*この記事は音声配信stand.fmにて収録した内容を文字起こしし再編集したものです
子どもたちへの運動指導って、自分自身の世代や心境によって大きく気持ちが変わるもの。そんな話を書いていこうと思います。
元同僚であった女性トレーナー、この記事の中ではAと呼ばせてもらいますが、彼女は私も関わっていた整骨院の治療家と、職場結婚のような形で結婚。
2人の子宝に恵まれて今では旦那さんと共に独立開業をしています。
Aはアメリカで留学を経験しNATAの資格を取得。本格的な勉強していた仲間だったので、とても頼りにしていました。
ただ当時を振り返ってみると、あの頃の私はかなり尖っていて周囲を威圧するようなところがあったんです。
アラフォーどころかアラフィフ世代となってきた今、人のこと許せたり、もうちょっと仲間に合わせたお願いの仕方や、指導の仕方などもできてきた気がします。
しかし当時はそんな余裕はなかったし、自分の求める基準に達していないスタッフに苛々したりしていたものでした。常にピリピリしていたところがあり、当時のスタッフからは結構怖がられていたと思います。
Aに対してもパワハラに限りなく近い、厳しく指導をしていました。そんなAからジュニア世代に対する考えを述べた音声配信を聞きましたよ~、というコメントをもらったんです。
今、小さい子供、男の子2人のお母さんになった彼女から、
「ああ、当時弘田さんはこういう風に指導してあげていたなぁっていうのを思い出します」という内容でした。
少年、少女、小学生ぐらいの時代から中学に入るまでの子どもたち。
運動指導やトレーニング指導というのは、大人のそれよりもハードルが高く難しい。だからこそ真剣にやらないと影響も大きいからきちんとやるべきだ。
そういったポリシーは当時から変わらずありましたから、仲間からのコメントはとても嬉しかったんです。
過去の私の厳し過ぎる指導に関しては、Aなりの気遣いでサラッとフォローしてくれたのだと思います。
ただ、このコミュニケーションを通して感じたのは、「子どもに対する指導というのは、自分のその時のフェーズを写す鏡になっているんだな」ということだったんです。
もちろん皆ではありませんが、一般的には独身で20代半ばぐらいのスタッフは、子供のトレーニング指導にしても体操教室的なことにしても、正直あまり乗り気ではないし、そこまで関心がないものです。
歳が近すぎるのも難しいし、やはり自分がまだ親、保護者的な気持ちを理解することができない時期。どうせ指導するのであれば、大学生やアスリートなど、大人を見たいという気持ちが強い人が多い。
これらのバランスも分からないから、悩んでしまうことも多いですね。
前述しましたが、これらはあくまでも一般論。もちろん最初から子供好きであったり、多兄弟で育ってきたりして、もともと子供の指導がうまい人もいたりします。
ただ自分が歳を重ねて環境が変わってくると、向き不向きに関わらず、指導者側の心境は大きく変わってきます。わかりやすい例が、結婚をし自分の子供を授かったり、といった経験です。
メッセージをくれたAも、自分が結婚し、母となることで、当時とは違うポイントや気づきが自然と生まれてきたんだと思います。
「いや、俺は子ども世代とはそんなにうまく関われないし、興味がない。気持ちが大きく変わることなんかないよ!」
今そんな風に思っている人もいるかもしれません。でも面白いことに、シナプスというか、スイッチがパチっと入る瞬間はあるものなんです。
自分の信念が変わっていなくても「やり方」や「手段」というのは大きく変わったりする。これがスポーツ現場で20年仕事をしてきた私の率直な感想です。
今もしかしたら、
「子供の指導って大事なのは間違いない。私だったらこういう風にやるのに!」
そんな風に感じて、若い世代のコーチだったり指導者がやっていることに、物足りなさや不平不満を感じている親御さんや同業職のトレーナーもいるかも知れません。
しかしこういった状況も、仕方がない部分があるのだと思っています。
子どもの心情を気づき、汲み取り、具体的なアプローチにつなげる。教科書的ではない人生における知恵みたいな部分は、年令を重ねたり、自分の心境に変化があって初めて身につく部分が多いからです。
保護者だったり、先輩のコーチには、我が子に対する気持ちと同じように、
「期待しながら、見守りながら」、かつ「こういうところは今すぐ〇〇というアプローチを試してもらいたい」といった要望やアドバイスしてあげつつ、一緒に育てていく。
少し余裕を持った、こんな姿勢も備えていただければと思っています。
子供たちの運動指導やトレーニング指導というのは、大人のそれに比べて重圧もあるべきものだと考えています。それだけ与える影響は大きいわけで、だからこそやりがいのある仕事なんですよね。
2011~2014年頃、私が直接関わっていたスクールの子供たちも、もう1番大きい子は社会人になりました。
定期的にお母様からFacebook経由で、
なんて報告を聞くと、時の流れを感じるし、感慨深い。
自分の子供ではないけれど、親戚の甥っ子、姪っ子たちのように感じて、涙が出そうになったりする… もうだいぶおじいちゃんになってるんでしょうねw
そういった経験を仕事の一環としてできているということ。これはこの上なく幸せなことだし、ありがたい仕事をしてるなぁと感じています。
今後はアスリートスポーツを対象にするのではなく、最終的なキャリアとしては、運動やトレーニングを通じて、子供達が健やかに前向きに生きていけるような手伝いをしていきたい。
自分のライフワークにしていければ、こんな幸せなことはないよな、と思っています。