をメインにしつつ脂質制限もあるため、ほぼタンパク質のみの摂取。体重を落とすには必要なのでしょう。

私は163cmで69kgが普段の体重。BMIでいうと「軽肥満」ですが、運動を指導する立場としてこれぐらいがベスト。…だと思っていました。

今回は切羽詰まったダイエットというわけでなく、「糖質だけをコントロール」した場合にどういった変化が体に起こり、どんな感覚を自分が持つのか、を検証したかった。

ざっくりと自分の普段の総摂取カロリーを計算し、糖質コントロール以外は普段のトータルカロリーを摂るように生活し始めたのです。

 

コンビニエンスストアでよく選んでいたもの

チャレンジを始めてまず実感したのは「食べるものの選択が狭まる」という当たり前の事実。

体作りの専門家の端くれとしてはお恥ずかしい話。しかし今まで外食したりコンビニで食品を買う際、カロリー表示や人工添加物、着色料はチェックするものの「炭水化物」や「糖質」はほとんど目を通したことがありませんでした。

弁当はご飯がプラスされているから除外。おにぎり、パスタもNG。菓子パンやスナック菓子はもってのほか。

…コンビニやスーパーで購入することがほとんどの私、まず購入できるものを把握することからスタートしました。

 

ファミリーマートで重宝したもの

これは「RIZAP」シリーズです。割チョコビターショコラデザートとカスタードプリンは、甘いものを我慢するのがつらい女子のような私にとって救世主。

何となく「RIZAP」シリーズと書いているだけで一種の免罪符のような気がして買いやすい。助かった!って感じ。このブランド感は戦略として素晴らしい。思考停止にしちゃう。

バナナチップも糖質20グラムだから本当はそれでも多いはずだけど、許される感覚になるんですよね…

 

ローソンで重宝したもの

何といっても低糖質ならローソンが一番力入れています。ブランパンを中心とした低糖質パンシリーズは全部食べました。どれもおいしいし、わざとらしさも少ない。

私の場合はご飯を食べられなくてもパンさえ定期的に食べられれば、それほど大きなストレスにならないんだなぁ、ということに気がつけました。

どこのコンビニエンスストアでもあって重宝するものが、サラダチキン。種類もそれぞれ3~4種類あるけれど、個人的にローソンのレモンが一番おススメ。シーザーサラダに入れたりすると贅沢な気持ちになります。

他におススメなのはローソンセレクトの「カマンベール入り6Pチーズ」。美味しくて腹持ちがいい。1個当たり糖質は0.5gでカロリーは60kcal。

今回の私のように「今まで通りのカロリー摂取は保ちつつ、引き締まった身体にしたい」というニーズの人にはうってつけ。6個全部食べれば360kcalになりますから、とかく摂取カロリーが不足しがちな糖質コントロール期間をサポートしてくれました。

セブンイレブンに関して

今までダントツで食品を購入していたセブンイレブンですが、糖質コントロールに適したものって実は少ないんですよね。チャレンジ期間中はずいぶん足を運ぶ機会が減りました。

おいしいブラックコーヒーが飲みたい時、そしてどのコンビニエンスストアよりもおいしい半熟ゆで卵が食べたい時に利用。ゆで卵の味はセブンイレブンのものが個人的にはベストだと思います。

スーパーではイトーヨーカドーがおススメ

まとめて購入するためにスーパーに足を運ぶのであれば、イオン系よりもイトーヨーカドーがおススメでした。ここでしか種類が多くないフリーズドライのスープ(酸辣湯が特においしい)があり、ロカボナッツなど低糖質食品も豊富でしたよ!

 

コツは「お金をかける」こと

糖質コントロールを無理なく継続するコツはズバリ「お金をかけること」。どうしてもお腹がすいたり甘いものが食べたい!という人間の本能的な欲求が出てきたときに、いかに目の前に「糖質コントロールされた食べ物」があるか、が大切だからです。

冷蔵庫の中に常にお気に入りのチーズやスイーツはあり、それは食べてもいい。仕事場に持ち込んだ糖質コントロールされたチョコは迷わず食べられる。

この状況さえ作れれば、それほど高い精神力は要らないです。

だからこそ問題となりがちな「食べていい食品」を前もって準備する必要があります。そこで糖質制限の食品を取り扱う通販サイトを利用しました。

①糖質制限ドットコム

糖質制限ブームの火付け役、高尾病院の江部先生監修の糖質オフ食品の販売サイト。まずはこの試みの先駆者が直接関わっているサイトをチェックしてみました。

1.こんにゃくパスタ4食セット
2.糖質制限スパニッシュサラダドレッシング
3.糖質制限カレー
4.モリドル糖質制限チョコバー アーモンドミルク10本セット

送料込みでおよそ6,500円。

なかなかのお値段でした。それでも大きな収穫はこの中の「糖質制限スパニッシュサラダドレッシング」と「モリドル糖質制限チョコバー」でした。

サラダドレッシングはエクストラバージンオリーブオイルを使っているそうで、100ml当たり糖質は2.8g。この分量でカロリーは285kcalなので、高めではありますが味はとても本格的で、どのサラダにも合う。

