大阪を発つ前の最後の週末。近鉄特急アーバンライナーに乗り名古屋に向かっていました。新幹線よりも時間がかかるけど、ゆったりと向かえるこの特急が私のお気に入り。
2時間ほどの移動時間の中での景色が魅力的。だからいろいろなアイディアがあふれてくる貴重な時間でもあるのです。
約4年間お世話になった近鉄ライナーズ。今回は、近鉄との不思議なご縁に思いを馳せながらの移動となりました。
近鉄バッファローズとの思い出
野球一筋だった私にとって、やはり近鉄といえばまず思い出すのが大阪近鉄バッファローズ。仰木監督、野茂英雄投手、立花龍司コンディショニングコーチ。
1988年の10月19日、ロッテとの伝説のブルヘッダー。驚異的な追い込みで連勝すれば逆転優勝。まさかの特別規定による時間切れの引き分けで西武の優勝が決まりました。
最終回、優勝の可能性がなくなった裏の守備で、セカンドを守りながら涙していた大石大二郎選手の姿、今でも覚えています。
2003年から千葉ロッテマリーンズで働く機会を得て、相手チームとして近鉄バッファローズをみていました。中村紀洋さんやローズ、磯部さんや吉岡さん。バッティングのいい手強いチーム、という印象でした。個人的には当時の水口選手が一番驚異でしたが…
そこからの2003年ライブドア問題に端を発した10球団構想、初の選手会ストライキ。
今はもう皆すっかり忘れている出来事かも知れませんが、今後プロ野球人気の凋落が止まらなければ、再び球団数縮小の流れは出てくるかもしれません。
ちなみに当時千葉ロッテで2年目を迎えていた私は、前日21時過ぎにマネージャーからの携帯電話で選手会ストライキにより翌日の二軍公式戦も中止になった旨を伝えられました。
今ならLINEで一斉送信かもしれませんから、時代を感じますね。動揺と不安はあったものの、急きょオフとなった当時は普段なら絶対に参加できない日曜日の草野球を楽しみました(笑)。
そこから近鉄の消滅、楽天の誕生。
激動の流れのプロ野球の渦中に自分もいたんですよね。
自分が近鉄と関わる不思議さ
2014年5月末。右も左もわからないまま生まれて初めて花園ラグビー場に降り立ちました。
10日ほど前までアメリカのペンシルバニア州で渡辺俊介選手をサポートしていた自分が、大阪で社会人ラグビーチームに関わる。しかも近鉄に関わるとは想像もしていませんでした。
途中加入した2014年は慣れないラグビー用語や通訳補助兼トレーナー補佐という立場。選手と共に過ごす寮生活もあり、後半はストレスに押しつぶされそうでした…
2015年からストレングス&コンディショニング部門のリーダーとして、ヘッドコンディショニングコーチという立場でチームに関わるチャンスをいただき、責任も権限もアップ。私自身、レベルアップができたと思っています。
伝統の重みとどこか「いてまえ」の気質を引き継いだムラっ気のあるチーム。
どぎつく面白いファンの声援。
今後どこに向かうか、を教えてくれた花園の美しい天然芝。
これからも関西に来て近鉄線に乗ったり、近鉄デパートやタクシーを見ると、少し身内のような気持ちで懐かしく振り返るんだろうなぁ…。
悔しさばかりの最後の景色
ずっと想像していた「お別れの挨拶に立つ側からの景色」。ああ、皆、こんなに神妙な顔つきで聞いてくれるんだなぁ…なんて思いながら、自分なりの言葉を紡ぎました。
寂しさや無念というよりもただ悔しい。勝手に自分の中で美しかった近鉄での4年間にするのではなく、2017-18シーズンの自動降格という結果を重く受け止めて、次のステージに生かします。
納会の後はスタッフがお別れ会をしてくれました。真面目な話、バカ話。最後までにぎやかなまま、皆と別れを告げました。
スタッフからプレゼントしていただいた、オリジナルの似顔絵入りのコップと名前入りのジャージ。家に飾らせてもらいます!
新しいスタートを前に
本日2018年2月1日をもって、約4年間の大阪単身赴任生活は終わり。再び関東に拠点を移すことになります。
新しいスタートを前に、少し寂しくて不安。清々しくてちょっと胸が痛い。
こんな仕事のスタイルを自分で選んだんだなぁ。改めて思い出しています。
お会いした人から小さな声で「仕事のほう、決まった?大丈夫?」と心配していただき、ありがたい限りです…おかげさまでいくつかお仕事のオファーをいただき、関東でも精力的に活動していけそうです。
期待を裏切った形での幕引きとなるのが悔しいですが、それが結果。きちんと向き合い、チャンスをいただける次のステージに生かしていきます。
チームカラーに合った人材ではなかったかもしれないけれど、憎めず愛らしいチームの近鉄ライナーズ。
伝統あるチームで素晴らしい天然芝の上に立てる喜びをかみしめながら、かけがえのない時間を過ごすことができました。
ありがとう、近鉄。ありがとう、ライナーズの選手とスタッフたち、熱心なライナーズファンの方たち。
またいつか、会いましょう。
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YUJI HIROTA
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