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主観的運動強度RPEの活用法を考えよう

古典的なアプローチであるRPE。

日本語では主観的運動強度と表現
されています。

このスケール、病院でのトレッド
ミル上のテストなどで経験した方
もいるかもしれません。

所属しているラグビーチームにて
2017年より試験的に運用している
RPE。

私が感じているメリットや問題点
をシェアしていきましょう。

 

RPEを導入するに当たって

以前所属していた近鉄ライナーズ
では2017年よりRPEを導入。

毎日のセッション終了ごとにそれ
ぞれの選手のRPEをとる試みをし
ました。

ジムでのウエイト、フィールドで
のチーム練習でそれぞれRPEを出
す形にしていました。

GPSを使えば、ある程度客観的な
数値として運動量を把握できます。

しかし個人差や心身の状態も加味
した違う指標が必要ではないか。

トレーニングやコンディショニン
グを担当するS&Cチームの打ち合
わせで、こういった話が持ち上が
ったのでした。

 

RPEの基準を定義付けしよう

RPEを実施するうえでまず大切な
こと。

それは1~10のスケールの基準を
全体できちんと定義しておくこと。

10という最大強度は誰がどう見て
も疲労困憊である状態。

普段の練習ではまず出てこない数
字です。

ラグビー選手にとっても80分の公
式戦をフル出場したら8~9ぐらい。

通常練習で疲れたな~というレベル
は4~5となります。

まず導入前にRPEスケールの定義を
全員に共有しないと大変です。

選手によっては常に8~10辺りを申
告してきたり、RPEの意図を理解せ
ずに「他の人はどれくらいですか?」
とこちらの顔色を窺ってきたり。

本来のRPEの目的に対して、機能し
なくなってしまいます。

今後RPEの導入を考えている方は、
導入前に一定の基準を選手に把握さ
せる。

忘れないようにしてください!

参考となるボルグ・スケールに
ついてはコチラから

 

RPE導入で期待できること

1.主観的情報を客観的情報と組み合わせられる

前述したように、GPSを導入してい
るチームでは、客観的な数値は追う
ことができます。

1回のセッションの総走行距離、
早く走ったスピードのパーセンテ
ージ、1分間で平均どれくらい
動いたか、などはコンスタントに
年間を通して、分析できるわけ
です。

わかりやすいGPS記事はコチラ

しかしサッカーでいえば、近場
でマンツーマンディフェンスを
徹底して行い、スライディング
を頻繁に仕掛ける、といった
展開になる場合、これらは
GPSの数値には出てきません。

ラグビーで典型的なものでは、
フォワード、特にプロップと
言われる、最前線でスクラムを
組む選手たち。

彼らの、毎回のスクラムによ
る疲労感というのは、想像を
絶するものがあります。

これもGPSで出すのは難しい
のです。

主観的運動強度であるRPEを利
用すれば、客観的データに主観
的な疲労を組み合わせることが
できます。

RPEx練習時間を出し、実際の
総走行距離に加味して考える。

そうすることで、実際の各選手
の運動強度を一歩、深いレベル
で考察できる。

これはRPEを活用した場合の大き
なメリットだと思います。

 

 

2.選手個人の内観力を高められる

20年ほど前と比べると、21世紀を
生きるスポーツ選手たちの「感覚」
や「感性」がより重要になっている
と感じます。

以前より、科学的数値が手軽に取れ
る時代になったからこそ、そう
思うのです。

GPSやGYMAWARE(パワー測定)、
フィットビットのようなフィット
ネス用のスマートウォッチ。

数字が出るって、管理する側から
すると安心するんですよね。

しかし。

身体や精神的なものが、全て
可視化できるか、というと決して
そんなことはありません。

毎セッションごとに、
「今日の疲労度はどれくらい?」
と問いかけることによって、各選
手の中に
「自分はどれくらい疲れてる?」、
「昨日と比べて、どこが動かしづ
らいんだろう?」
といった自分の体を把握し感じる「内観」。

RPEを記録していくことによって、
こういった内観力を身につける
きっかけになると思っています。

 

RPE導入のハードル

もちろんハードルも存在します。

一番の障壁は「毎回一人ひとりに
RPEを記録させること」です。

以前所属していたチームでは、
セッション毎のRPEを、その場で
S&Cコーチが聞いて回り用紙に
記入。

それをデータとしてパソコンに
入れていくというスタイルを
取っていました。

セッション終了直後、という同じ
条件下で確認することで、より
精度の高い自己評価ができる。

記入漏れのリスクをなくせる。

こういったメリットを優先させ、
全員に聞いて回る労力を犠牲に
していた部分があります。

当時はS&Cコーチ3名がチーム
として活動していたので、この
スタイルが可能だったのです。

現在所属しているチームでは、
私一人がS&C部門担当ですので、
同じアプローチは無理。

練習終了後に、株式会社ユーフォ
リアの「One TAP Conditioning」
というクラウドを利用して、
各自RPEを入れてもらう、という
スタイルを採用しています。

練習日の翌日朝、必ずチーム全体の
RPEを確認するようにしています。

しかし決まった選手の入れ忘れが
多く、日々お小言のように注意しな
くてはいけないので、お互いにスト
レスにはなります。

選手はもとより、S&Cコーチにも
根気強さが必要でしょう。

 

まとめ

RPEの導入を現在考えている専門家
もいらっしゃるでしょう。

私自身、このやり方が本当に効果が
高いかどうかは、今後もっと検証し
ていかないと正直
わかりません。

しかし昔からある古典的なものだか
らこそ、今後もRPEという概念は
スポーツサイエンスの分野で、注目
されていくと感じています。

温故知新の精神ってやはり大切
なのではないでしょうか。

リスク自体はさほどありませんから、
迷っているのであれば実験的にでも、
まず採用してみることがオススメ
すよ!

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YUJI HIROTA

アスリートスポーツの現場をメインに活動するトレーニング・コンディショニングの専門家。「コンディショニングコーチ」ですがスポーツトレーナーといった方がわかりやすいのかも。実は鍼灸師でもあります。
YUJI HIROTA

アスリートスポーツの現場をメインに活動するトレーニング・コンディショニングの専門家。「コンディショニングコーチ」ですがスポーツトレーナーといった方がわかりやすいのかも。実は鍼灸師でもあります。

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YUJI HIROTA