何だか最近スポーツ現場でGPSの活用について耳にする。…でも正直全然わからないしイメージが湧かない。
いまさら基本的なことばっかり聞くのは恥ずかしいなぁ…。そんな風に思っていませんか?
大丈夫!
コンディショニングを専門としている私も、2014年からラグビー現場に関わるまでは詳しいことは全然知りませんでした。
難しいことは置いておいて、どんなものでどんな風に活用したらいいか。その点にフォーカスして理解を深めていきましょう。
今後10年ほどの間に、GPSがもっと市民権を持って活用されるようになるのは間違いないでしょうから、少しずつ知識を入れておくのは大切です。
今回はスポーツ現場で使われるようになった歴史と、ごく簡単なGPSデータについて紹介してみますね。
GPSはGlobal Positioning Systemの略。名前の通り地球上における正確な位置の把握に使用するGPSトラッキングが有名です。
GPSデバイスの歴史は本当に浅いです。2004年にオーストラリアンフットボール(AFL)が初めて導入。15人制ラグビーにおいてはイングランドのクラブが導入したのが最初。
ここ10年ほどで現在導入しているスポーツは、ナショナルラグビーリーグ(NRL)やオーストラリアンラグビーリーグ(ARL)、アイスホッケー(NFL)やバスケットボール(NBA)、サッカー、バレーボール、アイスホッケーやハンドボールといったところまで広がっています。
GPSの性能を示す際、よく見かけるのが1Hzや10Hzといった表示。これはヘルツを表しています。例えば10Hzならば、1秒間に10回測位している、ということ。
1秒間で5メートル移動しているとき、10Hzのものは10回測定するわけです。1メートルに2回程度ですよね。これに対して15HzのGPSを利用すると、1メートルに3回チェックが入っていることになります。
面白いのが、この数値が高ければ高いほど優秀というワケではないところ。
15ヘルツでの受信ができる衛星はまだまだ少ないため、複数の衛星で様々な角度から実際の動きを検証するという能力は、現段階では衛星の数が多い10ヘルツの数値の方が信頼性も妥当性も高いんですって。
しばらくは10Hz受信が最も正確なデータである時代は続きそう。もちろん人工衛星からの受信頻度だけでなく、信号受信チップの精度なども影響があるので、一概にこれだけを考えるわけにはいかないのですが。
先日ウェブで出ていた記事にも、2つの信号受信に対応した測位精度の高い新チップの導入について紹介していました。(実際の記事はコチラ)
GPSには様々な活用法があります。加速度計であったりジャイロメーター(ボディポジションやボディアングルなどの測定)、心拍数の測定などの多機能なものが存在。
これらのデータのアルゴリズムを組んで活用することで、パフォーマンスを向上させるための多くの情報を得ることができるものなんです。
GPS先進国であるオーストラリアでは専門のアナリストが存在するほど、奥が深いのがGPS。
日本ではようやくトップレベルの限られたスポーツ(主にラグビーとサッカー)のみが2010年以降に取り入れ始めた、というのが実情でしょう。
私の専門であるストレングス&コンディショニング。本来はGPS専門家のアナリストがいることがベストですが、今現場に存在するポジションの中で、最もGPSを扱うのに適しているのは間違いないです。
幸い、2014-2017年に在籍したラグビーチームでは、オーストラリア出身のストレングスコーチ、ルイス・ダリモアがわかりやすくGPSの情報をシステム化。そのコンセプトなども教えてくれました。
私としても実際に利用してみながら、徐々にGPSの肌感覚を掴んでいったという感じです。
チームとしても、あまりマニアックになり過ぎても現場で上手く活用することは難しいので、できる限りシンプルに活用していくようにしています。
一気に更新することが難しいですが、このブログを読んでくれている方の中でも圧倒的に興味を持ってくださっているものの一つがGPS。
ごく簡単にではありますが、私が現場で活用しているGPSの項目について紹介していきましょう。
単純にトータルでどれだけ走ったか、のデータです。サッカーワールドカップが2018年6月にスタートしましたが、アルゼンチン代表のメッシ選手の総走行距離が有名です。
本来90分間フル出場した際のフィールドプレーヤーの平均は10~12㎞と言われていますが、メッシは平均7㎞程度。試合展開によってはゴールキーパーよりも総走行距離が少ない、と言われています。