コンビニで購入したサラダ+チキンサラダをのせてランチにすることの多かったので、このドレッシングのお陰で飽きずに味を楽しむ事ができました。

糖質制限を考えていなくても、500mlで1,355円。ちょっと贅沢にドレッシングの味を楽しむのであれば買いだと思います。

https://www.toushitsuseigen.com/


②低糖工房

「糖質制限ドットコム」にて購入した製品は全て十分に満足いくものでした。それでも常に送料が700円以上かかり、全体的に高価なイメージは否めませんでした。長期に渡って糖質コントロールをしていくにはお金をかけ過ぎても続きません。

そこで次にトライしたのが「低糖工房」でした。

パンの種類が豊富にあるのがここの強み。私はどうしても我慢したくない「あんぱん」の8個入りを購入。通常のあんぱんの93%糖質オフなのにちゃんと甘い!これならやせ我慢する必要がないので、重宝しそうです。

大好きなチョコレートシリーズも「大豆クランチチョコ」なら1個ずつ小分けされていて持ち運べて◎。
何といっても購入してみてテンションが上がったのが「糖質オフ スイートチョコレート (割れチョコタイプ400g入り)」。

100g当たりの糖質は5.5gで本格的な味。埼玉の自宅用にもお土産で送ったところ、子供たちも「普段のチョコよりおいしい!」とテンションが上がってしまったので、食べられないように保管するのが大変そう。

糖質制限ドットコムよりもリーズナブルで味もおいしいので、まずは低糖工房の通販を利用するのがおススメ。amazonでよく買い物をしている人は、amazonペイメント(普段のamazon支払法)も利用できるので面倒なし。私もこれで注文しました!

amazonペイメントも使える「低糖工房」サイトへはコチラ!

 

食費そのものは総じてあがるが結局オトクに

実際に1か月近く続けてみて、自分でも発見だったこと。それが「食費そのものは上がるけれど、トータルの出費はいつもと変わらない」という事実。予め、自分が欲しくなりそうな食品に当たりをつけて通販利用しつつ購入。

家に糖質制限された食品やドレッシングや甘味料を完備して、それをフル活用する。

こういった生活が習慣化されてくると、「今日は面倒だし吉〇屋で食べればいいや」、「どうしても甘いもの食べたいから、今目の前にあるこれを食いたい!」という無計画な行動が減ります。

欲しくなるだろうモノを購入しているので、お菓子などの購入も劇的に減りました(意外と言われることもありますが、トレーナーの端くれの癖に私は「お菓子中毒」なんです)。

 

自分のために「投資する」。最終的にこの感覚で取り組めたので金銭面が負担になる事はありませんでした。

 

実際に取り組んでみて

最初2週間はがつんと糖質を制限した方が楽

ずっと厳密な制限をすることは負担も大きくなると思いますが、糖質制限の状態を体に知らせるためにもスタートダッシュが大切。

“1日の糖質摂取量の目安 = 体重(kg)×1g”ぐらい厳密に糖質制限をする方が効果が高いと思います。
私の場合、約70gに抑えるということ。こんなの続かないよ!と思うはずですが、極端な制限は14日間のみ。

実は普段の食べ方で1食だけ炭水化物を摂らない、というアプローチのほうがストレスになるし苦しいです。

2週間経過したら、もう少し緩く1日100g程度になっても大丈夫。このころには多少の糖質制限に簡単に慣れているはずです。

 

肌の状態がとても良くなった

年齢からくるものもあるのでしょうが、もともと頬に吹き出物やブツブツができやすいのに悩んでいました。

ずっと屋外でスポーツに携わる仕事をしていますから、日焼けの影響でシミなどが出てくるのもまぁ仕方がないかな、と思いつつ、やはり気になるもの。

肌にとってはシビアな環境にある私。糖質コントロールをしてからいつも頬や顎、首に多数あった「吹き出物予備軍」が大幅に減りました。

この変化は劇的なものでした。家族や友人から「何か肌の状態いいね」と声をかけてもらうほど明らかな変化となりました。

肉体的疲労を感じにくくなった

これは主観的なものなので数値化が難しいところ。具体的には平均睡眠時間が1時間ほど減りました。
眠りが浅くなったというわけではなく、今まで7時間半必要だった疲労回復が6時間半で可能になった、という感覚。

