年単位でモチベーションに波があるものの、平均して年20回ほどセミナーに参加しています。
アスリートスポーツに携わらせてもらって17年目。やはり日々情報にアンテナを張り、アップデートするのは大切なので当たり前なんですよね。
しかし!勉強熱心なのはいいですが、ただただ受動的にいろいろなセミナーを受けても、効率も悪いし自己満足になってしまう可能性があります。
今回は私がセミナー受講したり、講師をする際に気をつけているポイントをシェアしたいと思います。
一口にセミナー受講と言っても、その理由は結構違うはず。自分なりの価値観というフィルターを通した、受講パターンを持つのがおすすめです。
私が大切にしているパターンを紹介しま2つ紹介しますね!
決断の物差しが偏っているかもしれないですが、私は自分が学ぶ際に明確な基準を持っています。それは内容もさることながら、誰が指導してくれるかを優先する、ということ。
2017年8月。高速バスに揺られること2時間半。徳島県に日帰りで行ってきました。
元横浜ベイスターズトレーナー高橋塁さん。彼の「肩の投球障害に対するアプローチ&リハビリ」というタイトルで行われたセミナーを受講するためでした。
私が千葉ロッテ在籍中には独立リーグの香川オリーブがイナーズにてキャリアを積んでいた塁くん。彼が横浜DeNAに入団した際には私はすでに球界を離れていました。
その後、知人を介して知り合い、その探求心にいつも刺激を受けている「戦友」の一人。
2015年を持って横浜DeNAを退団し、現在は徳島大学医学部にて博士課程にチャレンジしている塁くん。
彼から直接教えを乞うことができる機会はなかなかないので、自分の研鑽のため、そして新鮮な刺激を得るために今回のセミナーに参加させてもらったんです。
忙しい身にもかかわらず、調整をしてセミナー前の1時間ほどいっしょにランチも取ってもらったのですが、お互い近況報告をしたり「現場あるある」で盛り上がることができました。
自分の強みを考え、地元でいくつか指導する高校などを持ちつつ勉強も続けている塁くん。こういった同世代の姿を見るのは何より刺激になるしエネルギーをもらえるんですよね。
ここも同学年。主催のインディゴコンディショニングハウスの殖栗さんと3人で。
2018年2月より2ヶ月半に渡り、受講したのはMOFことMovement of Fundamentals。
日本では非常に少ない、体系立てられた「動き」そのものを学べる優良コンテンツ。コンテンツの魅力ももちろん大きかったです。
しかし、私のセミナー受講最大の目的は主催の朝倉全紀さん御本人。朝倉さんの経験やお考えを、間近で聞き、感じることができる。そこに一番の価値を感じて、嬉々として参加したのでした。
以前紹介した、弘田の下の世代の「大谷翔平」であろう近藤拓人さんも、内容ではなく彼の持つ圧倒的な知識と飽くなき好奇心を感じたくて参加した気がします。
次世代のトレーナー界の牽引者。衝撃を受けた近藤拓人さんの圧倒的な圧倒的な能力
タイトルや予定されている内容が多少自分の専門とずれていても、「この人から学びたい!」、「この講師の熱量を直に感じたい!」と感じたなら、迷わずに日程を調整するのがオススメです。
私がもう一つ意識しているのは、自分の専門知識とは少し「ずらした」内容のセミナーに参加する、ということです。
鍼灸師ではあるものの、現在全く治療に関する仕事はしていません。それでも徒手療法のセミナーに出たり、エコーの診方の講習会に参加したり。
SEOについてであったり、マーケティングのセミナーにも挑戦しています。
新しい知見を得る、ということだけでなく、「自分の想像の及ばないスキルや卓越した技術がある」ことを再認識するために参加している、という感覚です。
もちろん内容そのものが全く興味がわかないものでは苦痛でしかありません。
自分なりに「いつか、何かの役に立ちそう!…興味ある!!」とアンテナに引っかかったものを選ぶようにしています。
今度は数多くのセミナーに受講してきた私が掴んだセミナー受講のポイント。あなたにもヒントになるかもしれませんので、シェアしていきますね!
