トレーニングってきついもの。
…間違いありません。
やはり何らかの過負荷がかかってい
るからこそ、トレーニング効果があ
るわけですから。
ですが、当然のことながら「追い込
む」ことがトレーニングの目的では
ありません。
近視眼的な思考に陥らないこと。
当たり前の思考ですが、今回は
「追い込む」に関する深掘りを
していきましょう。
極端な話、トレーニングはそれ
そのものが目的であることは
ほとんどありません。
トレーニングはあくまでも目的
に到達するための、効果的な一
手段です。
科学的な根拠をきっちりと抑えつ
つ、目的に対して「手段」として
行うトレーニングの「細分化され
た目標」を設定するのが、専門家
のあるべきアプローチ。
例えば、プレシーズン期としてこ
こから4週間、最大筋力の獲得を目
標として行うストレングストレー
ニングである、という細分化され
た目標をきちんと意識して立てる、
といったことです。
ここを認識しておけば、指導方法
として「安全に怪我のないリスク
の中で実施させて、1RMの80~
90%程度の負荷をかけての限界ギ
リギリの挙上数」を求めることに
なるでしょう。
その際はこう声をかけるわけです。
「まだいける!もう1回!!」
[/box]
フィットネスで、トップスピード
で走ることに脳~神経の協調を含
めて慣れさせたい、という「細分
化された目標」を設定したならば、
十分な休息時間を与えたうえで、
光電管測定をスタンバイしてこう
指示を出すでしょう。
「ベスト記録は〇〇〇。この95%以内の数字、×××をクリアしたら終了ね!」
[/box]自分の体を動かすモーターコント
ロール機能に刺激を与えて、本来
体が持っている自然な動きを無意
識下で獲得させたい、という「細
分化された目標」が狙いであれ
ば、できるだけリラックスできる
肢位を取らせたうえで、こんな風
に伝えるかもしれません。
…え、2や3の指導は「追い込む」
ことができていないのでは?
そう感じている指導者は要注意。
目的につながる目標設定に対して、
達成できるように導くこと。
これもトレーニングで「追い込む」
ことになっているのです。
自信がなかったり、偏りが強い
指導者やコーチほど、肉体的に、
精神的に「ストレスを与える」
ことをしないと、不安になって
しまう傾向がありますよね。
しかしその定義での「追い込み」
は、厳しい言い方をすれば誰でも
できます。
ひたすらきついことを強いれば
いいわけですから。
S&Cコーチであれば、トレーニン
グという手段を任せられた専門家
として、マクロな観点からマイク
ロな目標を設定。
その目標を達成する、という意識
をサボらずに常に持ちつづける。
この意識こそ、一つ一つのトレーニ
ングやコンディショニングを選択し
実施する際の道標(みちしるべ)。
これがしっかりと定まっていれば、
70%程度の効果は既に見込めるも
のなんです。
指導者にとっては、きついことを
させている雰囲気は、
「(効果的なことを)やらせてい
る」感覚になり安心するのは事実。
気持ちはわかりますが、何の要素
に対して「漸進的過負荷」をかけ
ているのか。
専門家として、幅広い「追い込む」
ことの定義を持ちたいですよね。
ステレオタイプの「トレーニングの
専門家」を求める指導者や技術コー
チからみると、私の指導スタイルは
往々にして物足りなく見えがちです。
現場指導のときには、常にその外圧
との戦いが課題といっても過言では
ありません。
目に見えてわかりやすい選手が苦し
みながら必死にやり抜く姿を求めて
いる指導者はいぜん多いからです。
継続的に選手に楽をさせることは、
トレーニングやコンディショニング
の世界では結果的には決して優しい
ことにはなりません。
私も常に選手に対してしっかりと、
漸進的過負荷をかけることを考えて
います。
ただその負荷のかけ方は、「昔か
らあるステレオタイプ」のものだ
けではないですよね。
真綿で首を絞めるように、使い方を
意識させて「本人だけがわかる初め
てのきつい感覚」を指導するパーソ
ナルトレーニング。
身体以上に脳をフル回転させて
「頭が疲れる」トレーニングセッシ
ョン。
自分の呼吸にだけ意識を向けて、
「自分の体と対峙する」コレクティ
ブドリル。
どれもこれも負荷のかかる行為であ
り、ある種「追い込む」作業です。
自分の頭を単純化させて、苦しくみ
えるプログラムを提供すること。
これは素人でも簡単にできるわけで
すから、そういったレベルとは一線
を画したもの。
プロフェッショナルとして自分なり
の「追い込む」という定義をしっか
り持って、プライドを持って日々現
場に立っています。
技術コーチや指導者からの圧力が
極力かからず、自分が信じた指導が
やりやすくなる実践的なテクニック
なども紹介するセミナーを2019年
から継続的に行っていきます。
今回お話したような内容も深掘り
していくので、興味がある方は
ぜひ詳細をチェックしてみてくだ
さい!