主に消化にかかる負担が軽くなった影響だと思っています。とにかく体が楽なんですよね。負担が減った感じ。

科学的データがなく証明はできないのですが、こういったメリットを感じている人が多いからこそ、糖質ダイエットした人のリバウンド率が低いのではないでしょうか。

取り組むことによって体が楽になるので「前の状態に戻すのが却ってしんどい」マインドになるはずです。

 

糖質コントロールに挑戦してみて

知識獲得し自分で体験する説得力

頭を柔軟にしたうえで新しい知識を身につけていくのが大前提。そのうえで全く実体験を伴わない新しい知識は、クライアントにとっても指導者にとっても「眉唾もの」に感じるもの。

学んだことを自分で試してみる。その中での変化や感覚も大切にして「体験」を踏まえて、運動指導やコーチングに生かしていく。時間がかかるものの、そういったリアルこそ説得力になります。

そんな思いから今回の糖質コントロール挑戦となったんですね。

常識を疑え

トレーナー業界では、10年ほど前から傷口に対する消毒は行わないのが常識になっています。

理由は消毒薬は傷の治りを遅くしているから。皮膚の表面の組織などを作る「上皮細胞」までも消毒薬で破壊してしまうのです。

今は「ケアリーブ」などに代表される傷口をドレッシング材で覆う「湿潤療法(モイストヒーリング、ラップ療法)」が主流。

小さいころ、涙目で我慢しながら消毒液をかけ「これで傷が早く治るのよ!」と保健の先生から言われていた記憶。だからこそ消毒NO!は、当時にわかには受け入れがたいことでした。

この例を挙げるまでもなく、誰が悪いというわけではなく、今まで常識とされていたものを否定するのは勇気がいること。

脳の働きから考えても、一度「事実」として認められた知識を違うものに上書きするのは、大きな抵抗があるということがわかっています。

パソコンのハードドライブデータを書き換えるように簡単にはいかないのです。そこに過去の経験や感情といったものが影響していくんです。

日頃から自分の中で「常識」とされている知見に関して、思考停止にならないこと。今回のトライはその観点からも貴重なものでした。

糖質制限が万能薬ではないのも当然

私にとってはプラス面ばかりが目立った糖質制限。しかし当然これが万能薬でないのは明らかです。1年、5年、10年と徹底した糖質制限を行い続ける弊害。今後の研究でこういったものも必ず出てきます。

これだけやっておけば間違いない運動アプローチ。

これだけ飲んでおけば絶対に効果があるサプリメント。

この人の言うことだけ信じてやっていれば成功に導いてくれるメンター。

…不自然なのは、ちょっと考えればわかることですよね?

今回、挑戦するにあたって、親交のある管理栄養士にも見解を聞きました。

彼女曰く、
「エビデンスの数以上にものすごく支持されている印象。データの対象者が糖尿病患者であったりするものも含まれるので、考慮は必要。脂質に関しては、中佐脂肪酸やEPAなどはアスリートにプラスに働く面もあり、ポジティブに摂っていくのは賛同できるけれど…」
とのこと。

またアスリートでも練習量が軽めだったり、減量中には食事全体量の50%以下に糖質は抑えるのは常識。ハード日も軽い日もタンパク質の量は変わらないのをポイントにしている、と答えてくれました。

白黒はっきりとさせる考え方ではなく、人間の体が進化していく過程で身につけた自然適応。そんな概念を頭に入れておきつつ、明らかになっていく知見や情報を取り入れていければ、と感じています。

まとめ

・糖質の比率が明らかに高かった自分にとって「糖質コントロール」はメリットが多かった

・一般論としてこのアプローチは大国人にとっても有益であると感じた

・実際チャレンジする際には、何を食べていいのか、どこで購入できるかの知識が必要

・食事にお金を使うけど、トータル出費はそれほど増えない

・糖質制限すればいいことづくめでHAPPY!みたいな思考は愚か

 

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YUJI HIROTA

アスリートスポーツの現場をメインに活動するトレーニング・コンディショニングの専門家。「コンディショニングコーチ」ですがスポーツトレーナーといった方がわかりやすいのかも。実は鍼灸師でもあります。
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YUJI HIROTA