これ、改めて宣言するかしないかで受講する心構えが大幅に変わります。
ついつい受講する手続きだけで油断してしまったり、ちょっと無理なスケジュールで出席したせいでぼーっとしていたり、は「トレーナーあるある」です。
受講のために作った時間と支払った金額。この分の元は絶対にとって帰るぞ!と気合を入れて、吸収できるものは全部吸収する貪欲な姿勢で準備する。
これが大切です。
ちょっと早く到着して、とにかく最前列か一番質問しやすい席に座ること。これは留学時代に身につけた「取り残されないためのスキル」。
講師の目にいつも入るところに座る事で、質問するときのハードルも下がりますし、アイコンタクトも取れますよね。
質問しなくても、こちらが今一つ理解していないそぶりをすることで、もう少し丁寧に補足説明をしてくれたり、能動的にセミナーに参加することができます。
アイコンタクトできる距離にいることで、集中して話題を楽しめますしね。この際、他の人の目は気にしないこと。1対多人数のセミナーでも気持ちは1on1でいく。これもポイントだと思います。
話が詳しいところに及ぶとついつい全体の流れを見失いがちです。講師側はそうならないように、時系列であったり部門に分けて話を進めてくれるはず。
それでも受講者は意識的に、今全体の中のどの部分を語っているのか、を常に頭の中にマップのように入れておくべきですよね。
その上で脳の正しい部分に情報を収納できるかどうかで、セミナー後の理解度は大幅に変わります。
質問の仕方一つとっても、理解度や質問者の知性や品って出てしまう。
私は、そんな風に感じています。他の人の流れを遮るような質問や、あまりにも的外れな質問って嫌なものですよね。
その一方、自分が講師の際に「わ、上手に質問の形を使って補足説明を促してくれているな~」や、「うん、すごく理解してくれているからこその質問だなぁ」と感謝や一目を置く、という質問も存在します。
疑問や不安は必ず質問すべきですが、質のいい効果的なクエスチョンを投げかけるには常に頭をフル回転させておくこと。
そして質問や疑問が浮かんだら、すぐに資料やノートに書き留める。講義の中でその疑問が解決したらすぐに斜線を引き、消していく。
質問の内容がまだ曖昧なようだったら、何がわからずにどこを聞いたらいいのか、自分の中で一旦整理し考える。そのうえで咀嚼したものを質問としてわかりやすく聞く、というのが礼儀。そんな風に考えています。
これ、もしかしたら一番大切なポイントかもしれません。
セミナー後の懇親会なども楽しみの一つなのですが、わずかなスキマ時間10分であっても、自分だけで資料を見ながら復習する。これをするかしないか、で理解度は大きく変わるんですよね。
セミナーに向かう朝に、最寄り駅の周りの喫茶店を見つけておいて、「ここで甘めのコーヒー飲みながら、帰りに復習しよ~。」と決めておくのが、私のルーティンになっています。
私自身はブログでアウトプットするぞ!という気持ちで臨むことにしています。これによって「わかった気になってやり過ごす」のを防いでいるんですよね。
「わかったつもり」パターンって未だにとっても多いですから、100%理解できなくても最大限の収穫が持てるように、と心がけています。
受講することそのものに満足せずに、できるだけ深く、できるだけ早く自分の中に取り込んで現場に生かせるように。ある種の危機感を持ちながら、学べる時間を楽しめるといいですよね!
上記のような本も効率的なインプット↔アウトプットの考え方をまとめるのに役立ちますよ!
