インフルエンサー。
私が学生時代にはなかった言葉
で、響きはあまり好きではない
のですが、影響力を持つ個人が
注目される時代になったのは確
かですね。
人の役に立つ有益な情報を提供
し、影響力を発揮していく。
SNSの使い方を含めて、とても
大切なことです。
いっぽうで、何だか揚げ足とりの
ような「流れ弾」のような批判
も横行して、いたたまれない思い
を抱くことが最近多く…
以前書いた記事を加筆して、再度
「情報発信する人の重圧を想像
する」ということを考えていき
たいと思います。
影響力を持つ人たちが、情報発信
するということ。
この重み、プレッシャーがどれほ
どのものなのか。
その想像力のない人があまりにも
多すぎる気がしています。
2014年、ダルビッシュ有投手が
MLBオールスターに選出された
ときのこと。
彼が記者会見の席でまた持論を話
したことが記事になっていました。
野球を愛する一ファンとしては、
ああ、耳の痛いことを常に発信し
ているなぁ、すごいなぁと心底感
心しました。
結果的に、その後ダルビッシュ投
手本人がトミー・ジョン手術を受
けることとなり、この言葉の重み
がリアルになった方も多いのでは
ないでしょうか。
これ、発言の細かな内容を挙げて
賛成や反対したり、挙げ足をとっ
たりするのは簡単な事です。
これだけの実績があり影響力のあ
る選手が、自分にとっては直接的
な利益を伴わない、ともすれば批
判的な声や好奇の視線にさらされ
る可能性がある問題提起を、堂々
と発信してくれること。
そのことこそが真に意義のあるこ
となのです。
2019年になってから、SNS上
での専門家同士のちょっとした
考えの対立を目にする機会が
ありました。
どちらも私がこまめにチェック
をさせてもらっている尊敬する
専門家。
自分の哲学に基づいた、確固たる
覚悟があるからこその批判や疑問
提起だと思います。
でも何だか私にとっては、
「親族内での内輪もめ」のような
感覚で、違和感があったんです。
批判が悪いわけではないのです
が、「この角度から口を出したら、
そりゃあ気を悪くするよね?」
という距離感というか、ちょっと
した思いやりの欠如というか…
ちょっと偏っていたり、過激な表
現で情報発信をした場合、本人も
相応のプレッシャーを感じながら
声を上げています。
昨今の芸人の動画における炎上は
言語道断であり、例外的なケース
として、自分がそれなりに影響力
を持っていると自覚している人に
は、覚悟があるはずなんですね。
その思いや、その人のキャリアの
バックグラウンドへの経緯と想像
力を働かす。
あまりにも極論だ、ちょっと筋の
違う話だなぁと思ったら、直接
その人にメッセージで、柔らかい
表現で質問してみる。
もしかしたら、真意はもっと別の
ところにあるかもしれませんから。
こういったちょっとしたいざこざ
って、批判した側の印象がどうし
ても悪くなります。
そして批判された側の情報発信者
も、反応の仕方によってまた誤解
を招く可能性が高い。
どちらも全然得をしないし、この
流れで情報が拡散していっても、
文字通り「水掛け論」になっちゃ
うんですよね。
「いいものを提供したい」、
「いい文化を根付かせたい」、
「有益な情報を発信したい」。
どちらも目的とする出口は、
きっと一緒のはず。
情報発信してくれる人への
敬意を忘れずに、上手に
コミュニケーションをとり
ながら、交流していきたい
ですよね。
私はアスリートスポーツチーム
に所属し、シーズンを通してト
レーニングやコンディショニン
グを任せてもらえています。
本当にありがたいし、お金には
代えられないやりがいを感じるこ
とができます。
その一方、自分がリーダーシップ
をとりトレーニング部門の責任を
負うというのは、想像を絶する
ような大きな重圧です。
研鑽を積み、現段階でベストと思
える最高級に近いベターを考えて
行動している自負はありますが、
「完璧だ」、「正解だ」などと感
じたことは一度もありません。
試行錯誤の中で知識と経験、感覚
を総動員して「こういった方向
性のはずだ!」と信じられたもの
を、チーム全員の前でさらけだす。
覚悟が必要だし、そんな風に矢面
に立つことが求められるわけです。
ところが、往々にしてこんな風に
「矢面に立つ」経験を持ったこと
のない人たちは、平気で「後だし
じゃんけん」的な発言をするもの
です。
[box class=”green_box” title=”ありがちな批判コメント1″]
「あんなふうにいうけどさ、俺だったら〇〇を重点的にやるなぁ。
あの人、ああいうトレーニング、本当に好きなんだよ。
うちに本当に必要なのは、もっとこういうものなのにさ。」
[/box][box class=”blue_box” title=”ありがちな批判コメント2″]
「ダルビッシュ、いろいろ立派な発言をしているけど、ちょっと筋肉をつけすぎだろ?
けがをした原因もそういうところにあるんだよ。
やっぱりトレーニングでつけた筋肉は不自然で、野球で身につく『柔らかい筋肉』じゃなきゃ駄目なんだよ!」
[/box]
よく聞きますよね?
誰しもが経験できることではないの
で無理のない部分もあります。
でも文字にしておこしたら、赤面
してしまうような、こんな厚顔無
恥なこと。
自分の中に「自律した想像力」が
欠如していると、こんな姿勢にな
りがちです。
意見の是非や生き方そのものの好
き嫌いではなく、この部分の覚悟
を持ち自分自身で責任をとれる。
だからこそ、堀江貴文さんや佐藤
優さんといった方たちは我々とは一
線を画しているのだと思います。
居酒屋の一席のサラリーマンの愚
痴のような発言は、少なくとも覚
悟を持ってトレーナー業種に挑む
人たちにとっては時間の無駄。
責任を伴わない立場で、影響力の
ある人の言葉を利用したり、わざ
と揚げ足をとるような発言をして
自分の方が上である、といった
誇示を無意識にしているとしたら。
こんな格好悪い人はいないですよね。
自分の行動や意見にしっかりと責任
を持ち、環境因子で姿勢を変える
ことがないように、
「きちんと矢面に立てる」人材に
なってほしいと思っています。
40を越え丸くなった自覚のある私で
すが、情報発信する際の覚悟を常に
持って、仕事に誇りを持って今年も
発信を続けていきます!
・インフルエンサーが声を上げるこ
との意義は大きく、重圧は我々の
想像以上だ
・愚痴とも嫉妬ともつかない不平不
満を吐き出すことに生産性はない
・覚悟を持って自分なりに今後も情
報発信を続けていきます