*これは2016年6月に旧サイトにUPしたものをリライトしたものです。
トレーニング指導に携わるようになって、徐々によりシンプルなところを考えるようになっているこの頃。
そんなトピックの一つがスクワットとヒップスラストをどう整理していくか、というところ。
2016年2月に行われた第一回ラグビーS&Cシンポジウムにおいても、この話題があがりました。所属するチームやパーソナルトレーニングの際にも、どれぐらいの比率でこれらのエクササイズを入れていくか、を考えています。
そんな中、普段からチェックしている論文サマリーをしてくれるサイトで面白そうなタイトルを発見。早速読んでみました。
それがコチラ→「Squats versus Hip Thrusts: Effects on Jumping & Running Performances | By @YLMSportScience
フロントスクワットとヒップスラストを比較。28人の思春期を迎えるアスリートを対象に行った実験結果です。
エクササイズの効果は力発揮のベクトルに依る?
この実験では6週間の実験期間を終え、フロントスクワット組では垂直飛びにおいての伸び率がヒップスラスト組に対して、大幅に向上。
それに対してヒップスラスト組はフロントスクワット組に対して、幅跳びにおいてより向上を見せた、という結果でした。
面白いのは10Mスプリントに関しては、フロントスクワット組は0.10%プラス、ヒップスラスト組は-1.06%。
20Mスプリントでは、フロントスクワット組は-0.67%、ヒップスラスト組は-1.70%という結果に。
スプリントに関しては、被験者の数が少ない事もあり、仮説を立てるのは難しそうですね。
それでも、エクササイズの選択の際には、見た目の動きに関わらず「力発揮のベクトルを重視する」という考え方が効果を考えると有益である。そんな捉え方もできる実験結果となりました。
当然、トルク角度や可動域、どんな風に筋がアクティベーションされるか、なども複合的要素として考える必要はあります。
実際にこの論文のアブストラクト内にも考察として記載されていました。
腰下部にかかる剪断力を考慮した場合に、シーズン中に関してはスクワット系を3週間ほど行わないマイクロサイクルを設定。
その間はヒップスラストとGHRのようなハムストリングスのエキセントリック収縮を促すようなものの組み合わせで代替させていく、というのはリスクが少なく効果を得られるかもしれません。
そんな仮説のもと、今季所属しているチームでもプリシーズンにそんなフェーズを入れてもらってみました。
極端な取り組みができるほどの度胸はありませんが、こういったトライは適宜行っていきたいと思っています。
今回の論文では若い世代間での比較となりました。
しかし例えば成人男性、しかもラグビーのような水平方向の移動がメインのコンタクトスポーツを行うアスリート間で同様の実験を。
ノンコンタクトスポーツでバレーボールやバスケットボールなどの垂直方向への移動が大切な競技でのアスリート選手間での同タイプの実験をする。
この2者間にて実験結果を比較する、といったものが行われると、現場の人間としてはもっと効果的な仮説を立てられるようになって嬉しいですよね。
世界中の様々な国で今回のような実験が行われるのを、楽しみに待つことにしましょう!