ありがたいことにセミナー講師側としてお話させて貰う機会も多くなりました。ここからは、自分が伝える側として考えているところもまとめてみますね。
講師としてのチャンスをもらうと、「自分に伝えられることなんてあるのだろうか…」って思いが湧いてくるもの。
弱気な思いを振り切るために、知っておくべきこと。それが「自分で悩み経験したプロセスこそが、受講者に役立つ種」だということです。
以前、受講した小俣よしのぶさんのセミナー内で語られていたことに、ハッとした言葉がありました。
それが「コツは教えられない」という運動経験に関わる部分。感覚に関わる部分はその人固有のものであり、共通したコツなどは存在しない、というお話でした。
感覚に関わる指導をするのであれば、正確に「コツをつかめるかもしれないポイント」を教えるのだ、と自覚する必要があるという気づきが一つ。
そして、「ある種の感覚」を伝えるのであれば、コツを掴んでいないとできないということでもあるということに改めて気がついたお話でした。
自分が選手やクライアントに提供できるものってなんだろう。
シンプルにそう考えると究極、自分が迷い悩み試してきた経験や知恵だ、ということに行き着きます。
その中でも、経験や知恵を得るまでのプロセス。それこそが主食の部分として最も重要なんでしょう。
「仕事をしていくうえで悩んで考えるプロセス。これこそが最重要でそのことでクライアントに対する共感や信頼を得られるのだ!!」
…こんな風に目的化した時点でその価値は消えてしまう部分もあるので要注意です。しかし、その視点も存在するのだという自覚。
これができれば、悩みもがくトンネルの中でも光が射してくるような気がします。
特に若い世代の方には、こういった視点を持ってどんどん悩み考え、経験を積んでいってほしいもの。
今後、仮想現実(VR)の技術が進歩すればするほど、本当の経験の価値が今まで以上に高まってくるのは間違いありませんからね。
自分の腹の奥から出せる経験に基づいた信念。その一つひとつが講師の機会を得た際に、大きな武器となって生きてきます。
何かを伝える際に、意識していることの一つが「まず純粋に興味を持ってもらえるように伝えること」。そして、動いてもらって、感じてもらって、改めて考えてもらう。
頭でっかちに考えるのではなくて、この順序がキモなんじゃないかなぁ…と思っています。
2017年9月に「チームスポーツでの準備運動とトレーニング方法」というタイトルにて、関西NSCA地域ディレクターセミナーの講師を務めさせていただきました。
日曜日の朝9時半から実技という受講者側にとっては高いハードル設定。午後からはレベルⅠ講習の実技もあるにも関わらず、25名というたくさんの方が受講してくれました。
2時間半というのは最近の私のセミナー時間の中では短いもの。
講義内容は30分弱。2時間近くはひたすら実技でしたからハードだったと思います。
実際に体を動かしていく中で、その都度ポイントとなるだろうことをお伝えしていく、という形式を採用しました。
セミナーにはいろいろな進行パターンがありますが、個人的にはこの形式が一番好き。
適宜メモを取ることも必要ですが、もっとシンプルに興味を持って実践してもらい、感じてもらって考えてもらう。これってライブのセミナーだから可能なことですからね。
2018年9月には、1日7時間を費やす長丁場のセミナーを実施しました。テーマはS&Cの専門家としては王道の「トレーニングプログラム作成」について。
どうしても理論ばかりで座学に偏りがちなこのテーマ。
・できる限り、高い興味をまず持ってもらい、即座に自分でプログラム作成!
・他の受講者や私とディスカッションをして、「ああ、この辺り、こうしたらもっと良くなる!」
・「今まで悩まなかったところまで、考えるようになっちゃった…」なんて、深追いしたりしながら、実際の条件に合ったプログラムに更に作り込んでいく
…知識とともに、こんな経験を提供できるように、コンテンツの作り込み準備をしています。
仕込んで準備をする時間は正直しんどいですが、ニーズがある限りセミナー開催をどんどんしていくつもり。
やはり新しい人たちと出会えるのは、パワーをもらえるし、シンプルに楽しい!
これからも満足してもらえるコンテンツを作っていきます。
長くなりましたが、今回はセミナー受講や講師をする際のポイントや思いをまとめていきました。
有限の時間もお金も使って参加するセミナー。受講側も提供側も絶対にプラスにして終わらせるぞ!という意志は必要ですよね。
今後も数多くの刺激をもらえるセミナーに出会い、それを生かしてレベルアップした講義を提供できるようにしていきます!
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