少し下の世代の現場に携わるトレーナーやS&Cコーチから多く聞かれる質問が「年上の選手にどう接したらいいか悩んでいます。」といった類のもの。
もっと専門知識に関して聞いてくれないかな…と思うもののこういう質問の方が多いのが現状。キャリアの前半、自分自身が若い時には誰もが通るであろうこの悩み。
私なりに考えをまとめてみます。
実は年下や同学年との関わり方こそ要注意
年上の選手との関わりを良好かつ「呑まれない」で過ごすための一番のコツ。意外かもしれませんが、実は年下や同学年の選手への接し方で一線を引くことだと思います。
この世代に対して、高圧的な態度や妙に馴れ馴れしい「だれた雰囲気」を醸し出しているようでは、年上の選手からも隙のある相手とみられてしまうでしょう。
どの世代の選手とも一定の距離を取り、指示すべきこと、注意すべきことを行う。常に一定の緊張感を持ち、気配り・目配りをしている。こういった一挙手一投足は選手全てから感覚的にチェックされています。
好き嫌いに関わらず学生時代に教室に入ってきた教師を見て、「あ、今日は機嫌悪いなぁ」、「何か雰囲気緩んでるぞ」とすぐに気がつきましたよね?ああいう感覚を我々に対して持っている、ということです。普段の在り方が重要になってくるんですよね。
小道具もフル活用して
なるほどね…。わかる気もするけどちょっと抽象的。もっと具体的なテクニックないですか?そんな声も聞こえてきそう。
それでは絶大ではないものの効果のある小道具活用法を紹介しましょう。
靴や時計、手袋などの小道具をちょっと高価なものにしたり、デザインを揃えるなどして「専門家らしい雰囲気」を演出するのがその一つ。
上の画像、だいぶ格好つけていますが(笑)計算としてやっているんですよね。
屋外スポーツであれば、常にサングラスをかけておいて目を隠す、というのも有効。直接目を見せない、というのは相手にとって不平不満が言いづらく絡みづらい効果がありますから。
こういったちょっとしたテクニックをフル動員してみましょう。
可愛がられる必要はない
日本のスポーツ界において一つでも年上であれば、とにかく失礼がないように敬意を表して接するのは当然のこと。良し悪しの問題ではなく、文化としてもいいことだと感じます。
しかし特別に可愛がられる必要はありません。特別に気に入られたり可愛がられるのは悪いことではないものの、実はプラスではない部分もあるのです。
年上の選手に関していえば、チームを離れたりその選手が引退した後、食事に誘っていただけるようになったり連絡を取り合えたり、ということがあります。
現場にいる間は少し距離感があったとしても、しっかりとしたプロ意識のある高い専門性を持った人物、という評価を得る。それさえあれば現場を離れた後も声をかけていただけるようになるものでしょう。
先輩スタッフに対して
似た問題として先輩スタッフとの付き合い方もありますね。一度「誘いやすく可愛い後輩」というポジションになってしまうと正直弊害だらけです。
プライベートでも誘われて自分の時間がなくなったり、自分自身のけじめがつかなくなっていく…消化しなくてはいけない仕事が残っているのに、連日誘われて睡眠不足が続く… こんな若手たちを本当に数多くみてきました。
お付き合いをないがしろにしろ、というわけではありません。私のように「誘い甲斐のない可愛くない新人」という評価になると、それはそれで弊害も多いのは経験上、断言できますし。
1~2回はありがたくお付き合いをさせていただき、度を越したお誘いは「ごめんなさい…」と断るテクニックを身につけたいものですね。
その中で「この人の話は是非聞きたい!吸収したい!!」という先輩を見初めることもあるでしょう。その場合は、勉強の時間だと認識して100%吸収すべく貪欲に『つるませてもらう』べきです。
それ以外の先輩でたびたび業務後のお誘いをする人たちがいるようであれば、最初が肝心。この人たちに魅力を感じず有益でないのであれば、理由をつけて断り続けましょう。仕事を終えて隙あれば遊びに行きたい!というスタッフに引っ張られるほど、無駄な時間はありません。
皮肉にもそういったスタッフほどチームに長く在籍しリリースされないもの。悲しい現実ですが、自分の好きなことを仕事にしたい!と思い現場に関わっているのであれば、一線を画す覚悟が必要です。
皆から好かれることは不可能だし、そもそも全ての人から好かれる必要はないと腹を括っちゃいましょう。
まとめ
・年上選手に認められるには、同学年や年下の選手にけじめと敬意を持った姿勢で接することが大事
・時計や靴、サングラスなどの小物を使って「雰囲気」を作ろう
・全ての人から好かれる必要はない。嫌われることを怖がらず上手に断ろう
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YUJI HIROTA
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